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改稿しました。最終更新2/8。
「源勝手に前に出るな!」
「うるせぇ。特攻万歳だぜ!」
源は、晴人からの通信には耳を貸さず、自身のキャラクターを前進させた。
源の使用キャラクターは、SIVという名の男性キャラクターだ。国籍は不明。
アメフト選手のような肩幅に、スキンヘッド、目元のくぼみが深く、彫りが深い顔をしている。
『Fantastic War』では、様々なキャラクターが存在しており、プレイヤーは性別、人種を問わず、選ぶことができる。
源は特に、外国人キャラクターを好み、毎回シーヴという名を付けている。
シーヴは、常にチームの先頭に立ち、戦場を掻き回す『強襲兵』の役目を担っているためか、被弾率が非常に高い。このシーヴも既に六代目である。
《SIV シーヴ》
Height(身長):188
Weight(体重):95
Age(年齢):??
Rank(階級):少尉
Kill数:14
HS数:6
Insury(負傷)数:3
Cure(治療)数:0
WIN(勝利)数:3
「ったく、いつもああなんだから」
彼らの通信をいつものように聴いていた未来は、シーヴに続いて自身のキャラクターを前進させていた。
未来の使用キャラクターは、HARUという女性キャラクターで、日本人である。
ハルは、戦場で戦う兵士には全く相応しくない容姿をしていた。
真っ白な肌をした華奢な肢体に、豊かな胸元。背筋をピンと正して、姿勢がいいせいか、余計に魅力的な体のラインが映える。
未来のセンスで選ばれたコスチュームは、ピンク色の迷彩柄野戦服で、遠くからでも目立っており、撃ってくださいと言っているようなものだった。
未来はともかく可愛いキャラクターを使用できれば、強さや能力などどうでもよかった。
だが、未来はどうでもいいと言う割には、優秀だった。武器は何を使っても優秀だったし、メンバーの状況に合わせて、臨機応変に兵種を使い分けていた。
特に、『衛生兵』の支援スキルは素晴らしく、幾度も戦場の負傷者を救ってきた。
ハルを手足のように使い、戦場を駆ける姿は、多くの男性ファンを虜にしていた。
《HARU TAKAJYO 鷹匠はる》
Height(身長):169
Weight(体重):??
Age(年齢):23
Rank(階級):少佐
Kill数:68
HS数:32
Insury(負傷)数:2
Cure(治療)数:12
WIN(勝利)数:7
「待ってよー。おひへひゃないへ(置いてかないで)」
太志は、大好物のチーズスナックを食べながら通信をしていた。何度注意しても、食べながらのプレイをやめないのだ。
そのため、ファンウーを始めた当初は食べることに夢中で死ぬことが多々あった。 太志の使用キャラクターは、HIRO。本名は池田博士で、ヒロシだとダサいと酷評されたので、ゲーム内ではヒロと呼ばれている。
ヒロは、名前の通り日本人の元サラリーマンで、線が細く色白で眼鏡をしているせいか、現実世界では『はかせ』とあだ名で呼ばれていた。
運動神経はないが、頭は切れるほうであり、主に『狙撃手』の役割を担っている。
ただ、プレイヤーの太志があまり積極的に動かないことと、キャラクターのヒロも気が弱いためか、いわゆる『芋砂』――芋虫スナイパーのこと。FPSにおいて全く動かず敵が来ることをただ待ち続けるスナイパーになることが多かった。
《HIRO 池田博士》
Height(身長):172
Weight(体重):60
Age(年齢):38
Rank(階級):中尉
Kill数:10
HS数:6
Insury(負傷)数:0
Cure(治療)数:0
WIN(勝利)数:7
「さてと、俺らの初陣だ。頑張ろうぜ宗佑」
「……」
「どうした?」
「ハルが目の前にいる!」
ゲーム内だということを忘れ、宗佑はハルに見惚れていた。
「あぁ、未来のキャラのことか。好きなの?」
「好きっていうか、前から応援してたんだよ。てか、晴人お前馴れ馴れしいぞ。俺はお前より大分歳上なんだから少しは敬え」
「いいじゃん別に。プレイヤーとキャラクターなんだから、主従関係でいえば、俺が主人でしょ? 主人の命令は絶対だからね」
自分の部屋のモニタに映し出された、宗佑の姿を見ながら晴人が言った。
「ほらほら、今回は僕が全部の主導権を握るから、動きに慣れておいてよね」
モニタを見ながら晴人は、腕をモニタに向かって真っ直ぐ伸ばした。モニタ越しの宗佑は、進行方向に真っ直ぐ走り出した。