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10. チート野郎はどっち?(後編)〜ルウト視点

 


「おかしい。ゴブリンが多すぎる。それに武器を持っている確率も高い気がする・・・。」


 カイトが警戒を続けながら、そう言った。採取もできたから、帰ろうという話になって、折り返す。


 またも、ゴブリンのグループを見つけ、茂みの中から様子を伺った。今度のグループは、左に5匹、中央に2匹、少し離れた右奥に1匹の計8匹だ。半分が武器を持っているな。カイトが左の5匹、俺が中央2匹からアプローチする。


 カイトが飛び出していくと、5匹がカイトに気づき反撃に出る。

 その音を聞きつけた中央の2匹がカイトの方へ向かおうとしたが、大バラのツルを投げて足止めする。うまくツルの棘が刺さり、動けなくなったので、そのまま置き去り、俺は右奥の残り1匹を盗み見る。

 気づいていない?いや・・・、これはどういうことだ?

 違和感を感じつつも、先に2匹を仕留めた。


 カイトは5匹を倒し終わっていたが、奥からさらに5匹現れて、すでに応戦中だ。

 俺はカイトが1人でも大丈夫そうなのを横目で確認しつつ、右奥にいるゴブリン1匹に近づいて行った。


 そのゴブリンは、これだけ近い距離で俺たちが戦っていたのに、見向きもしない。それどころか、錆びたクワで地面を(たがや)していた。


 俺は静かにゴブリンに近づき、指を掲げて「使い魔」とつぶやいた。光のエフェクトがゴブリンへ飛ぶ。一見、何も起こらなかったように思えたが、俺はそのゴブリンに()()()()()


「ちょっと聞いていいか?」


 ゴブリンは初めて、こちらを見た。


「・・・オレ、コトバ、ワカル」


 ゴブリンは少し驚いた顔をしているみたいだ。そして、俺も内心、驚いている。試してみたことが本当にできてしまったからだ。

 俺はゴブリンと’喋れる’ように使い魔を行使したのだ。


「なんで畑を耕しているんだ?」

「オレ、ハタケ、ツブサレタ、ヤリナオス」


 まじか。世にも珍しい、農業ゴブリンだった。


「お前は、あっちに加勢しなくていいのか?」


 俺は、カイトと戦うゴブリン達を指差して聞いた。

 ちょっと緊張が走る。この農業ゴブリンが、急にこちらを襲ってこないとも限らない。使い魔は’喋る’ためのものだったから、俺の身の安全には何ら関係ない。


「ハタケ、ツブスヤツ、ナカマ、チガウ」


 ・・・なんだかこのゴブリンに興味が湧いてしまった。

 こいつ、きっと同族に相手にされない中、1人で畑を耕してきたんだぜ!

 こんな健気な奴、俺の周りに最近いたか?いや、いない!!


「それなら、俺の畑に来ないか?」


 ゴブリンはピクリと反応した。


「俺の畑、作り始めたばかりで、耕すところから始めないといけないんだけど、手伝ってくれる奴を探してたんだ。」


 これは本当だ。あの面積を1人はきついな〜と思ってたところだった。このゴブリンとなら楽しそうだ。


「ニンゲン、ハタケ、キョウミアル」


 お、これは脈あり?!


「本当か!なら、一緒に行こうぜ!お前、名前は?」

「ナマエ、ナイ」


 まぁ、そうだよな。どう見ても普通のゴブリンだし、名前あったら、ネームドモンスターだわな。


「じゃあ、ジャックなんてどうだ?」

「ワカタ、オレ、ジャック」


 おお!俺はちょっと感動して、ジャックと握手していた。


「・・・ルウト。お前、何してんの?」


 振り返ると、俺の背後には呆れたような疲れたような顔をしたカイトが立っていた。



 帰りの道中もゴブリンに襲われながら、俺はカイトにジャックとの経緯を話す。

 ちなみにジャックは、他のゴブリンがやられてるのを見ても問題ないらしい。


「ナンドモ、ハタケ、ツブス、

 オナジゴブリン、ハズカシイ」

 らしい。何回も同族に畑をつぶされたのね。泣ける・・・!


 俺の話を聞き終わったカイトは、頭が痛そうだった。ジャックの話をしたら、畑の話になり、芋づる式にホームの話もすることになったのだ。


「・・・魔女になり、妖精になり、赤ずきんになるだけでは飽き足らず、

 ホームまで手に入れていたのか・・・。しかも1日で!

 さらに、ゴブリンまで従えて・・・。しかも、テイムスキル持ってないよな?!

 いろいろ突っ込みたいところだけど、ここは我慢して、1つだけ言おう。

 ・・・このチート野郎・・・!!」


 いやいやいや、めちゃめちゃ突っ込んでますやん?!

 それに、現実までイケメンな上、光魔法というレアを引き当て、最高レベルから5以上も離されながら攻略最前線を張ってる本物のチート野郎に言われたくねーですわ!


 そして、俺はカイトとジャックをホームに迎え入れた。

 カイトは崖の上からの絶景に呆然としていた。

 ひひひっ!そうだろう、そうだろう。俺も初めて見たときは、言葉を失ったな。世界の絶景もびっくりな景色がマイホームから見えるんだぜ!!ドヤァ!!


 魔除けの境界でジャックが入れるか心配だったが、ホームに入る許可を出したら、問題なく入れた。ジャックは、読みにくい表情だったが、畑を見せたら、目を輝かせていた。ほんとうに、良い子や〜。


 最後にはカイトが、「俺もここに住む!」とか言い出したけど、追い出した。ジャックの分はもちろんハンモックを作ったよ。

 カイトとは、魔除けの境界について相談するということで後日、会うことになった。

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