第7話「潜入作戦の行方」
都市の夜、ビルの谷間に黒と白の影が渦巻く。
追跡者たちが執拗に氷室を取り囲むが、氷室は冷静に影を操り、攻撃と防御を同時に行う。
城ヶ崎が小声で指示を出す。
「氷室、屋上から屋上へ渡る。
追跡者を引き付けながら進むんです。
目的地は裏組織の中枢。
急がなければ……」
氷室は影の牙を膨らませ、壁や屋上の影を伝って跳躍する。
牙が追跡者の動きを切り裂き、都市の闇を押し返す。
彩花が心配そうに声をかける。
「お兄ちゃん……本当に大丈夫?」
氷室は微笑む。
「大丈夫だ。俺は王だからな。
守るべきものを守る力はある」
──その瞬間、都市の闇の奥で、
巨大な影がうごめく。
城ヶ崎が叫ぶ。
「氷室!!
あれは……裏組織の中枢の“影の監視者”です!
直線突破は不可能です!」
氷室は一歩立ち止まり、冷静に影を形作る。
(……直線突破は無理か。
なら戦術を変える……
影の王として、相手の意識を逆手に取る……!)
牙の影が分裂し、複数方向に動きを分散させる。
追跡者たちは錯覚し、どの牙が本物かを判断できずに攻撃が鈍る。
氷室はその隙に屋上の端を蹴り、飛翔。
牙の影が盾となり、白と赤の影を押し返す。
彩花が息を呑む。
「すごい……お兄ちゃん……!」
城ヶ崎が微笑む。
「これが、王としての判断力です。
戦いながらも目的を見失わず、進む──
まさに影の王として覚醒しました」
氷室は赤い瞳を前方に向け、牙を尖らせる。
「もうすぐだ……裏組織の中枢に辿り着く。
奴らが何を企んでいるのか、
俺が直接見て、止めてやる……!!」
都市の闇が裂け、
黒い牙の影が都市全体を支配するかのように広がる。
──潜入作戦は、
──氷室の判断と戦術で、ついに核心へと迫り始めた。




