第5話:不遇職テイマーの説明
講習センターを出て、俺はそのまま駅前のカフェに入った。
講習が意外と早く終わったせいで、まだ昼過ぎだった。
ブラック企業勤めの俺にとって、昼間の街をのんびり歩くなんて久しぶりのことだ。
アイスコーヒーを注文し、窓際の席に腰掛ける。
テーブルの上に、さっき発行されたばかりのステータスカードをそっと置く。薄型のカードは金属のような光沢を持ち、表面には名前と顔写真、そして固有の番号が刻まれていた。
(せっかくだし、もうちょい調べてみるか)
軽くスマホで「テイマー職の性能」「初心者向け職業評価」と検索する。
すると、まとめサイトや掲示板の情報が山ほどヒットした。
どのサイトも概ね同じような評価だ。
『テイマー職は初心者向け。序盤はスライム、ラットなどの雑魚モンスターしかテイムできず、戦闘力は期待できない』
『中級以上の冒険者になると、もっと効率の良い職業に転職、あるいは強いモンスターを直接倒した方が早い』
『テイムにはHP調整、捕獲確率の計算、信頼度管理など煩雑な手間が多く、最近はプレイヤー人口も減少傾向』
(……やっぱり、微妙職か)
ため息をつきながら画面をスクロールしていると、さらに気になる記述を見つける。
『一応、テイマー職にも進化系統のシステムは存在する。
ただし、ほとんどのテイマーはより強いモンスターへの乗り換えを優先するため、進化させる者は稀。
進化条件も地味で、レアモンスターの出現率も低く、攻略効率を考えると避けられがち』
(進化……なんてのもあるんだな)
そこに少しだけ興味を惹かれる。だが、続く一文で現実を突きつけられる。
『※重要※
適職以外の職業のスキルも使用可能だが、適職の者と比べるとスキル威力・効果は一段劣る。
特にテイム系スキルは職業適性に依存するため、他職での運用は推奨されない』
(なるほど、やっぱり適職ってのは大事なんだな)
つまり、適性がテイマーじゃない人がテイマーのスキルを使っても弱いし、俺が他の職業のスキルを使ったところで、大して役には立たないってことだ。
(まあ……どうせ使う予定もないし)
そう自分に言い聞かせるようにコーヒーを飲む。
カードを財布にしまい、スマホの画面を閉じた。
だけど、この時、ほんのわずかに胸の奥に奇妙なひっかかりが残ったのも、また事実だった。