8. 東の森の雪辱戦
今日も、東門を抜けた草原には冒険者は多くなかった。初ログインのプレイヤーは増えてるのに、なぜか?カイトに聞くと、フィールドがめちゃくちゃ広くて、町中以外はあまり混雑が起こっていないらしい。
すでに攻略組によって3つの町が開放されたが、隣町に行くのも、歩いてだと1週間もかかるのだ。たしかにプレイヤーが溢れることはなさそうだ。しかし、ガチな中世だな!
そんな距離だと、移動は徒歩以外の移動手段もある。馬車や馬などだ。
オーネンの町で見た緑のダチョウは馬車を引く専用の鳥だった。他には普通の馬もいる。カイトは騎乗スキルを持っているので、攻略の前線の町で白馬を乗りこなしているらしい。
草原では、相変わらず、石ころや植物を片っ端からインベントリに入れている。
「魔女職を取ったときには、どうなることかと思ったけど。
そうやって採取してるところを見ると、案外、悪くなかったみたいだな。」
カイトは、両手持ちの長剣で一角うさぎをバッサリ切りながら、声をかけてきた。
この何戦か、一角うさぎとの戦闘が立て続いている。
俺は初撃に石ころを当てるだけで、あとはカイトにとどめをさしてもらっていた。経験値は入ってくるので、さっきレベル2に上がった。カイトはレベル18。
「まあな。今は攻撃力は底辺だけど、もともと、やろうと思ってた料理は取ったし、調合もやってみたら、実験みたいで面白いんだよな。」
「そうか、そうか〜。今回のレベリングの報酬は、ルウトの料理で払ってもらうかな〜。」
「ゲームでも、俺に飯をたかる気かっ?!」
道中で何戦もして、ようやく森に差し掛かる。魔物をほとんど避けていた前回とは大違いだ。
今日も、採取の本番はこの森だ。
前回のような無様なことにはならないぜ!レッドコングに目にもの見せてやる!!
しばらくすると、また野生の果物の群生地に出くわした。クランベリー、ライチ、ブルーベリー、イチゴ。進んできた道と、生えてる果物の種類から判断して、前回、レッドコングが出てきたのは、この辺ではないだろうか。美味しいポーションにも、料理にも使えるから、果物は採取しておこう。
そこに「ウホ ウホ」と唸り声が聞こえて、赤いゴリラが2匹現れた。
出たな!
あの時の雪辱、ここで晴らしてやる!!
「レッドコングか!ルウトは接近攻撃を受けるなよ!」
と、カイトが忠告して、レッドコングの方へ飛び出していく。
俺は距離を取りながら、もう1匹のレッドコングを警戒していると、何か投げつけてきた!
来たっ!
すかさず、曲がり草のツルの先を、前方の木の枝に絡ませ、ツルを両手で掴んだまま前へ跳んだ!
ツルにぶら下がり、ターザンのように宙を飛ぶ。
「アーアアーーーー!」
ターザンと言ったら、この掛け声は必須だよな。
そのまま、飛んできたクランベリーを躱し、ターザンの体勢で勢いがついたまま、絡ませていたツルを枝から解除。宙に放り出された俺は、レッドコングの真上の枝に着地した。
すぐにインベントリから、両手で抱えるほどの石を取り出し、下のレッドコングにターゲットを合わせる。筋力の低い俺には、重い石は長く持てないなら、早めに落とさなくては。ターゲットロックがかかり、投擲スキルは発動した。重量が重いせいだろうか、レッドコングのHPを2割も削った!!やったぜー!
レッドコングが真下でひるんでいるうちは重い石を落とし続け、距離を取られたら、石ころの投擲に切り替えた。
カイトが1匹のレッドコングを倒しかかったところで、俺の下にいるレッドコングが両手で胸を叩き、ゴリラのあの威嚇をした。
カイトが1匹を倒した勢いのまま、
「ルウト、気をつけろ!レッドコングが仲間を呼んだぞ!」
とこちらに警戒を発する。
やっぱり、あの時と同じく仲間を呼んだのか!
警戒をしていると、方々の枝にレッドコングの姿が現れた。今回は木の上は8匹か?そうこうしているうちに、俺とカイトに向かって物を投げつけてくる。
再び曲がり草のツルを取り出し、隣の木の枝に巻きつけ、ジャンプ!
「アーアアーーーー!」
掛け声とともに、レッドコングが3匹いる木の、別の枝に着地した。その間も投げつけ攻撃でダメージを受け、徐々にHPを減らしている。
自分の足場の木の枝に手を当てて、グリーンフィンガーを発動。木を伝い、3匹のレッドコングを乗せていた枝を大きくしならせ、3匹を空中へ放り投げる!そのまま地面に叩きつけられて、3匹のHPは半分近くまで減った!
さっきまで俺が相手をしていた地上のレッドコングを、カイトが剣で一撃で屠り、別の木の上のレッドコングに向けて叫んだ。
「ライトニングアロー!」
薄暗かった森の中で、光の矢が生まれ、5匹のレッドコングに迫り、枝から落とす。
そのスキに、俺も石ころを投げて、地上に落ちたレッドコングに当てたが、倒すまでいかない。
再び、カイトがライトニングアローを放つと、地上に落ちた3匹も光となって消えた。枝から落ちたレッドコング達もそのまま消えてドロップに変わったようだ。
「助かったぜ!」
俺が礼を行って近づくと、カイトはうずくまっていた…!
さっき、負傷したのか…?!
いや、でもレッドコング達の集中砲火のような投げつけ攻撃にも、動じてなかったはずだ…!
「…フハッ……ハハハハハーッ!
…赤ずきんちゃんが、ターザンて…ふはははっ」
大爆笑かよ!
自分で読む気で書いてましたが、読んでくださる方が意外と多くて、びっくりしました。ありがとうございます!




