意外な展開
リックは古今無双のスケベな妖怪ハンターでしたが、謎の光に吸い込まれ、どこか知らない世界に飛ばされてしまいました。
混乱しているリック達のところに現れたのは、鎧兜を身に纏った兵士の一団でした。
(ヤバいにゃん! 何とかしないといけないにゃん)
焦るリックですが、ふと見ると、美人幼な妻の遊魔は変化が解けてしまったのか、猫耳が出ており、モフモフの尻尾がヒラヒラしています。
「わ!」
自分を見ると、やはり変化が解けており、すっかり猫の姿に戻っていました。
(まずいにゃん、妖怪だと思われると、殺されちゃうにゃん!)
嫌な汗をたんまりと掻くリックです。
「む?」
兵士の中の団長らしき男が眉をひそめました。
(まずいにゃん、気づかれたにゃん)
何かいい方法はないかとリックが思案していると、
「もしや、猫神様でございますか?」
思ってもみない方からのアプローチに一瞬戸惑ってしまうリックです。
「ご無礼致しました!」
兵士達は揃って跪き、頭を垂れました。
(僕達を神様だと思っているのかにゃん? これは好都合にゃん)
リックはニヤリとして、
「その通りじゃ。我らは猫神である」
胸を張って言いました。団長は、
「お前は猫神様の召し使いであろう!」
そう言って突き飛ばし、遊魔を見ると、
「言い伝え通りです。お美しいです」
兵士達は憧れのアイドルに心の準備もなく出会ってしまったヲタさん達のような顔をしています。
(この扱いの違いは何にゃん!?)
地面に叩きつけられて土塗れになったリックは涙目で思いました。
「そうなんですかあ」
遊魔は笑顔全開で、某お師匠様の口癖を言いました。
「国王陛下にお会いください、猫神様。最上級のおもてなしをさせていただきます」
団長が目をキラキラさせて告げました。
「そうなんですかあ」
遊魔はそれでも笑顔全開で応じました。
(面白くないにゃん!)
すねるリックです。