22. 紙装甲卒業
黒くまカフェでミントと別れ、カイトとりんと、オーネンの外郭の町を歩く。
カイトに防具屋を紹介してもらうことになっていたのだ。
「赤ずきんちゃんじゃないの〜!
ちょっとの間に有名になっちゃってぇ〜!
魔除けの境界、買わせてもらったわよ☆」
今日はツインテールマッチョじゃない。ポニーテールマッチョだった。
そして、服は赤のドレスに黒のハイヒールである。今にも、フラメンコを踊り出しそうだな。
「ルー、ミシェルさんと知り合いだったのか?」
カイトが意外そうな顔をしている。
そう、カイトの紹介してくれた防具屋というのが、ミシェルの店だったのだ!
攻略の第一線にいるカイト達のクランが、この店をよく使っているという話だったんだが・・・。
店名は"FANCY"。
その名の通り、ひらひら率が高い。
思わず、カイトの防具を見る。上腕部と胸当てのみ金属で、服は普通だな。ひらひらしていない。あとマントとアクセサリー、それと靴ぐらいか。
「安心しろ。ここの展示は、一部の顧客向けの防具のみだ。俺たちの防具は別にあるから。」
カイトが俺の視線の意味を見透かして、小声でフォローしてきた。
「もしかして、ウサミミローブを開発したミシェルさんですか・・・?!」
りんが期待するような目でミシェルに聞いた。
「そうよ、ウサミミがついたフードローブを作ったのは、アタシよ。」
「わぁ〜!!本物のミシェルさんだー!!」
妹にとっては、憧れの人だったようだけど、ミシェルへの順応早すぎないか?
りんのテンションとリンクするように、獣魔のリスのベンジャミンがりんの肩の上でぴょんぴょん跳ねる。
「赤ずきんちゃんってば、カイトくんのお友達だったのね!
世間て狭いわぁ〜!
おかげさまで、赤いドレスを作れたわ☆」
「ミシェルが、カイトと知り合いの防具屋だったのか!
ちゃんと染色できたんだな。
あの時の約束通り、防具を買うことになったぞ!
それで、どんなのがいいんだ?
防具買うのは初めてだから、選び方を教えてくれないか?」
「フフフ、正直ね〜。
いいわ☆アタシが教えてあげる!」
ミシェルから戦闘スタイルを聞かれて答える。
「そうねー。
それなら、魔法耐性のある防具がイチオシね!
筋力がないなら、物理防御力の高い金属装備はダメなのよ。まだ、軽いのは出回ってないからぁ。
その代わりに敏捷を上げる靴なんて、どう?
赤ずきんちゃんのサイズだと、子供用でも選んでもらえるし、大人用でもサイズ調整するわよ♪
投擲するなら、命中率アップのアクセサリーがいいかしら☆」
おう、適切なアドバイスが来たな。これは、期待できそうだ。ミシェルに任せて、適当に見繕ってもらおう。
「それから、デザインはどうする?サイズ調整するなら、一緒に変えられるわよ?」
ミシェルの話に、りんから無言のプレッシャーが・・・。
「デザインとか分からないから、任せる。そのままでもいい。
あ!ひらひらとピンクはなしで。」
俺がそう言うと、りんが安心したようにプレッシャーを解いた。ほっ。
この間のことをまだ根に持っているみたいだな。
この間、人からもらったTシャツを着て出かけたら、りんに怒られた。
"泥舟"と漢字でデカデカと書かれたTシャツだったからだ(笑)
しかも、なんとも言えない表情のうさぎとたぬきと、泥舟らしき雑なイラスト。そして、背中には「カチカチ」と縦に文字が入っていた。まさかのカチカチ山Tシャツだったのだ・・・!
アホな先輩は、背中のカチカチを見て「卑猥だ」と言った。なんでやねん。お前の発想が一番卑猥だわ!
問題は、その面白Tシャツを着て、りんの友達に出くわしちゃったのだ(笑)
俺もそのTシャツはおしゃれだとは思わないけど、人からもらったTシャツだしさ。そいつと会う約束してたら、着るだろ!
ちなみに、Tシャツをくれたそいつは、ジェイクと言うカイトの友達だ。漢字Tシャツが好きな奴なんだ。
で、会いに行ったら、ジェイクが「普通に着たのかよ!」と笑った。おい。
そこでも、やっぱり、カイトは爆笑してた。今も、俺とりんのアイコンタクトの意味を察して、カイトは隣で笑っているな。
ミシェルは、りんの視線には気付かず、新しい話題を振ってきた。
「そうそう、最近入ったニュースなんだけどね・・・!
なんでも、このゲーム内で季節の変動が起こるらしいの!
これから冬になると、この辺りは雪が降ったり気温が下がるって。
最近は防寒具が、ちらほら売れてるのよ。」
「それは初耳ですね。」
カイトが驚いた顔をしている。トップクランでも知らないのか?
「まだ不確定情報なんだけどね〜。
生産組には、町のNPCからの情報も多く入ってくるわ。
知り合いの商人なんか、NPCに冬支度の商品を頼まれて売ったって!
東の森は北に行くほど、紅葉してるんだけど、それがだんだん南に降りて来ているらしいわ。」
うちのホームから見た虹色の森のことだな。確かにだんだん緑が減ってきて、黄色と赤が増えてきていた。寒くなって紅葉が広がってるということか。
そう言えば、この間、薬草とポーションを薬屋のバーバラさんのところへ持ってった時に、「そろそろ冬将軍の季節さね。あんたは準備してるのかい?」って、聞かれたなぁ。あれも、そういうことか。
「確かにそれは信憑性が高そうだ。
俺もクランに確認してみます。
そういえば、砂漠エリアを通ったときは、熱暑でHPが減る仕様だったな・・・。
服装やアイテムを使って熱暑は防げたので、寒さも同じかもしれないですね。」
カイトが言っているのは、最新の攻略で4つ目の町に到達した時のことだろう。4つ目の町は、フォービアと言って、砂漠のオアシスの町らしい。オアシスの町なんて、おもしろそうだな!
いずれにせよ、寒さ対策が必要な可能性があるのか。
ミシェルが装備を見繕ってくれたので、その中から選んだ。これで紙装甲は卒業だ!
残念ながら、お金はあっても装備条件が合わず、Lv.6ぐらいまで使えそうな装備が限界だった。
サイズが大きいので、調整してもらうことになり、後日受け取ることになった。締めて15万Gほどだった。
なお、ミシェルとりんの強硬によって、マントはフード付きで赤に決まった。
へぇへぇ、どうせ俺はデザインに興味ねーですよ。
レッドベアのマント
品質:3 レア度:3 耐久:150
防御+8 魔法耐性+10%
レッドベアのチュニック
品質:4 レア度:2 耐久:200
防御+14
疾風のブーツ
品質:4 レア度:3 耐久:180
敏捷+3
狩人の腕輪
品質:4 レア度:3 耐久:160
命中率+10%
装備条件:器用40以上
幸運のネックレス
品質:6 レア度:3 耐久:120
運+4
防寒用も買っておいた。ぬくそうだな!
ラビット毛皮のマント
品質:4 レア度:3 耐久:170
防御+6 魔法耐性+10% 防寒
ラビット毛皮のブーツ
品質:3 レア度:3 耐久:160
防寒




