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第14話 火の粉

 俺がこの世界に来てから1週間が経過した。俺は相も変わらず早朝からレベル上げだ。


「今日は東に行くか」


 アルフの街から東側は平原が続いていて、馬車を使って数時間の距離には『ビオポート』という港町があるらしい。アルフの街にもビオポートの海産物が輸送されてくる。


「寿司とかあればなぁ……」


 米食の文化があればレベル上げの途中でも行ってたかもしれないが、残念なことにビオポートにもそんな文化はないらしい。しかし、南の地域からやってくる貿易船の積荷にたまに米が積まれているという話を聞いた。南の街に米文化があると知れたのは素直に嬉しい。強くなったらそこに家を買うまである。


 意気揚々と東の門を出たのはいいが、思ったよりも苦戦を強いられた。出てくるモンスターの強さ自体は東西南北で一番弱く、スライム、ウルフ、コボルトといったモンスターが満遍なく出てくるので狩場としては悪くないのだが、1体ややこしいモンスターがいた。


「『レッサースパロー』がうざい」


 強さ自体は強くないのだが、空を飛んでいるのがズルい。試しに剣士レベル8で習得したスラッシュを使って斬撃を飛ばしてみたが簡単に避けられてしまった。なので、向こうから攻撃してくるところをカウンターで迎え撃つしか手段がなかった。攻撃を食らっても3とか4程度しか減らなかったので、無視して他のモンスターを狩っていたらいつの間にかレッサースパローが10体くらい周りを飛んでいた。


「うーん、でも効率は悪くないんだよな」


 仕方がないので数体集まったら倒すことにしよう。10体いるうちの2体ほど迎え撃ったら他のレッサースパローには逃げられてしまった。いなくなる分にはいいかと狩りを再開しようと思ったのだが、何故だか足が重く感じた。


「あれ、素早さが落ちてる……?」


 見るとステータスにデバフにかかっていた。


「『フェザーダンス』、一定時間対象の素早さを半減させるか。めんどくさいな」


 正直素早さはレベリングに影響するからやめてほしい。ただ、レッサースパローさえ除けば効率の良い狩場であることは間違いなかった。なのでこれからは西門以外をローテしていこうと思う。


【剣士レベルが20にあがりました】


 数時間ほど狩りを続けてついに剣士レベルが20まで上がった。攻撃+20のボーナスも貰えてステータスはかなり伸びた。装備が整えばDランク冒険者くらいのレベルにはなっていると思われる。


 テンマ(18):レベル27

 体力:70

 攻撃:140

 防御:86

 魔力:33

 器用さ:59

 精神力:61

 素早さ:108

 職業:『剣士』 レベル20

 称号:『異世界人』『スライムの天敵』『ウルフの天敵』


 森の奥に入れるくらいにはなっただろうか。トレントを狩ることが出来ればさらに深いところまで入れるようになる。活動範囲が広がるというのは魅力的だ。

 明日は北の草原でレベル上げの予定だからトレントを試してみてもいいかもしれない。



 今日のレベル上げを終えて部屋に帰った俺は今後のプランを考える。まず直近で考えなきゃいけないのは剣士レベルが30になった後のことだ。あのあとも1レベル上がって剣士レベルは21になった。


「上級職へと転職は王都じゃないと出来ないんだったな」


 剣士の上級職、つまりはミーナと同じ『剣豪』。剣豪に転職するのがプランAだ。プランBは他の基本職に転職すること。


「あとは武闘家か魔法使いかなぁ……」


 武闘家は素早さのボーナスが貰える。レベル上げの効率をさらに高めてくれるだろう。魔法使いは火属性の魔法を習得すればトレントを一方的に倒せるみたいだ。なので魔法使いでもウルフの群れを安定して倒せるようになったら北の草原一帯が絶好の狩場になる。


 とりあえずはこの3択だろう。武闘家に関しては攻撃ステータスのおかげで少し楽が出来そうだ。手早くレベル30にするなら武闘家だろう。それに素早さのボーナスを貰ってから他の職業に行く方が効率的だ。


「よし、次は武闘家にしよう」


 残念だが魔法はまだまだお預けだ。エターナルフォースブリザードみたいな厨二病ごっこを早く合法的にやりたいという気持ちはあるが、断腸の思いでここは武闘家だ。仕方がないので厨二気分を味わいたい時は腕に包帯でも巻くとしよう。


「テンマ! 少しいいか!?」


 そんなアホなことを考えていたら何やら慌てて俺を呼ぶ声が扉の外から聞こえてきた。この声はミーナ? そんなに慌てて一体どうしたんだろうか。


「ミーナ? どうしたんだ?」


 Bランク冒険者が慌てているなんて余程の事態だろう。俺は何を言われても驚かないように心の準備をしておいた。


「お前、決闘をするって本当か!?」


「( ᐛ )………パァ?」


 なにそれ初耳なんだけど。

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