表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
17/51

16. 魔除けの境界・改!

 


 やって来たのは、オーネンの町の東。森の奥にある、ゴブリンの巣の跡地(あとち)だ。

 11人もいると、狩りもあっという間で、ここまで来るのに意外と時間がかからなかった。


 ゴブリンの巣は、2日前に討伐されたばかりのものだ。

 俺とカイトで探索した時に、東の森でゴブリンが多かったのは、ゴブリンの巣ができ上がる前兆だったらしい。あの後、カイトが冒険者ギルドに報告に行ったら、同じような報告が寄せられ、討伐隊が組まれたのだ。それが、レイドボスイベントだった。


 俺もカイトから誘われていたが、ギルさんから料理道具一式をもらうクエストの最中だったし、まだ戦力が足りないのでパスした。

 イベントは冒険者ギルドの討伐成功として終わり、ゴブリンの巣は殲滅(せんめつ)された。


 ゴブリンの巣の跡地にわざわざ来たのは、イベントが終わったばかりで人が近づかず、更地(さらち)で開けた場所なので、今回の話をするのにふさわしい場所だとカイトが勧めたからだ。


 俺は、更地の一角に、魔除けの境界を撒いて行く。グリーンの土で一辺が6mほどの四角を描いた。

 ふっふっふ、今日までに魔除けの境界に改良を加えていたのだ。始まる前から血が騒ぐぜ。


「よし、準備が完了したぞ。カイト、セキ、頼む!」


 声をかけると、カイトとセキが動画を起動し、撮影開始だ。他のメンバーも話していたのを止めて、こちらに注目する。


 俺は、この日のために用意した赤い覆面(ふくめん)(かぶ)り、この場にいる全員に聞こえるように、ステータス画面のインターネットから引っ張ってきた、ある音楽を流す。


 ぴくりと男性陣を中心に音楽に反応した。

「この曲は・・・!」とプロ助がつぶやく。

 重厚で重々しい曲調から、アップテンポな曲に変わる。


 観客のボルテージが上がり、男達の手拍子と歓声を抑えるように右手を振りながら、王者の風格を意識して堂々とした足取りで歩く。

 魔除けの境界で描いた四角の真ん中まで進み、観客の方を向いた。


 曲の見せ場のところで、右手の(こぶし)をグッと天に突き上げ、


「ヤったらーーーーーー!!!!」


 と、「やってやる」の「ら行」を巻き舌になるぐらい強調して、叫んだ!

 有名な覆面レスラーの決め台詞だ!!


 同時に、魔除けの境界に着火。

 パーンという乾いた爆発音が鳴り、火花が散り、煙が立ち(のぼ)った!


 煙が晴れた先には・・・、イバラの柵、いや、有刺鉄線のリングが出来上がっていた。


 そして、このタイミングでなぜか、怖ネコが軽やかに跳躍を決めて、俺の頭に着地した。

 クッ!こいつ、良い見せ場で割り込みやがった!


 一瞬シーンとした後に、


「「「「「をおおおおおーーーー!!!!」」」」」


 という、熱狂的な声が上がる。主に男達の野太い声だが。


 ・・・大成功だ!


 そして、表示される「ホームに設定しますか?」のウィンドウ。


「一瞬で有刺鉄線のリングが出来上がるとか!!鳥肌立ったー!!」

「今のJPプロレスの覆面レスラーの登場シーンだろ?!やべー!!」

「有刺鉄線デスマッチ!!俺、このリングで技かけられたいっ!!」

「小さいお兄ちゃんがプロレスマネするの、可愛すぎる!」

「ちょ!何してん?!ホームやて?!!」


 一部、予想と違う称賛が混じっているが、カイトの連れて来た格闘スキル持ちの3人組を中心に大盛り上がりしていた。虎獣人のガーとゴリラ獣人のシロウは早速、リング内に入って、プロレス技をかけて遊び始めた。プロ助なんか、ちょっと泣きそうだぞ。そうか、こいつのプロ助の「プロ」は・・・察し。


「何を準備しているかと思えば、わざわざこれを用意していたのか。」


 カイトよ、苦笑いで言ってるけどな、わかってるぞ。お前もワクワクしちゃってんだろ?目は輝いてるぞ。

 さっき再現したレスラーの登場シーンは、カイトも好きな選手なのだ。「ヤったらーーーー!」の決めゼリフは一部で流行している。

 俺が魔除けの境界に改良を加えたのは、この決めゼリフを合図に、着火するようにしたことだった!

 放火草と言う、ちぎると燃え上がる葉を発見したので、使い魔とセットで使ってみたら、成功したのだ。


 俺がニヤニヤ笑っているところへ、ゆらりとアッキーが現れて、前からがっつり肩を掴まれ、びくっとする。


「・・・あんた、ルー、言うたね?」


 座った目で、低いトーンで凄まれてる・・・?え、何この雰囲気・・・。


「めっちゃええやん!!」


 さっきの雰囲気が一変。満面の笑みで、両手で肩をバシバシ叩かれる。


「これ、どこで見つけたん?!

 魔除けの境界って、町の外にもホームを作れるっちゅうこと?!

 あかん!めっちゃお金の匂いがするやん(笑)

 怪しいと思っとったわぁ。

 カイトさんの紹介する人が、大男の戦闘職なんかとちゃうし、こんな可愛い女の子やし?!

 普通の子なわけないわなぁ。」


 アッキーはご機嫌だ。

 セキは動画を回したまま、笑っていた。


「いやーはっは!一杯食わされた!

 俺もカイトの紹介だから、何も聞かずにここへ来たが、これは予想外だな。」


 ロドリゲス達も興奮気味にやって来て、俺に詰め寄って来る。


「嬢ちゃんが俺らを誘ったのはこのためか!確かに、これなら、土地の確保ができる!!」

「君は天使か!?魔導機関車のために土地をなんとかしてくれるというのかい・・?!」

「ルーちゃん、すごい!宿がないことの解決策になるのって、これだったのね!」


 喜んでもらえるかもと思って連れて来てはいたけど、予想以上の大興奮だった。


「じゃあ、魔除けの境界のお披露目をしたところで、ビジネスの話をしようか。」


 カイトが、そのイケメンの顔の本領を発揮して、爽やかに微笑む。この笑顔、敵に回すと恐ろしいが、味方だとこんなに頼もしいものはないな・・・!



主人公は、にわかスポーツファンです。

この作品のレスラーは実在しません(笑)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ