日本文学課外研究部隊 寸劇「カレーでげんき」
作:仁科 唯音
ある日のことです。ゆめちゃんのおかあさんが、ねつを出してねこんでしまいました。ゆめちゃんは、おかあさんがげんきになるように、カレーをつくることにしました。
ゆめちゃん「おかあさんが、とびきりげんきになるカレーにするわ! カレーに入れる食べ物をさがしに、いってきます!」
おかあさん「きをつけてね」
カレーには、おやさいをいれよう。やおやさんへとあるいていくと、ちかくのこうえんで、ブランコにのっている女の子にこえをかけられました。
ブランコちゃん「どこへいくんだ?」
ゆめちゃん「やおやさんよ。カレーにいれる、げんきがでる食べ物をかいにいくの。おかあさん、おねつをだしているから」
ブランコちゃん「ねつをさますなら、瓜がいいぞ。げんきになるには、おくすりみたいににがいやさいだな。にがうりだ! にがうり、あたしのうちのはたけにあるから、わけてやるよ」
ブランコちゃんは、かぜのような速さではしり、すぐにこうえんにもどってきました。ゆめちゃんは、ブランコちゃんから、みどり色の、ぼつぼつしたほそながいおやさいを、もらいました。
ゆめちゃん「ありがとう。おだいはいくら?」
ブランコちゃん「いつもあそんでくれているから、おかねはいらないぞ」
ゆめちゃんは、スキップしてしょうてんがいへいきました。やおやさんをさがしていると、ゆめちゃんがおけいこさきの、ピアノのせんせいに会いました。
ピアノのせんせい「あらまあ、ゆめちゃん。こんにちは」
ゆめちゃん「こんにちは」
ピアノのせんせい「ひとりでおつかい? えらいわね」
ゆめちゃん「おねつでねているおかあさんに、カレーをつくるの」
ピアノのせんせい「それはたいへん。よかったら、これをおかあさんにたべてもらって」
ピアノのせんせいは、かばんからびんをとりだしました。
ピアノのせんせい「きんかんのはちみつづけよ。さっきフルーツパーラーでいただいたの。のどにいいから、おねつでもたべられるわ。カレーのかくしあじにもいかが」
ゆめちゃん「いいの?」
ピアノのせんせい「もう一こあるから、あげるわ」
ゆめちゃん「わあい、ありがとう!」
やおやさんは、本屋さんのとなりだそうです。ピアノのせんせいがおしえてくれました。ゆめちゃんはちょっとうずうずしました。ゆめちゃんは、本をよむのがすきなのです。本屋の前をとおりすぎようとしましたが、すてきな本にさそわれて、すいこまれるように中にはいってゆきました。
本屋のバイトさん「いらっしゃい」
ゆめちゃん「おじゃまします」
本屋のバイトさん「おさがしの本があれば、ききますよ」
ゆめちゃん「げんきがでるカレーをつくりたいんだけど、本をかうお金はないの」
本屋のバイトさん「じゃあ、レシピの本より、ざいりょうがいいよね」
本屋のバイトさんは、おみせのおくから、カレールーと、大豆を水でにこんだものをとってきました。
ゆめちゃん「大豆でげんきになれるの?」
本屋のバイトさん「大豆は、畑の肉というからね、えいようまんてんだよ。あと、カレールーがあればかんたんにつくれるよ。店長が買いすぎてこまっていたから、もらって」
ゆめちゃん「こんなにもらえるの?」
本屋のバイトさん「うん。げんきがでるカレーづくりのおてつだいがわりにね」
ゆめちゃん「どうも、ありがとう!」
ゆめちゃんは、カレーはうまい、カレーはからい、と歌をうたいながら、やおやさんへつきました。
やおやさん「らっしゃい、らっしゃい、しんせんなやさいが、やすいよ、やすいよー」
ゆめちゃん「すみません!」
やおやさん「へいよ」
ゆめちゃん「げんきになれるカレーにぴったりのおやさいをください」
やおやさん「あいよー。おじょうちゃん、にがうり・きんかんのはちみつづけ・大豆をもっているんだね。そんなら、このやさいがあうよ」
やおやさんは、まっかなトマトを出してきました。
やおやさん「トマトは、おいしゃさんがまっさおになるくらいげんきになれるやさいだ。こいつをカレーにいれりゃあ、むてきよ」
ゆめちゃん「おいくら?」
やおやさん「とくべつサービス、三こで八十八円!」
ゆめちゃん「おかいどく!」
ゆめちゃんは、いそいでおうちにかえって、みんなにもらった物でカレーをつくりました。さてさて、おかあさんはげんきになれるかな?
おかあさん「ゆめちゃんがごはんをつくってくれたの? おかあさん、とってもうれしいわ。いただきます」
ゆめちゃん「いただきます!」
【出演】
ゆめちゃん:安達太良まゆみ
おかあさん(声)・ピアノのせんせい:本居夕陽
ブランコちゃん:夏祭華火
本屋のバイトさん・ナレーション:大和ふみか
やおやさん:与謝野・C・萌子




