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第161話 第八夫人

 聖国からテレポートで帰宅して久しぶりの我が家だ。みんなに会いたいけどテレポートで疲労感がヤバいから俺は寝るぞ、と思ったところでミーナたちが全員集合してきた。


 みんな久しぶり、と和やかにはいかなそうな雰囲気だ。


「テンマ様。マリアンヌさんとは随分仲良くなられたご様子で」


 トワの第一声でこれあかんやつって分かった。うん、正直に謝ろう。


「道中、手を出してしまいました。責任を取ろうと思っています」


 俺はジャパニーズ土下座スタイルで最大の謝意を見せる。これで多少の溜飲を下げてくれ。


「ほらやっぱり予想通りじゃないか!」

「まぁテンマ君だしねー」


 出発前はイキってすみませんでした。


「いやでも俺むしろ襲われた側だからな?」


 惚れ薬を盛られて意識無かったし。


「つまり、テンマ君からは手を出してはいないと?」

「お兄様、嘘はよくないですよ」


 あかん俺の評価が低い! 何を言っても信じてもらえないんじゃないか?


「襲われたところで主人殿なら逃げられるはずでは?」


「いや、そう思うのも分かるんだけど、聖女のデバフはマジでヤバいんだって」


 とりあえずお前らはマリアンヌを非力な少女だという認識から改めてくれ。


「で、主様はこう言っておるが本当か?」


「えっと、はい……惚れ薬とか色々使いました」


 ごめんなさいと縮こまるマリアンヌ。よかった、出発前にマリアンヌのことを指導していただけあってクーコは信じてくれそうだ。


「ふむ……『魅了』か。主様の精神力を突破するほどのデバフとなると実に興味深いのぉ……」


 興味深い……? 何か含みがある言い方だな。クーコの真意は分からないけどトワは「なるほど」と何か納得してるのでその意図を読み取ってそうだ。


「分かりました。テンマ様もお疲れでしょうし、とりあえず2時間ほど寝ててください。その間にマリアンヌさんの面接を行います」


 どうしよう、こんなに寝たくないと思ったのは初めてだわ。いやまぁ寝るんだけど、今もうすでに起きるのが怖いわ。



 ※ ※ ※

 トワ視点


 テンマ様は……お休みになられたみたいですね。では始めましょうか。


「さて、マリアンヌさん。抵抗するテンマ様を無理矢理襲ったというのは本当ですか?」


「え、えっと無理矢理襲ったというか……襲うように仕向けたといいますか……」


 なるほど、本当に『魅了』することが出来るみたいですね……。しかし、そんなことが可能なんでしょうか……。


「それなんじゃが、主様の状態異常耐性をどうやって突破したんじゃ?」


 クーコさんも相当危険視しているみたいですね。声音は優しいですが言うまで帰すつもりはないという圧を感じます。まぁ当然ですね。これはテンマ様の明確な弱点ですから最優先に対策を考える必要があります。マリアンヌさん以外にも可能なのか、再現性はあるのか、マリアンヌさんがテンマ様と関係を持ったとか、予想通りすぎてもうどうでもいいです。


 マリアンヌさんはその時の状況を詳しく語ってくれました。


「聖女のパッシブスキルのおかげで対象を取るバフやデバフに恩恵があるんです……なので惚れ薬を飲ませた上で精神耐性を下げる『マインドジャック』、催眠状態にする『ヒュプノ』、その効きを更に向上させる『ハイパーセンシティブ』、狂乱状態にする『バーサク』と出来る限り強力なバフとデバフを重ねがけしました」


「めちゃくちゃ力技だな。何か抜け道があったわけじゃないのか」


「いや、逆に凄くない? 前にミーナとトワと試したことあるけど3人がかりでなんとかって感じだったよね」


 そうですね。そしてあの時よりもテンマ様は比較にならないくらい強くなっていますから、状態異常にするだけでもとんでもないことですよ。


「それだけスキルの造詣が深いということじゃな。サポーターとして優秀じゃな」


 テンマ様も狂わせられるほどのデバフが使えるということは、それだけ強力なバフをかけて支援もできるというわけですからね。


「マリアンヌさん、今後テンマ様の状態異常対策をお任せしてもよろしいですか?」


 現状では私が担当していますが、聖女のサポート能力の高さを鑑みればマリアンヌさんが適任でしょう。これでテンマ様の防御面はさらに盤石になるというものです。


「あ、あの……みなさん怒っていないんですか?」


「怒りたい気持ちもあったが、こうも価値を示されてしまってはなぁ……」


 テンマ様の奥も人数が増えてきましたからね。現状ではテンマ様の利益になる人物であることと、奥の和を乱さないことを参入の条件にしていますが、もう少し厳しくした方が良いかもしれませんね。


「ちょっと下世話な話でごめんなんだけどさ……魅了して理性を失ったテンマ君が襲ってくるのってどんな感じだった?」


「ちょっ! フィーネさん! アロエちゃんもいるんですよ!?」


「ごめーん! だって気になっちゃったんだもん!」


 カオスですね。まぁ気にならないと言えば嘘になりますけど。あと、アロエの教育を心配するのも分かりますが、それはもう遅いですよ。


「私だって夜のお相手はさせて頂いてますから! マリアンヌさん、参考までに聞かせていただけませんか」


「えっ、えっ、えっ……」


「まぁアロエくんも奥の一人なんだから当然だよねぇ」


「なんならワシらの方が新参じゃからな」


 ここではそれが当たり前なんですよね。すると、何を想像したのかマリアンヌさんの顔が真っ赤になっていきました。


「だって、あんな獣みたいな……あ、アロエちゃんが……」


 テンマ様、いったいどんなことをしたんですか……。

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