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社畜テイマー、今日もスライムと生きてます  作者: こめっつん
社畜、ダンジョン講習を受ける
3/66

第3話:きっかけ

 翌朝も、当然のように寝不足だった。

 ギリギリまで布団で粘ったせいで、朝食を取る暇もなく、慌てて家を飛び出す。駅までの道を早足で歩きながら、スマホの画面をちらりと見ると、同僚の岡島からメッセージが届いていた。


『おい篠原、お前カード作ったか?』


 カード? 一瞬なんのことかと思ったが、すぐにダンジョンのステータスカードのことだと気づく。

 以前、会社の飲み会で話題になったのを思い出す。冒険者じゃなくても、身分証代わりになるから、持っておけって話だった。


(そういえば、まだ作ってなかったな……)


 正直、興味なんてなかった。どうせ自分には縁のない世界だと思っていたし、講習を受けるのも面倒に感じていた。


 駅に着き、ホームで岡島に返信する。


『いや、まだだ。そっちはもう取ったのか?』


 すぐに返事が来る。


『もちろんだわ。最近、いざって時用に持っとくのが常識だぞ。なんなら職場の非常用ID代わりに登録してるやつもいるし』


 非常用ID。確かに最近、会社の社内システムにもカード登録の項目が増えたって総務が言っていた。

 スマホを閉じて、ふと周囲を見ると、スーツ姿のサラリーマンがダンジョン受付のカウンターに並んでいるのが目に入る。

 特に装備もせず、カードをかざしてダンジョンに入っていく光景。これが今の世の中の当たり前。


(……まあ、カードぐらい持っておくか)


 ふと、そう思った。冒険する気なんてない。ただ、身分証として。岡島の言う通り、いざって時のために。


 そんな他愛もない理由が、この後の俺の人生を大きく変えることになるなんて、そのときの俺は、もちろん知る由もなかった。


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