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リック、皇帝に謁見する

 リックはスケベな妖怪ハンターです。


 侍従長のウゴンに案内され、リックと遊魔は皇宮の奥にある玉座の間に着きました。


 人の背丈よりも遥かに大きくて重々しい木製の扉があります。


「ここから先は女人禁制にございます故、奥方様はこちらでお待ちください」


 ウゴンは丁寧な口調で遊魔に告げました。


「そうなんですかあ」


 遊魔は別段不満そうな顔もせずに応じました。


(女人禁制……)


 おかしな妄想をして、よだれを垂らす変態リックです。


「では、どうぞ、リック様」


 ウゴンがギギギッと扉を押し開きました。


「はいにゃん」


 リックは涎を拭って応じ、中へと進みました。


「皇后陛下は皇帝陛下に女性を近づけるのをお許しにならないのです」


 ウゴンがリックに耳打ちしました。


「そうにゃんですか」


 エロい想像をしていたリックは、ガッカリして応じました。


(皇帝陛下とは気が合いそうにゃん)


 お気楽な事を考えるリックです。


「よう参られた、リック殿」


 玉座の間はリックの想像よりずっと広く、玉座に座っている皇帝ケスウヨリの顔はリックにははっきり見えません。


 きっと老眼だと思う地の文です。


「違うにゃん! 僕は目はいいにゃん!」


 リックは皇妃のコーミが予想以上に美人なので、ワクワクしています。


 底なしのスケベだと思う地の文です。


「皇帝陛下と皇后陛下のご尊顔を拝謁し、祝着至極に存じます」


 慣れない敬語を無理して使い、舌を噛みそうになるリックです。


「いちいちうるさいにゃん!」


 揚げ足をとる地の文に切れるリックです。


 ふとコーミを見ると、扇で顔の下半分を隠していますが、微笑んでいるのはわかりました。


 デレッとしてニヤけるリックです。すると、


「リックよ、今しがた、皇后に色目を使ったな!?」


 皇帝が立ち上がって激怒しました。


「え?」


 リックはビクッとして皇帝を見ました。


「その者をひっ捕らえ、牢に入れよ!」


 あまりの事に呆然とするリックです。

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