第10話「影の王、深淵を覗く」
廃工場の地下、戦いの余波で瓦礫と影が入り混じる。
氷室は黒い牙の影を整えながら、深く息を吐く。
城ヶ崎が静かに告げる。
「氷室……幹部たちの戦いで裏組織の狙いが見えてきました。
奴らは単に影の王を捕らえるだけではなく、
世界規模で“影の力の統制”を目論んでいます」
彩花が驚きの声を上げる。
「世界規模……!?
そんな……!」
氷室は眉をひそめ、前方の暗闇を見つめる。
(世界規模……俺一人で、守れるのか……?
でも……守るんだ……誰も失わないために……!)
その時、地下の奥から巨大な影が蠢き、
無数の小さな影が集まって一つの巨大な形を作り上げる。
城ヶ崎が警告する。
「氷室……奴らは影を集合させ、意識を一つにしています。
これが裏組織の最終兵器……“影の深淵”です」
氷室は拳を握り、赤い瞳を光らせる。
「……来やがれ……!
影の王として、この深淵も潰してやる!!」
黒い牙の影が深淵に向かって伸び、
都市の夜に激しい闇と光の衝突が広がる。
深淵は牙を絡め取ろうと、無数の触手状の影で氷室を包囲。
しかし氷室は冷静に、影を分割・変形させ、触手の動きを読み、反撃する。
彩花が恐怖に震えながらも声を上げる。
「お兄ちゃん……気をつけて……!」
氷室は微笑みながら答える。
「大丈夫……俺は王だ!
守るべきものを守る力はある!」
黒い牙が深淵の影を切り裂き、
幹部たちの意識を揺さぶる。
城ヶ崎が横で冷静に分析する。
「氷室……深淵は暴走すると、操る者も飲み込まれます。
油断せずに、意志を強く持ってください」
氷室は拳を握り直し、心の中で誓う。
(……誰も失わない……俺は影の王だ……
この深淵も、俺の意志で制御する……!)
巨大な影が唸り、牙が振るわれ、
地下の闇は凄まじい圧力に包まれる。
──氷室の覚悟と意志が、
──“影の深淵”との戦いの鍵となる。




