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4 首都へ

初めての買い物の日からご飯作りは私の担当となった。


初めて作ったときはお母さんの見よう見まねであったためにあまり美味しくなかったがマガラさんは無言で食べてくれた。


それから徐々に上達していって7歳児にしては上等なご飯作りができている気がする。


近所のおばさんや店の人に聞いたレシピばかりなのでザ家庭料理というものばかりだ。


そしてマガラさんの職業が謎だ。


毎日体を鍛えて剣を振り回しているが仕事をしている感じがない。


たまに半日か2日程出掛けてしまうがその時に仕事してるのか?


あとの変化といえばマガラさんが字を教えてくれていた。


他にやることもなく直ぐに覚えてしまったためマガラさんがどこからか持ってきた本を読むのが日課になっている。


終わるのを見計らって違う本が準備され読み終わったのは片付けられていた。


図書館でもあるのか、聞いてみたけど「知人に借りた」というだけだ。


もちろん『本』というものは高価である。

平民は手が出せないが貴族にとっては大したものではないような感じ、と聞いた。

どれくらいだ?


私の予想では知識学者的な人や昔は凄かった的な老齢な男性だと予想している。


だって本の内容が、かなり実用的なものばかりで固いのだ。


最初は苦労しながら文字を読んで書いていたが今はスラスラと出来るようになった。


衝撃だったのが、この世界には魔法があることだ!


使える人は使えるらしい、ちなみにマガラさんは「出来ん」ときって捨てられた。出来たらそっちも教えて欲しかったのに誠に残念!


獣人にさわれないのと同じくらいに残念だ!


そして願わくば私には魔法の素質がありますように。

せっかく転生したのだから前の世界にはなかったものを体験したいではないか。

ここの生活にもなれてきた頃、私の保護者様は突然言い出した。


「ガキ、王都にいくぞ」


何をいってるんだろう?


オウト?王都、国の首都。

そんなとこになんの用事が?


「マガラさん、いい子でお留守番するから行ってらっしゃい」


都なんて響きが怖い。ここでのんびりと暮らしてもいいじゃん。


ここですら犯罪率が高いのに王都なんて更に危ないじゃん。


それに途中だって危ないじゃん。


ドラゴンがいるぐらいなんだから危ない生物がいたって盗賊がいたって不思議じゃないんだから。


ってかそんなことも本に書かれてたんだから危ないよ、七歳時は自衛出来ないんですけど。


「危ないからイヤ」


「大丈夫」


私の真剣度が伝わらなかったのか意見を変えてくれる様子がない。


何が大丈夫なのか分からないんですけど!?


と話が噛み合ってるのか噛み合ってないのかわからない会話をした次の日には出発の馬車に乗せられた。


私の荷物は服何枚かと大事にしている調味料。


日持ちしないものは近所に配ったと聞いた。


何時ものようにマガラさんと寝ているベッドから抜け出して顔を洗った。


室内に戻った途端に持上げられたのだ。


そのまま知らない馬車に放り込まれ放置。

すぐ傍を歩くマガラさんに嫌がられながら何度も質問をすれば「王都にいくといったじゃねぇか」と悪びれる様子なし。


昨日の今日じゃん!


そんなのは前もって言って準備しておくもんでしょうが。


確かに養われてる身ですからね、もう何も言いませんよ。


こうやって出るってことは安全に着くことが出来る。と自信があるようですし、精々私なりに頑張りますよ…。


やっと慣れてきた町は遠くに既に見えない。


はぁ。


舗装されていない道は馬車が揺れる、揺れる。ガクガクしすぎて全身が軽く痺れている気がする。


同じ馬車内には商人風なオジサンが二人。私を無視して会話をしていた。


よく話せるものだ。舌を噛まないとは余程なれているのかもしれない。


はぁ。


話し相手もいない、本もなく、回りを観察しても面白くともなんともない。


外を歩けたら気分転換にもなるだろうけどおいてかれるのが目に見えてる。

やることがないのでマガラさんを観察していた。


いかにもな感じでマジマジみるのだ。


最初のほうでは煩わしそうにしていたが今は無視されてる、私のなんの含みもない視線では気にも止められないらしい。


そんな私をチラチラみてくる人がいるので、そちらにも視線を流すが私が見る前に違うほうに向いてるので見られていると確認は出来ていない。


その人は女性。

簡潔に言えば服の上からでもわかるメリハリのある身体にそこそこ綺麗なお顔がのっていて多少気が強そうな雰囲気がある。


マガラさんもその女性も他何人かいる歩いている人たちは、武器っぽいものを持っていて馬車の回りを警戒している。


ここにきて漸く私は、立場が理解できた。雇い主と護衛たちということだ、そして私はおまけ。


ああ、なるほど。ストーンと理解できた、マガラさんはいく予定があったから便乗したということか。


なので私は与えられたご飯を黙々と食べて休憩時や野宿するときはマガラさんから離れず人様の邪魔にならないようにした。


だって明らかにこの場に子供がいるのは迷惑でしょ。大人しくしていれば邪険にはされないからね。


自己防衛ですよ。


手元には暇つぶしのために渡された図鑑を広げた。


マガラさんが商人から買い上げてそのまま渡された。

私の視線に耐えられなくなったのかな?

渡されたものはろくに製本されていなくて字も汚かったけど読みごたえはある。


結論としては面白かった。

馬車の揺れにもなれてきた10日目あたり。

図鑑を既に三回読み直している。最初に読んでも気づかなかったところとかスルーしてたところをじっくりと読んでいるのだ。

いい暇潰しである。


が、本当は本に集中しているわけではない。集中しているふりをして気を紛らわせているだけである。

少し前に盗賊が出たのだ。すっごく強面で汚いのが。

あっという間に囲まれてパニックになってて動けなかったが予想された事態のようでマガラさん含めちゃんと馬車を守ってくれた。


その時に思ったのが「死にたくない!」ただそれだけで他の人の心配なんかかすりもしなかった。


固まってしまった私はばっちりとマガラさんたちが、ばっさりばっさりと“人間”を切り捨てるのを見てしまった。


飛び出る血、切り落とされる何か、動かなくなった物体。開ききった目があらぬほうを向いている。


そこにあるのは“死”。

ただそれだけの現象。


辺り一面ではないけれども赤い色と鉄の臭いが漂った。


自分はまだ生きれる。

それをみて思ったのはそれだけのはずなのに。


終わったと認識できたときに気絶した。

それが夢に出てくるのだ、お陰で食欲もでなくて元々細いのにガリガリに痩せそうで怖い。

今ちゃんと食べないと丈夫な体に成長しないではないか。


病弱な体は不便であるのだから。余計にお金がかかったりするし。


思えば人が殺される、ということと死体という物体を始めてみたのだ。

それによって衝撃を気づいてはいなかったが受けて気絶したようだ。


徐々に回復はしているので、時間が解決してくれるのを待つことにした。


マガラさんによればあと5日程で王都につくらしい。

今更だが王都に何しにいくんだろう?

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