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僕は実の母親か、育ての両親のどちらかを選ぶ決断をしなければいけない!

作者: 七瀬






”僕は実の母親か、育ての両親のどちらかを選ぶ決断を

しなければいけない!“




僕が産まれてから4歳まで、実の母親に育てられた。

ただ僕の母親は、自分の産んだ子供に一切の愛情を持たない

ネグレストだった。

実際に僕は母親に殴られたり叩かれたりはされていなかったが、

毎日のご飯や家の事は一切しない母親で、まだ幼い僕を一人置いて、

何日も家を空ける事もあった。

当然! 学校にも通わせてもらえず、僕と同じ年頃の子供達が

学校に行っている時間帯は、僕は一人でよく公園にいた。

特に公園のブランコに乗るのが好きだった。

お昼過ぎから若いママと僕と同じぐらいの子供達がママチャリに

乗って公園に流れ込んでくる。

いつの間にか? 子供達を公園に置いて、ママ達は近くのスーパー

で買い物をして、またこの公園に戻って来るのだ。

僕も子供達と仲良くなって一緒に遊ぶようになった。

でも子供達が自分の母親に呼ばれて一人一人と家に帰って行く。

最後まで残るのはいつも僕だけだった。

僕の母親は絶対に僕を公園まで迎えに来ない。

僕が何処で何をしていようが母親には関係ないのだ!

僕は外が暗くなって家に帰っても、母親が居ない事の方が多かったし、

ご飯代と言って、テーブルに500円が一枚いつも置いてあるだけだった。

僕はそのお金を大事に、激安スーパーで198円のお弁当と40円の

お茶を買っていつも家に帰るんだ。

母親が作ってくれた料理を食べる事は一度もない!

母親は料理が下手だから、家で料理を作った事がないのだ。



『”ねえ、兼一? 別の場所で暮らしてみない?“』

『えぇ!? 本当!? 僕も暮らしたい!』

『じゃあ、明日連れてってあげるわね。』

『うん!』




僕は凄く嬉しかった。

初めて母親と二人で出かけられると想い浮かれていたんだ。

でも? 僕が連れて行かれた場所は、”児童施設だった。“

母親は僕を施設の人に任せて、誰かと何か話をしていた。

そして僕を一人置いて、母親は家に帰って行った。

僕は何度も何度も母親の名前を呼んだのだけど、母親は一度も

振り向く事なく行ってしまった。

この時僕は、”母親に捨てられたんだと気づく。“





 *





そして施設に預けられて1年後、僕に初めて里親ができた!

僕はこの里親が凄く気に入って、”この人達の子供になろうと思ったんだ。“

僕が里親と暮らしはじめて13年が経った頃......。

僕も18歳になり、ふと実の母親の事が気になるようになる。

その事を里親二人に話すと、、、?



『”兼一が、実のお母さんに会いたいって言うなら? 会って見たら!“』

『えぇ!? いいの、母さん!』

『兼一も18歳になったんだし、もう自分で決めなさい!』

『ありがとう、父さん!』




僕は里親に許可をもらい、”実の母親に会いに行く。“

予め施設で母親の今住んでいる場所と連絡先を聞いていたからだ。

ただ施設で教えてもらった電話番号に電話をかけると、、、?

僕の知らない人が電話に出て、今母親は”入院していると聞いた!“

僕は母親が入院している病院に向かう。



【コンコン】

『はい。』

『兼一です。』

『どうぞ、入って~!』

【ガラガラ】

『久しぶりねぇ~大きくなって!』

『・・・マ、ママ!』

『”兼一、私の大事な血の繋がった息子。“』

『・・・・・・』




母親は病気のせいなのか? 凄く歳を取っており髪も真っ白で、

やせ細っいた、何より僕の知っている母親とは随分違っていたのだ。

病気のせいなのか? 気弱になっていた気がする。



『”ねえ兼一、ママはもう長くないみたいなの! だから最後に一緒に

私と暮らさない?“』

『えぇ!?』

『貴方が大事に里親さんの所で育ててもらった事はよく知っているわ、

でもこれが最後なの! ママのお願い聞いてくれないかな?』

『家に帰って、父さんと母さんと話し合って決めないと僕だけじゃ

今は決められないよ。』

『・・・そ、そう、分かったわ、』

『ごめんね、』

『いいのよ。』




本当に母親は昔の面影がないぐらい、僕から見た母親は随分と変わって

いたんだ。

それに正直! 里親の父さんと母さんはダメだとは言わないだろう。

”本当にステキな両親だから!“

僕には本当に申し訳ないぐらいイイ両親なんだよ。

きっと、”もうお母様がそんなに長くないのなら一緒に住んであげた方が

最後の親孝行になると思うの、それは兼一の為にもそうした方がいいと

思うわ。“

里親の母さんはそう言うだろうな。

父さんも母さんの考えに賛成するだろうし、、、。



・・・ただ僕は? 実の母親か、育ての両親のどちらかを選ぶ

決断をしなければいけないのだろう。

実の母親と暮らす時間はもう限られている。

でも母親との思い出は何一つとしてない!

嫌な思い出が僕の脳裏を過るのだが、それでも最後は母親と暮らしたい

と想っている僕はおかしいのだろうか?

でもまだ今はどちらを選んでいいのか分からず、考えているトコロだ!

僕の想いは、どこにあるのだろう。



最後まで読んでいただいてありがとうございます。

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