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21.5 幕間 アイリス嬢の救出①

「おい、どういうことだ!」


 教会にヴェロールの怒声が響く。

 教会に勤める者は皆、声を荒らげるヴェロールに驚きを隠せず呆然と立ち尽くした。

 常に冷静沈着で、ひとりひとりに対して的確な指示を出す『あの』ヴェロールが、感情をあらわにして声を荒らげたのは恐らく初めてだからだ。


「ベルベット姫様のメイドであるアイリス嬢が失踪したと報告され――」

「そんなことは分かっている!何故、誰がアイリスを誘拐したかと聞いているんだ!」


 ヴェロールの声はだんだん大きくなる。


「現在調査中とのことで――」

「失礼します!ヴェロール様、ご報告致します!どうやらアイリス嬢は、隣国アステアの何者かに誘拐された模様です!」

「……アステア、だと?」

「はい。アイリス嬢は馬車に乗せられて誘拐されたようです。そしてその馬車の目撃情報があがっております」

「どこで見かけたと言っているんだ?」

「ここからさほど離れていない、ナピスという街に立ち寄ったとの情報が――」


「ナピスだな、分かった。――皆、よく聞け!これからアイリス嬢の救出に向かう!この旨を騎士団に伝え、応援を要請して来い!」

「はっ!」


 ビシッと美しく敬礼をした彼らを見て、ヴェロールは美しい顔を歪めてくしゃりと髪をかきあげた。


「……はぁ、何故私めはこれほど焦っているのでしょう」


 ――――花祭りでアイリスに|ブーゲンビリア《あなたは魅力に満ちている》を渡したヴェロールであるが、しかしちゃんと自分の気持ちに気がつくのは、まだまだ先の話のようである。

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