あとがき(めいたもの)― スーパーヒロインズ! ものぐるほしきことども第一部 ―
改めまして、八十島そらです。
『スーパーヒロインズ! ものぐるほしきことども』第一部の結びに、あとがき(めいたもの)をつらつらさせていただきます。第一部まだ読んでいないよ、という方でも差し支えないような内容ですので、これを先に目を通されても構いません。
本作は、『スーパーヒロインズ!』の番外編です。本編に層を重ねるためのもの、のほか、本編の前に味見できる用の話の数々でもあり、番外編だけでも楽しめるようになっております(そうなるよう、八十島、息たえだえになりながら知恵をしぼっているらしいですよ)。本編では登場しなかった人物を取りあげていますので、さてどんな学生や先生がいるのかな、と構内探検する気分で読んでくださると幸いです。
恒例の、各話について語ろうコーナーです。
第一段:これも日本文学課外研究部隊
『徒然草』はネタの宝庫に思えてなりません。空き地での決闘に負けて顔面が体液でぐしゃぐしゃになって帰ってきたあの日、にわか雨とこっそり行動を観察させてもらっていた美少女に「ふられて」足を引きずっていたあの日、兼好法師の言葉に励まされていたものです。本編より軽く、ハチャメチャ度を高くするつもりだったのに、どうして鼎をかぶったのでしょうか。出だしにしては、女子っぽくない戦いです。イメージした色は、海松色です。自然に囲まれ娯楽にふける暇のない大学の生活は、こんな色なのではないかなと思います。
第二段:顧問著聞集
安達太良まゆみ先生は、それは偉大な先生でありまして、伝説をいくつも生んでいらっしゃるのです。日本文学課外研究部隊に入る前のふみかと、まゆみ先生はどんな感じだったのか気になってこの結果でございます。よく食べてよく眠ると、素敵なご婦人になれるのでは。いっぱい召しあがってくれる君が好き! 結婚してください! イメージした色はインディアン・イエローとサフラン・イエロー……八十島、まゆみ先生に引っぱられるの巻。本編四番歌の図書館司書さんの正体をついでに明かしています。
第三段:歌合 (うたあわせ) 唱 (しょう) する武士 (もののふ) ども
題名が既に混沌としています。「歌合」と「合唱」が奇跡の融合……できていたらほっとします。芸術学部の先生であります鳥下先生は、「無題の音楽会」なる番組で有名なお二方を想像してください。元・某市立音楽ダーンの音楽監督様と、クラシックを絵や分かりやすい説明で親しみやすくしてくださるなんとかアイランド様です。イメージした色は、菫色です。某公立高校には、音楽科があるためコンサートホールが五階に作られているとか。弦楽器と花の名前をかけた粋な施設名です。高級ピアノが置いてあるそうですよ。
第四段:ねてもさめても
イメージした色は、桜色です。秋なのに、桜です。コスモスではありません。唯音さんと夕陽さんは、日本文学課外研究部隊のお姉さん組ですので、他の三人がかしましいことになっても(ん? 一人本を読んでいて巻き添えになっている?)、うふふふふと温かく見守ってくれる大人な対応ができるのですよ。二人組のお話は、いろいろ試してみたいですね。ありえない組み合わせが、意外といい味を出してくれたりするのです。昔、食べ合わせが流行っていましたよね。試してみたかったけれども、保護者の目が光っていたので、とてもとても。
第五段:鯉しなば
「恋しなば恋もしねとや玉鉾の路ゆき人の事もつげなく」、『萬葉集』巻第十一・2370番歌をどこかの講義で知って「恋しなば!」と覚えたての言葉を連呼したがる幼な児に退化していました。本編六番歌に登場したあの高校生が主役です。イメージした色は、橙色と緑青です。西大寺と尼ヶ辻との距離が短すぎませんか? 徒歩で行けそうなのですが。平端に着くと、あと少しだなあと安心するのですよ。乗換の経路にまだ慣れていなくて恥ずかしい。前栽を通ると、強者が集まるキャンパスが見えてきてですね、気が引き締まるのです。
最後に、本編と番外編の各話を時系列に並べますので、参考にしてみてください。本編は「第○番歌」、番外編は「第○段」です。
第一番歌→第二番歌→第三番歌→第四番歌→第五番歌→第一段→第四段→第三段(練習)→第五段→第三段(本番)→第六番歌→第二段
それでは、第二部のあとがき(めいたもの)にてまたお会いしましょう。




