日本文学課外研究部隊 寸劇「すはいけ! 萬葉レディ」
作:与謝野・C・萌子
曇天の昼、ある町の路地裏にて、いたいけな娘が奇怪な三人組に追い詰められていた。
おにぎり魔人「シャーリ、シャリシャリ! もうおまえの逃げ場はないぞ」
ハニワ戦闘員A「ないぞ」
ハニワ戦闘員B「ないぞ」
おにぎり魔人「さあ、おまえのイノセントな歌心をもらおうか! やれ、駒ども!」
ハニワ戦闘員A・B「ハニハニハニ~」
いたいけな娘「だ、だれか、助けて!!」
ハニワ達の手が、娘の胸にふれそうなところに、衝撃音が入る。ハニワ達の額に、吸盤付きの矢が当たる。ハニワ達、気絶。
おにぎり魔人「何奴!?」
翼のような白いマントをたなびかせて、左手より救世主登場。
萬葉レディ「何奴、でも、おやつでもない! 奴は奴でも、冷や奴が好き! そんな私の名は、救世の歌人・萬葉レディ!」
萬葉レディ、腰に差した指示棒を抜き、魔人へ先を向ける。
萬葉レディ「『萬葉集』に代行して、成敗するわ!!」
娘、逃げる(右手へ退場)。
おにぎり魔人「くっ、あと少しだったのに。許さん、おまえをぺちゃんこにしてせんべいにしてやる!」
魔人、萬葉レディに襲いかかるが、かわされる。
萬葉レディ「イノセントな歌心を奪って、世界に風雅を無くそうという悪事、見過ごすまじ!」
萬葉レディ、指示棒を回転させ、狙いを魔人に定める。
萬葉レディ「この一首を、聞かせてあげる!」
おにぎり魔人「なっ!?」
萬葉レディ「荒磯こす 波は畏し しかすがに 海の玉藻の にくくはあらずて!」
魔人に緑と青のライトが当たり、藻(緑のビニールテープ束)がかかる……はずが、
「おいっ、あんでガチの藻がはなび様にベタついてくるんだよっ! 個包装の味付けのりと、わかめと昆布まで飛んでる! 演出過多だぞ、荒布のまゆみっ!!」
「あらー、ごめん! 戦いの場面だから、力が入っちゃったわ。ちなみに海藻の中では、あおさが好き! お味噌汁の具にしたい私の名前は、安達太良まゆみ!」
めでたし、めでたし?
【出演】
萬葉レディ:安達太良まゆみ
おにぎり魔人:夏祭華火
ハニワ戦闘員A:仁科唯音
ハニワ戦闘員B:大和ふみか
いたいけな娘:本居夕陽




