35. 街角ファッションチェック〜ジェニファー視点
今日の私は一味違う・・・!
黒のミニスカートワンピースに、黒の網タイツとオレンジのハイヒール。
さらに、頭の猫耳の間には小さな黒いシルクハットがちょこんと乗り、髪はオレンジ、背中には黒い羽。
しかも、頑張って、胸の谷間が見えるほどにざっくりと首元が開いたスタイルで、小悪魔感を出しているの・・・!
そこに、赤ずきんちゃんのカラー☆コスメで、耳と尻尾の色を黒に変え、瞳にはコンタクトを入れた。
コンタクトは最近発売されたばかり。ヘアカラーや化粧品と同じく、瞳の色を変えることができて、しかも、オレンジのハートの形が浮かんでいる。アイシャドウは、アクセントカラーとして、妖艶な紫をチョイス。
オレンジと黒で統一された、完璧なハロウィーンコスプレ!
ハロウィーンコスプレに便乗して、セキさんにアピールしようという作戦よ。
今日のこのハロウィーンの日に、セキさんと会えることは分かっていたからね。
ふっふっふっふ・・・!
「ジェニファーさん、セキさんの妄想しているとこ、悪いんですけど、そろそろ本番ですよ〜。」
「分かってるわよ!」
今日も今日とて、カメラマンはスズキ。こいつは、ハロウィーンなんか関係なく、相変わらず地味ね。
チャット機能から、ステファニーの仕事用の声が聞こえてきたわ。
「中継のジェニファーさん!オーネンの町はいかがですか?」
「ハッピーハロウィーン!
こちらは、赤ずきんちゃんのコスメシリーズ発祥のオーネンの町ですニャン!
ハロウィーンなのもあって、行き交う人の中にも、髪の色や肌の色を変えている人が多くいましたニャ〜。
私も、今日は三毛猫から黒猫に変身していますニャン♪」
「本当にお似合いですねー。」
ステファニーの全く心にもない褒め言葉が返ってきたけど、中継の周りにいた私のファン達が拍手を送ってくれて、気を取り直す。
「こちらの方にお話を聞いてみましょうニャン!
もうカラー☆コスメは使ってみミャしたか?」
この中継のために来てもらっていた、エルフの女性にマイクを向ける。
「はい、使ってみました。
前は肌が白かったんですけど、今は小麦色にしました。
ダークエルフになったら、彼氏にすごく喜ばれました♡」
リア充、爆発しろ!を心の中で3回唱えながら、顔には一切出さない。
「ニャンと〜♡それは素敵ですニャン!
・・・次の方にも聞いてみますニャン。
あなたは、カラー☆コスメは使ってみミャしたか?」
エルフの女性の横に並ぶ、人族の女性に声をかける。
「ええ、初期設定にはないピンクゴールドの髪にしました♪
これできっと男運も上がると思うんですよぉ。もしかしたら、モテモテになっちゃうかも♡
だって、ピンクゴールドって、いかにも乙女ゲームの主人公じゃないですか!」
え、私もピンクゴールドの方が良かったのかしら・・・と一瞬の気の迷いを振り払う。
「お似合いですニャン!叶うのが楽しみですニャ〜。
・・・こちらの男性にも聞いてみミャしょう!
あなたも使ってみミャしたか?」
次に、乙女ゲームの隣にいる、紫の肌の男性に声をかけた。
「は、は、はい・・・・あ、・・・。」
まずいわ・・・!この人、ガチガチに緊張している。
「緊張しちゃってミャすか?大丈夫ですニャン。」
緊張をほぐそうと声をかけてみたんだけど、黙りこんでしまい、ぷるぷると震えている。
困ったわ・・・!
まだ中継の時間が残っているのに・・・!
しかも、生中継!どうしよう。
その時、横を通り過ぎる人がいて、つい、その人にマイクを向けてしまった。
「通りすがりのところ、すみませんニャ!
カラー☆コスメについてインタビューしていますニャン。
答えてもらうことはできミャすか?」
「もしかして、ジェニファーちゃん?!
本物もかわいい!!
ジェニファーちゃんになら、何でも答えちゃう♡」
スズキが機転を利かせて、撮影許可が撮れたところで、この女性へとカメラを向けた。
やむをえず、とっさにマイクを向けてみたものの、この人を見た瞬間ヤバい!と思ったわ。
中継の周りに集まっていた私のファンが、声なく騒めき、口パクで「きたーーー!」と言っているのが見えた・・・。
なんと、信じられないことに、この若い娘は、うさぎ獣人でバニーガールの姿をしていたの!
それだけでも話題をかっさらうには十分なのに、今日に限って、私と衣装がもろ被り!!さらに、私より露出度が高い!
黒いうさ耳に、波打つ金髪のパーマ、黒いレオタード、黒い網タイツ、赤いハイヒール。口もとにホクロがあるセクシーな顔立ち・・・!
そして、胸が・・・!
私よりも全然大きくて巨乳、いいえ、爆乳なの!
こんなのリアルであるわけないでしょ?!
絶対盛ってるわよ!絶対盛ってるわよ!!絶対盛ってるわよー!!!
同じ背格好で並んだら、比べてって言ってるようなもんじゃない(泣)
「・・・あ、インタビューだったね!
カラーリングはしてま〜す!
この髪、赤だったのだけど、金髪に変えちゃいました〜!
赤もセクシーだけど、この格好にはやっぱり金髪でしょ〜?」
どや顔で言ったバニーガールの横で、私のHPはゼロよ・・・。なんとか中継をつなぐ。
「・・・ほんと、お似合いですニャー・・・。
他にも、両目の色を変えてオッドアイにしたドワーフ、獣魔の色を変えているテイマーもいましたニャー・・・。男性の大多数にはタトゥーが人気で、カラー☆コスメの男女を問わない人気の高さが伺えましたニャー・・・。
スタジオにお返ししますニャー・・・。」
スズキからOKが出たところで、どっと疲れた。
セキさんが、さっきの中継見ちゃってたら、どうしよう・・・!
「わぁ〜!本当にジェニファーちゃんだ♡
良かったら〜、あたしとぉ、フレンド登録してくれませんか〜?」
中継後にバニーガールが嬉しそうに寄ってきた。
「すみませんね〜。
ジェニファーさんは、一応、有名人ですから、フレンド登録は控えさえてもらっているんですよ〜。
・・・良かったら、俺とどうですか〜?」
珍しくスズキが割って入ってきたと思ったら・・・!
乳か・・・?!乳がそんなにいいのか・・・?!
「え〜!あたし、イケメンって、嫌いなんですよ〜☆」
「俺が?イケメンなんかじゃないと思うけど。」
「あたし、わかるんです〜。あなた、イケメン臭い・・・。」
なんか、思ってたのと違う・・・・。スズキとバニーガールが睨み合っている。
「まぁ、今回は引いてやる。」
「それはどうも〜。次回なんて、ないと思いますけどね〜。」
バニーガールは不敵な笑みを見せ、さっきとは全然違う言葉遣いをした。2人が睨み合った後、バニーガールは去って行った。
なんか、怖いんですけどー。
私はため息と一緒に、小声で漏らす。
「・・・スズキも、どおせ巨乳がいいんでしょ・・・?」
「もしかして、嫉妬ですか?」
「そんなわけないでしょ!私にはセキさんがいるんだから!!」
「はいはい、早く帰らないと、そのセキさんが帰っちゃいますよ〜。」
「そうだった!こうしていられないわ!」
私は、スズキとのやりとりでちょっとだけ元気を取り戻して、セキさんのいるクランの拠点へと向かった。




