第9話「影の王、初の激突」
廃工場の地下、闇が厚く濃く立ち込める。
黒と赤の影が絡み合い、空気が振動する。
氷室は牙の影を振るい、
触手のように伸びる裏組織の影を押し返す。
城ヶ崎が横で静かに指示する。
「氷室……牙を分割して複数の方向を防御!
攻撃は一点に集中して押し返せ!」
氷室は赤い瞳を光らせ、牙の影を自在に操る。
触手状の影を次々と斬り払い、前進する。
「……お前たち、俺を甘く見すぎだ!
影の王として、俺はここを突破する!」
裏組織の幹部が影を伸ばし、黒い霧の中から二本の巨大な刃を出す。
それは氷室の牙とぶつかり、激しい衝撃が地下を揺るがす。
彩花が後ろで息を呑む。
「お兄ちゃん……大丈夫……?」
氷室は肩で息をしながら答える。
「大丈夫……俺は王だ……
誰も失わないために、全力で行く!!」
牙の影が赤く光り、幹部の刃を押し返す。
床のコンクリートがひび割れ、衝撃で瓦礫が飛ぶ。
城ヶ崎が指示を出す。
「牙を一点集中、幹部の攻撃の起点を潰せ!
攻撃が分散する前に制圧するんです!」
氷室は牙を一点に集め、幹部の二本の刃に衝撃を加える。
刃が弾かれ、幹部はバランスを崩す。
「く……影の王……!」
幹部が悔しげに呻く間に、氷室は牙を前方に突き出し、
影の刃で幹部を押し返す。
黒い影が工場の柱や壁と融合し、幹部たちを包囲する。
追随する部下たちも牙の影に押され、反撃が鈍る。
氷室は赤い瞳を前方に向け、力を増幅する。
「──俺は王だ!
影の王として、誰も傷つけさせない!!」
幹部の攻撃は氷室の牙によって制御され、
一瞬の静寂の後、裏組織の部隊は退却の気配を見せた。
城ヶ崎が静かに告げる。
「氷室……これが王としての初の激突です。
敵を押し返し、力を証明しました。
しかし、まだ試練は続きます」
氷室は赤い瞳を夜空に向け、拳を握る。
(……これが王の力か……
守るべきものを守るための力……
まだ完全じゃない……でも、進める……!!)




