新たなる生活へ
鳥の声がけたたましく響き渡る森の中で鈴木輝は目を覚ました。
「...どこだここ?」
今の東京にはこんなに木が生い茂っている場所があるはずもないし、それに高校に登校していたはずだ。
そこまで考えた時、記憶がよみがえってきた。
「車に轢かれそうになってた猫を助けようと思って...轢かれたはずだよな?」
だが自分の体には傷一つなく、服も新品同様。愛用のカバンは無いが、
「このカバンもらおっかなぁ」
見覚えのない黒いカバンが肩にかかっていた。そして横には同じく黒い日本刀。
日本刀を手にとって試しに振っていると。
「やぁ、気分はどうだい?」
木の上から声がかかってきた。
とっさに構えて身構えると目の前にその娘が飛び降りてきた。
「そんなに身構えないでくれよ。ここに君を呼んだのは僕だよ?怖がらなくても大丈夫。まぁ、この森には、君たちがいうモンスターがいるから周囲に気を配るのは大事だけどね♪」
輝が思わず座り込んでいると、寄ってきて勝手に隣に座ってしまった。
変なことをしたらすぐに斬ろうと輝が思ってじっと見つめていると。
「僕は神よろしくね」
いきなり中二病発言を始めてしまったその娘に思わず可哀想な目を向けてしまい、もし本当なら帰らせてもらえるかと考えて乗ってみることにした。
「では神様、呼んでもらったところ悪いのですが帰らせてもらえますか?」
「うん、無理だね!」
「...はい?」
その自称神様は嬉しそうに笑いながら。
「いやぁ、人を向こうから呼ぶことはできても送ることはできないんだよね。帰るには、君自身が神になるしかないね。うん」
「簡単にいうと帰れないんだな?」
「まぁ今のままじゃ帰れないね。それにね、僕は飽き飽きしてたんだよ。この世界の生き物は戦ってばかりでね。そこにチートキャラが登場したら、どんな反応を見せるのか。君を手に入れるために彼らがどんな手を使うのか。楽しみで仕方が無い。もちろん、君は自由に生活していていいよ」
「つまり俺はお前の楽しみのために呼ばれたわけだ」
「まあそうだね。ちなみに拒否権はないよ。僕が呼ばなかったら車に轢かれて死んでたんだからね」
その瞬間に輝は完全に諦めることになった。
「諦めのいい子は好きだよ」
「生活が自由ということは神になって勝手に帰ってもいいんだな?」
「もちろんさ。むしろ、その方がおもしろいし、見応えがある。その時は僕たちの仲間にしてあげるよ」
本当に嬉しそうにその娘は笑い、急に輝の頭を抱えた。
「俺に幼女趣味はないぞ?」
「違うよ。君の今の能力じゃ、せいぜいSランクまでだからね。さっきいったように君にはもっと強くないと困るんだ。だから、ちょっと力をあげようと思ってね。ひとまず、全魔法適性と魔力無限、あと光速、こんぐらいあれば剣王レベルはあるでしょ。あとは君の努力次第だね。がんば!まぁ、加護もつけておくからすぐには死なないとおもうよ。あと僕の本当の名前は、争いと快楽の神テスカっていうんだよ。この世界の五神集っていうすごい有名な神の五人の一人だから覚えといてね。じゃあね」
その声と同時に輝の意識は暗闇へと落ちていった。
初めまして。読んでくださった方ありがとうございます。
これからもがんばって書きますのでよろしくお願いします。
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