集会の場所ー④
AM・10時20分。
所謂ギャング同士の会議とギャングなりの挨拶周りらしい今回のイベントみたいなものは
わりと時間だけが潰されるものらしい。
ロスサントスでのギャングのボスの顔ぶれも多く
親父やウェスカーさん、まさかのマクドナルドさんも居た…
ボスの後ろに付いて周り、出来るだけボスが困らないように立ち回る。
変な緊張感がありボスからは
「あんなる固すぎw」と笑われる程だ。
だが、それほどまでにここの集会に集まる
ボス達の圧は凄まじいものばかりだった。
「ボス、13時になったら会議終わって次は着替えてボス達で会食です」
「ん~…着替えるのめんど」
「ほんとっすね」
二人になった途端、ALLINらしい空間に戻れてホッとする。
「ボスグレースーツと黒スーツ用意されてますけどどうします?」
「さっきグレーだったしな~黒でいいや」
「了解す。俺自分で用意したの着ますね」
「ん~~」
ALLIN用の部屋の中で、準備されていた黒いロングスーツをボスに渡す。
直ぐに着替えたが暑いのかジャケットを肩に掛けてタバコを吸って寛ぐボスは
何を着ても様になっていた。
「ボス時間までどうします?」
「ん~…暇やな」
「それなんですよね」
場所が場所というのもあり、なかなか外に出て時間を潰すのも厳しいらしい。
本当に時間だけが拘束された状態のボスは本当に暇そうだった
「あんなるはいつ会いに行く?」
「ゆきんこすか?」
「ん」
「集会全部終わった後すかね…」
「時間大丈夫なん?」
椅子に座ってタバコを吸いながら真っ直ぐと俺を見るボスは
何処か、心配そうだった。
「夜でも、時間短くても……会いに行きます」
「うん」
「ボスには一人にさせて迷惑掛けちゃいますけど…」
「それはいい」
「ありがとうございます!」
「最近お前元気無かったし忙しそうだったじゃん」
「え?」
「大型にも殆んど来ないし、長い時間アジト居ないでしょ」
「すんません…」
「別に怒ってはない。言ったじゃん、好きな事やればいいって」
「はい」
「手紙でもゆきんこの事書いてたし、寂しいんかなって」
寂しい、白井さんにも言われたな。
事あるごとに聞かれるからでもあるが、俺のモチベーションにあるものの一つに
必ずゆきんこがいる。
だから、何かあれば「ゆきんこ」と口にする事が多かった。
それが、皆からは寂しそうと見られているらしい。
実際、今もまだ分からないけど
皆がそう思うなら、俺はゆきんこが居なくて寂しい……のだろう
「白井さんにも言われたんですけど、寂しそうに見えますか俺」
「まぁ~そうやな」
「ボスにもそう見えるすか」
「寂しそうっていうか、なんていうか。忘れないんだなって」
「いや、忘れないっすよw」
「まぁね?」
何処か弄ろうとしてる言葉と優し気な目線にボスの優しさを感じた。
「ほんっとに暇やな~…」
痺れが切れたのと飽きたのかボスはそう言って懐に手を突っ込む。
「ボス、ここ日本なんで銃ないです。ダメって言われたじゃないすか」
「そうだった…」
不貞腐れたように椅子に深く身体を預けて窓を見るボス
「デロリアン持ってくれば良かった」
「いや、ダメですってww」
本当にこういう時間が嫌いなのだろう
おもちゃすらも全て没収されているこの状況で
文句が出るのも仕方ない…
俺ですらこの時間は暇過ぎる。
「あと30分くらいすね…」
「もうええて~…」
ゴロゴロするボスを横目に、俺はスマホを開く。
何かと気に掛けたりしてくれている白井さんが色々とメッセージをくれていた
会場からどう行けば病院に近いか、
もし帰りの飛行機に間に合わなければ
白井さんがジェット機で迎えに行くだとか
色んな方法で俺の手助けを名乗り出てくれている。
集会終わるのが…待ち遠しいとさえ思えてきた
「早く終わらんかな…」
つい、零れた本音。
その呟きを聞き逃さないボス
「めっちゃ会いたいじゃんw」
「もう吹っ切れましたよ」
「あんなるはバカだからめちゃくちゃ悩むからな」
「否定できねーっすw」
「まぁええやん。それがあんなるでしょ」
”きっちゃんは今のままでも十分素敵なのだ”
本当に、俺の周りは俺自身を大事にしてくれる人ばかりだ。
こんな俺でも、必要としてくれるALLINが俺は本当に大事で大切だ
「暇っすね~」
「暇やな」
この言葉が何回出る事だろう…