第6話「影の追跡者」
夜の都市。
氷室たちは静かにビルの影を伝って移動していた。
城ヶ崎が低く囁く。
「氷室……注意してください。
裏組織と影狩りが同時に動き始めています。
逃げるのではなく、戦うつもりで行動した方が安全です」
氷室は頷き、影の牙を膨らませる。
「……わかってる。
逃げるだけじゃ意味ねぇ。
奴らが来るなら、全部まとめて潰す」
彩花が少し震えながらも横に立つ。
「お兄ちゃん……無理しないでね」
氷室は微笑みながら答える。
「大丈夫だ。俺は王だからな。
守るべきものを守る力はある」
──その時。
ビル群の向こうから、無数の影が高速で迫る。
白い影、黒に赤の混じる影、そして人間の姿をした追跡者たち。
城ヶ崎が叫ぶ。
「氷室!!
奴らは“影の追跡者”です!
裏組織と国家の混成部隊!
一瞬の油断で囲まれます!!」
氷室は一歩前に出る。
「わかってる……来い!!
全員まとめて相手してやる」
黒い牙の影が膨張し、ビルの壁や屋上の柱と絡み合い、
盾と剣、翼のような形を形成する。
最初の追跡者が牙の影に突進する。
氷室は影の牙で一撃で弾き飛ばす。
だが、次の瞬間、数十体の影が一斉に飛び掛かる。
黒と白の影が激突し、都市の夜空に波紋が広がる。
城ヶ崎が指示を飛ばす。
「氷室!
牙を分割して複数の方向を防御!
攻撃は一点集中で押し返せ!」
氷室は赤い瞳を光らせ、影を自在に操る。
牙が分裂し、追跡者たちを迎撃しつつ押し返す。
彩花も少し勇気を振り絞り、氷室の後ろで城ヶ崎の影と共にサポートする。
「……お兄ちゃん、私も一緒に守る……!」
氷室は振り返らずに応える。
「そうだ、一緒に守るんだ!
誰も失わないために!!」
黒い牙が空中でうねり、
都市の影を巻き込みながら追跡者たちを押し返す。
──だが、まだ敵は多い。
──追跡者は氷室を逃がさず、
──潜入任務の成功を阻もうと迫る。
夜空に響く静かな衝撃音。
都市の闇で、影の王の戦術と、追跡者たちの執拗な追撃が交錯する。




