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第9話 新たな『称号』

 翌日、筋肉痛から開放された俺は開門と同時にダッシュで北の草原に向かう。街から比較的近い場所では基本的にスライムとしか遭遇しないので安全だ。逆に街道から逸れて林に入るとウルフの群れと遭遇する可能性があり、更に森まで入ってしまうとトレントが出てくる可能性がある。


 今の俺に対応できるのはウルフ3体くらいだろう。5体に囲まれるなどしたら悲惨なので林に入るにしても街道からあまり外れないようにしていつでも離脱出来るようにしておいた方が良さそうだ。


 5体を同時に安定して狩れるくらいになれば更に効率が良くなるんだが、そんな無理することもない。

 ただでさえ1日のほとんどを狩りに費やすという無理をしているんだ。脳死で出来るくらいの難易度がベストだろう。


 スライムを数十体ほど倒したときに変化が現れた。


【称号『スライムの天敵』を獲得しました】


 なんか称号が手に入った。『異世界人』のような効果があるかもしれないので早速ステータスから確認してみる。


 テンマ(18):レベル13

 体力:52

 攻撃:78

 防御:47

 魔力:22

 器用さ:35

 精神力:37

 素早さ:52

 職業:『剣士』 レベル9


 称号:『異世界人』『スライムの天敵』


 うん、順調にレベルも職業レベルも1上がっている。『スライムの天敵』の効果は、スライム系統モンスターへの攻撃力があがり、更にスライム系統モンスターに逃げられなくなる、だそうだ。とりあえず今のところは全く意味のない称号だな。


「ん?」


 その後、1時間くらい狩りを続けていると、冒険者ノートに書いてあった変なスライムを見つけた。見た目はたしかにスライムなのだが、明らかに素早い。


「『鑑定』」


 敵の素性を知るために鑑定をしてみる。どうやら名前は『ヘイストスライム』というらしい。名前は緑で表示されているため弱いモンスターというのは間違いない。


「おりゃ!」


 それなら安全に倒せるだろうと剣を振る。しかしヘイストスライムはその素早い動きで俺の攻撃をかわした。


「スライムを1撃でやれないだと……?」


 スライムに攻撃をかわされたというのがショックで呆然としていると、ヘイストスライムは嘲笑うように俺に反撃を仕掛けてきた。体力が2削られる。攻撃よっえぇ……。

 そのあともスライムに攻撃を避けられるという屈辱を何度か味わって、ようやく当たった。当たったら当たったで1発で倒せた。耐久力もただのスライムで本当に素早いだけが特徴だったみたいだ。

 普段のスライムと同じように液状化して地面に溶けるように消えていく。ただいつもと違うものは今回は靴のようなものが残った。


「なんだこれ?」


 困った時の鑑定。というか、敵の強さやドロップアイテムが分かるこのスキルも大概チートだよな。


「『スライムブーツ』、装備時素早さ+30、『隠密』スキルレベル+1。隠密ってなんだ……」


 というか、そんなスキルまであるのか。隠れることに特化した職業……『シーフ』と関係しているのかもしれない。


 それに隠密を抜きにしても素早さ+30は凄いんじゃないか? レアなスライムなだけある。さっそく装備するか。


「まぁ、装備したらこうなるよな……」


 どこからどう見ても足にスライムを履いている人だ。ビジュアルが最悪すぎる。脱いだときに足にヌメヌメが付かないのは唯一の救いだった。

 とりあえずいい時間になったし、一回街に戻って精算して飯にしよう。



「ついにここまで来ましたか……」


 何故かアリサさんに変態を見るような目をされた。いや、それはいつものことだ。珍しく他の受付嬢の視線も感じる。あれ、急にモテ期来ちゃった? と思ったけどみんな俺のスライムブーツにドン引いてるだけだったわ。みんな地面が濡れていないことを不思議そうにしている。そういう装備なんだって信じてくれないかなぁ。


「お金はギルドカードに全額チャージでよろしいですか?」


「あ、それでお願いします」


 おかしいな、隠密レベルが上がっているはずなのに余計に目立ってるんだけど。まぁ迷彩服を街中で着ても余計に目立つみたいなことだろう。TPOの条件が揃うと効果が発揮されるスキルなのかもしれない。


「そろそろ北の草原以外の場所に行くのもありかもなぁ」


 朝ごはんを屋台で食べながら今後の予定を考える。スライム狩りは効率はいいが、単調すぎるが故に飽きてきてしまうのだ。それにここらで更に効率の良いところを探すというのも手だろう。効率が悪そうなら引き返せばいい。


「南の森に行ってみるか……」


 南の森はアルフの街の南門を出て割とすぐのところにある。冒険者ノートによると、こちらの森も奥深いところまで行くと『トレント』や『オーク』といったモンスターと遭遇する危険があるが、街道の近くはスライムや『コボルト』、『一尾』と呼ばれるキツネのようなモンスターといった、北の草原と同レベル帯のモンスターしかいないみたいだ。ただ、ベテラン冒険者の基準で安全だと書かれている可能性があったため聞き込みをしたところ、屋台のおっちゃんでも店で使う山菜やキノコを取りに行ったりするそうだ。

 それならば浅場は安全というのは間違いじゃないだろう。


 なので俺はいつもの北門ではなく南門から街を出た。

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