第6話:撤退の決断と帰還準備
青ホーンラビットの亡骸の傍らに、淡い青白い光を放つ魔石が転がっていた。
俺はそれを素早く拾い、ポーチの奥に大切にしまい込む。
「よし、戦利品ゲット。……これで撤収だ」
スライムもホーンラビットも、傷だらけとまではいかないが明らかに疲労の色が濃い。
俺自身も、体力もMPもほとんど残っていない。
(これ以上戦えば、今度はこっちがやられる)
ダンジョン内は相変わらず薄暗く、油断すればすぐに別のモンスターに遭遇しかねない。
俺は二匹を従えて、慎重にダンジョンの出口を目指した。
帰り道、何人かの冒険者とすれ違う。
みな青ホーンラビット討伐を狙っているのか、奥へと向かう者ばかりだった。
(誰にも見られずにレア魔石を持ち帰れるのは運がいいな)
やがて、前方にかすかな光が見えた。
ダンジョンの出口だ。
「ふぅ……ようやくか」
安全圏である地上に出る直前、俺は振り返り、二匹に声をかける。
「スライム、ホーンラビット。お疲れ様、ここまでだ」
名残惜しそうにこちらを見上げる二匹。
俺はゆっくりと手をかざし、召喚解除の操作を行う。
スライムもホーンラビットも、静かに光の粒となり、魔石の中へと戻っていった。
その瞬間、ダンジョンの冷たい空気が消え、夕暮れのあたたかい風が頬を撫でた。
「……やったな」
俺は軽く拳を握り、冒険者教会へと足を向けた。
今日の報酬と、この達成感を胸に抱えて。




