間幕 一
間幕始
「久しぶりかな? こうして会うのは」
「そうでもないさ。前回会った時とあまり日は経過してないと思うが?」
「君にとって数ヶ月は久しぶりに入らないんだね」
「ふむ。それよりも私を呼ぶとは珍しいな」
「珍しくもないと思うけど」
「いや、珍しいさ。逢引する為に呼んだのだろう?」
「……本題に入っていいかい?」
「おや、付き合ってくれないのかい?」
「君の冗談に付き合う気はないよ」
「つれないね。で、何の話なんだい?」
「ここ最近、周辺で――いや、国中で起こっている件。どこまで掴んでる?」
「単刀直入だね。私が動いていると?」
「君が動かないはずないだろう?」
「まあ、そうだが。ふむ。今の段階では何も分かっていない」
「……分かっていない?」
「ああ。危険区域外での出現例に始まり目撃例等、その件に関しては枚挙に暇ないが原因が特定出来ていない」
「つまり、調査に行き詰まって分からないと」
「国自体も動いているが、いつもの様に特定できる《歪み》がなくてね。これだけの規模だ、本来なら出現した区域のすぐ近くに《歪み》が発生していてもおかしくはないんだが」
「……出現の要因は少なくとも《歪み》が関係しているはずなのにそれがない」
「ふむ。そうなるかな。だからこそ手詰まりの状態だよ。だが」
「……? 何か心当たりでも?」
「心当たりと言うよりは、推測の域なのだけどね。これは人為的に起こされたものではないのかな? そうすれば幾らか説明もつく」
「……!? まさか、創りだし操っていると? 有り得ないよ。いや、可能性は無い訳じゃないけど、アレらは天災の様なものだよ。人の手に余る」
「無いとは言えない。まさにその通りだとおもうが? これまでは無かったからと言ってこれかも無いとは限らない」
「……」
「それに《歪み》そのものを創り出すのではなく、《歪み》が引き起した現象の結果の方を創っているのかも知れない」
「……なかなか大胆な発想だね」
「可能性としては考慮するべきだと思うがね、私は」
「だとすると何者がと云う話になるけどね」
「ああ、その通りだ。まあ、この件に関してはこのまま独自に調べるつもりだよ」
「何か僕に手伝える事はあるかい?」
「ふむ。私は暫くこの街に滞在しようと思っている。宿を提供してくれると嬉しいね」
「……はぁ。分かったよ」
間幕了