第3話「影狩りとの邂逅」
廃ビルの屋上。
瓦礫の粉塵が風に舞う中、氷室の黒い影がまだ揺らめいていた。
赤い影の暗殺者を退けた直後、空気がひんやりと変わる。
屋上の端、月明かりに照らされた建物の向こう側から──
「……貴様が、影の王か」
低く、しかし確実に威圧感のある声。
その瞬間、ビルの影が走り、無数の白い影が氷室たちを包囲した。
城ヶ崎が小さく息を呑む。
「氷室……
奴らは“影狩り(シャドウハンター)”。
国家直属の影の制圧部隊です。
完全に狙われました」
氷室は眉をひそめる。
「……国家直属……か
じゃあ、あいつらも俺の力を狙ってるってことか」
彩花が震える。
「お兄ちゃん……どうするの……?」
氷室は振り返り、妹に手を置く。
「安心しろ、彩花。
俺は王だ。
守るべきものは絶対に守る」
白い影たちはゆっくりと近づき、
それぞれの影が氷室の影を感知し、切り裂く構えをとる。
「逃げ場はないぞ……氷室亮介」
影狩りのリーダー格が姿を現す。
黒髪に鋭い灰色の瞳、身体から白い影が揺らめく。
霊断刀のように、影を切り裂く白い刃を持つ。
城ヶ崎が氷室に警告する。
「リーダー格は“霊影断刀”を操る。
影の王であるあなたでも、一撃で消滅する可能性があります」
氷室は拳を握り、冷静に周囲を見渡す。
(……この局面で、俺の力はどう使う……
攻撃するか、隠れるか……いや、
どっちも必要だ。守りながら制圧する……!)
氷室の影が牙となって建物の影と絡まり、
守りの構えを作る。
「行くぞ、彩花。
城ヶ崎。
俺たちはここで逃げる……じゃない。
奴らを潰す」
城ヶ崎が静かに頷く。
「ええ。
王としての覚醒を証明する時ですね」
白い影が一斉に動く。
鋭い刃が牙の影に迫る。
氷室は深呼吸し、意志を集中する。
黒い牙の影が、白い影を迎え撃つ形で反応する。
都市の夜は、黒と白の影が交錯する戦場に変わった。
──潜入作戦は、
──“国家の追跡者”を巻き込む死闘へと進む。




