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34. お披露目パンダ

 


 白くまのタアモの呑気な声が、俺の背中からする。


「も〜い〜かい?」

「まーだだよ! はぁ、はぁ!」


 それにお決まりのフレーズを返しながら、俺は息切れを起こしていた。


 モフリストの暴徒化ふたたび。今、カイトと一緒にオーネンの町を走り抜けている。背中にタアモを背負って。

 マントでタアモの姿を隠しているのに、この暴挙である。あいつら本当にしつこ過ぎるぜ!ゾンビゲーかよ!?

 今日も、カイトは俺とタアモの護衛役を務めてくれていた。


「もうすぐだ!ルー、頑張れ!」

「ぜーはー」


 ようやく、店長の店に着き、飛び込むように店の扉を開けた。


「いらっしゃいませ、ルーさん、カイトさん。」

「おつかれさん。息まで切らして、ほんま、えらい大変そうやなぁ。」

「ハロー!赤ずきんちゃん、やっぱりそのマント、似合ってるわよ☆」

「よぉ!元気そうだな。今日も呼ばれて来てみたが、店貸し切るなんて、よっぽどか?」

「ルーちゃん、こんにちわ!私、本当にこの場に同席していいのかしら?」


 俺とカイトが店に飛び込むと、ハデス氏、アッキー、ミシェル、セキ、ミントが出迎えてくれた。

 店長は、俺の背中から、タアモを抱き上げて、下ろしてくれている。


 俺もイマイチ分かっていないが、調合で見つけたことを面白半分でカイトに話したら、この場をセッティングされた。


「今日は集まってくれて、ありがとうな!

 とりあえず、見てもらった方が早いと思うんだ。」


 タアモに近づくと、また、あのお決まりのフレーズを繰り返した。


「も〜い〜かい?」

「もういいよ」


 俺は応えて、タアモにつけていた、マントとアイマスクを外す。アイマスクに気の抜けるような目のイラストが入っているのはご愛嬌だ。タアモがずっと「もういいかい?」と聞いて来たのは、このマントとアイマスクを外していいか?ということだったのだ。


「「「「「!!!」」」」」


 その場にいる全員が驚いていた。

 セキがいち早く再起動する。


「赤ずきんが白くまを連れていたという情報は入ってきていたが、パンダも見つけたのか?」

「いや、これが、その白くまのタアモだぞ。」


 そう、そこにいるのはタアモに間違いないんだけど、白と茶色の色合いのパンダだった。現実でも激レアな茶色パンダ。


「か、か、か、可愛いいいいーーーー!」

「いや〜〜〜ん!この子は、ヤバいわぁ〜〜!」


 動物マニア達には、効果はバツグンだ!


 確かにうちのタアモは可愛い。耳がまるっとして頭がくりっとしてモフモフ、目もくりっとしながら、きらきらで、極めつけがモフッとした尻尾だ。わしゃわしゃしてると時間を忘れるぞ。それが今日は、パンダバージョンだ!


 カラカラカラーンという、店長の持っていたお盆が転がる音がして、店長がタアモを見て、呆然と立ち尽くしていた。

 この光景、前にも見たな。


 前回、店長に遊んでもらっていたタアモは、人見知りすることなく、店長の元へ行った。

 そして、芝生の座席スペースで、店長がタアモを抱っこしながら、ゴロンゴロン転がる。タアモがキャッキャと喜んでいる。

 この光景も、前に見たぞ。


 そっちに行きたそうにする、ミントとミシェルを落ち着かせ、カイト、アッキー、セキも一緒に、テーブルに着いた。


「お化け屋敷の”湖の洋館”で着色剤のスクロールを、ミント達と一緒に手に入れて、調合したんだ。

 そっちは問題なく出来たんだけど、魔女のレシピの”チャーム剤”と混ぜたら、カラー☆コスメというものができた。

 それがあれだ。」


 俺は、タアモを指差し、次にタアモをカラーリングしている動画を見せた。

 このカラー☆コスメは、半永久的に色を変えるようだ。


 ちなみに、ジャックに「肌の色を変えたいか?」と聞いたら、断られた。


「オレ、エダマメイロ、

 オレ、エダマメ、スキ、

 オレ、カエナイ」


 自分の肌が大好きな枝豆と同じ色だから、変えたくないらしい。

 ジャック〜!お前のそういうとこ、好きだぞ〜!


「な、な、な、なんやこれ〜〜〜!」

「え!肌の色も、髪の色も・・・?!アタシもこれ、使いたいわー!」

「はっはっは、またすごい爆弾を放ったな!」

「はわ〜、できたのは、着色剤だけじゃなかったんですね!」


 俺は、こんなにすごい反応がくるとは思っていなかったが、その反応をカイトが苦笑いして眺めているところを見るに、予想の範囲だったのだろう。


「あとな、こんなのもできてな。」


 俺が取り出したのは、2つのシャーレ。

 それぞれ、紅い固形物と肌色の粉末が入っている。


 固形物は、カラー☆コスメにアーツの乾燥を加えて出来た。粉末は、アーツの乾燥を2回かけて出来たものだった。


「これは・・・!」


 ミシェルは、見ただけで分かったようだ。


「口紅とファンデーション?!」


 たぶん、そうだ。

 色々試していたら、それっぽいのができたのだ。

 肌の色を変えるのと違って、やや薄く着き、着色できる期間が短いものになっている。


 ミントが試しに、自分の手の甲やアッキーの顔に塗っている。

 ミシェルがワナワナとしていて、鬼気迫(ききせま)る顔をする。こえぇ〜〜。


「これは、ファッションの革命やーーーー!」


 あまりの混乱に、ちょっとアッキーとキャラが(かぶ)ってんぞ。


「ほんまそれ!

 メイクもそうやけど、肌と髪のカラーリングは、初期設定以来の変更になるから、めちゃくちゃ需要があるで!

 今回も、お金の匂いがめっちゃするやん!さすが、ルーや!」


 アッキーがお金に目を輝かせるのは、通常運転だな。


「今回は、安くしろとか、レシピを公開しろということは無いんだがな。影響力が大きそうなんで、こいつに問合せが殺到して混乱する前に、このメンバーに相談できないかと思って。」


 カイトがフォローしてくれた。

 なるほど、そういうことか。確かに、みんなの反応からすると、かなり売れそうなものだもんな。俺が対応できる気がしない。


「ほな、前回みたいな感じでやっちゃって、ええの?ウチはめっちゃ嬉しいけど。」

「うちのクランも、この情報は評判になると思うから、そうしてくれると嬉しいな。」

「逆に俺からも頼むよ。皆に協力をお願いしたい。」


 アッキーとセキがカイトに賛同してくれたので、俺からお願いさせてもらった。

 カイトがさらに続ける。


「それからな、このレシピ、まだ応用が効くんじゃないかと思うんだ。」

「応用?」

「ああ、ミシェルさんなら、わかると思うんだけど、これを布の染色に応用できるんじゃないか?」

「・・・その可能性はあるワ!

 この間まで、赤ずきんちゃんの赤でさえ、色を染めるのに苦労していたのヨ!

 それが、どんな色でもできるなんて!夢みたい☆」


 そんなこんなで、商談がまとまって、お祝い気分で店長の手料理をみんなで食べる。


 その後に、ミントが自慢の画家の腕前でミシェルとアッキーの顔に化粧をしたのだが・・・。

 ゲームの中とはいえ、化粧って、こんなに変わるものなのか・・・?いや、別人だろ?!

 それともCGみたいなゲームの力が発動して、これなのか?!

 ゲームの力が発動していないとしたら、現実の女子メイクは、どうなってるんだ?!


 三度に渡って、その作品で俺を恐怖に(おとしい)れるとは・・・!

 ミント、恐ろしい子っ・・・!



ミントちゃんが主人公を恐怖に陥れた過去作品は、13話の怖ネコ(→目つきが怖い、邪悪な鳴き声)、20話の黒くまカフェのデザイン(→おしゃれ過ぎて怖くて入れない)でした。


ここまで読んでいただいて、ありがとうございます。

この「赤ずきんちゃんのてへぺろ生産ライフ」を毎日配信していましたが、着色剤関連の話で一区切りつくのと、ぼちぼちストックが尽きてきたので、11月中に一時配信停止か、頻度を落として配信させてください。

よろしくお願いします。

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