21. 美味しいポーションの価値
今日、この「黒くまカフェ」に皆に集まってもらったのは、他でもない俺の用事だ。りんだけ、暇だったようで着いて来た。
カイトに俺の完成ポーションを飲ませた時に、アッキーに相談してみたらどうかという話になったのだ。
「これがポーション?!!めっちゃ美味いやん?!」
アッキーが驚愕の声をあげる。
今、飲んでもらっているのは、HPポーション。スポーツドリンク味のな。
そして、抹茶ミルク味のMPポーションも用意している。
試飲ということもあり、料理に詳しそうな店長にも同席してもらった。開店したばかりで、人がそこまで多くないそうで、ハデス氏だけでも今の時間は回せるそうだ。
「スポーツドリンクみたいで美味しいです〜。」
ミントの喜ぶ声に、店長がうんうんとうなづいている。
「え?ポーションって、こんなに美味しいの?まずいから飲むもんじゃないって聞いたよ。」
「りんちゃん、普通のポーションは本当にまずいんだ。だから、飲もうとするのは、何も知らないか、興味本位で試しに・・・という人ぐらいだと思うよ。・・・しかし、本当にスポーツドリンク味だな。」
りんが自分で味見してから獣魔のリスにもポーションを与える。りんとカイトが話している間に、ミント達は次のMPポーションを飲み始めてる。
「こっちは、抹茶味ですね♪」
「ほんまや。MPポーションも美味いわ〜。」
店長もまた、うんうんうなづく。
「やば。この抹茶、美味しい!私、抹茶ラテよりも好きかも〜。」
妹よ、それはミルクと砂糖が多めだからな。お子様舌め。
「どっちのポーションも、ええやん!」
「それがさ、俺、ポーションは飲むものだと思っててさ。本当は、投げても使えるんだろ?
そうなると、美味しいポーションを作ってもあまり意味がないかと思ったんだけど。」
「せやけど、空腹を回復させる効果もあるやろ?それがポーションと一緒なら、一石二鳥や!
それにこの味…!単体で飲みたい人も絶対出てくるで!!」
アッキーのスイッチが入って、一気にまくし立てられた。
「そんでな、HPポーションがスポーツドリンクの味で、MPポーションが抹茶ミルク味ちゅうのも、良うできとるわぁ!」
「アッキー、わかってくれるか・・・!
そうなんだ!戦闘職にスポドリで、魔法職に抹茶ミルクって、なんか合うよな!」
「せやねん!体育会系にはスポドリ、インドア派には抹茶ミルクや!」
俺とアッキーは、お互いの意見が一致したことに興奮して、ガッチリと手を握った。
え?微妙に噛み合っていないって?
「めっちゃお金の匂いがするわぁ!!」
アッキーが嬉しそうに笑って言った。
それから、トントン拍子にアッキーのお店に商品を卸すことが決まり、納品数や価格を決めた。魔除けの境界を延々と作ってた時に知ったのだけど、同じものを作り続ける場合はオート機能が使えるので、大量納品も問題なし!
そこでアッキーとは別れることになったのだが、アッキーのクランからは、魔除けの境界の収入の一部を、定率報酬としてもらうことになっている。今回、その一部を受け取ったら、なんと100万Gだった・・・!桁間違えたかと思った。
カイトの言ったとおり、錬金術でも”魔除けの石垣”なるものができたらしい。案の定、競合商品が出ているので、今後はもう少しおさまるということだった。まぁ、想定内だな。
それより、所持金が150万Gを超えただと・・・?!さらに金持ちになったぞーーー!
アッキーが去り、店長が仕事に戻った後のテーブルでは、ミントが相談を持ちかけてきた。
今日は俺の用事がメインだったのだけど、ミントから相談があるということなので、一緒にさせてもらったのだ。
「みなさんは、南の森にある”湖の洋館”については知ってますか?」
ミントが投げた質問に、俺とりんは首を振ったが、カイトは知っているようだ。
「あぁ、お化け屋敷のことだよな?」
「「お化け屋敷?!」」
俺とりんが飛びついた。
カイトがさらにそのお化け屋敷について話す。
「俺は行ったことないけど、アンデットモンスターが出るんだ。
攻略には関係しないと判断されて、プレイヤーは減ったらしい。
そこのボスが首無し騎士だったから、見つかった当初はかなり話題になったな。」
「はい、その洋館に画家の幽霊がいて、着色剤が手に入るイベントがあるそうなんです。」
「着色剤??」
「今、私が描いてる絵は、白黒でしょう?
この絵に色を付ける絵の具のようなアイテムです。
けど、それは、実際には調合のスクロールだそうで、ルーちゃんに調合をお願いできないかと思って。
できれば、その洋館の攻略も協力してもらえないかな?」
「行く行く!絵の具の調合も、面白そうだ!」
「お化け屋敷なんて、楽しそう♪」
「俺も参加させてもらうよ。攻略優先で行けてなかったけど、気になってたから!」
全員参加表明したところで、ふと不安材料が浮かぶ。
「でも、俺はレベル低いぞ。それでも大丈夫か?」
「この始まりの町のオーネンから遠ざかるほど、モンスターが強くなると言われているの。洋館は徒歩で1〜2時間で、比較的近いから大丈夫そうよ。
それに、火魔法や聖水なんかがあれば、なんとかなると思う。自分から言っておいてなんだけど、私もレベルは低いから。」
お化け屋敷に行くのは後日になった。
収入もどっさり入ったし、バッチリ準備して乗り込むぞ!




