第10話:小さな絆と再挑戦
休日の昼過ぎ。俺は再びダンジョンの入口に立っていた。
スマホで掲示板の書き込みを何度も確認し、心の中で作戦を繰り返す。
(突進を避けて、HPを削る。スライムの体当たりで足止め。よし……行ける)
ストレージからスライムを呼び出すと、いつもと変わらずぷるんと跳ねて俺の足元に寄ってくる。
思わず笑みがこぼれた。
「頼むぞ、相棒」
ダンジョン1階の奥へと進む。
やがて、前回逃げ帰ったあの場所にたどり着く。
茂みの奥から現れたのは、ホーンラビット。
鋭い角と素早い動きが特徴の、初心者には少し荷が重い相手だ。
(前よりも落ち着いてる。大丈夫だ、やれる)
俺は短剣を構え、スライムに指示を出す。
「スライム、突っ込め!」
スライムはぷるんと勢いよく跳ね、ホーンラビットに体当たり。
だがホーンラビットもすぐに態勢を立て直し、こちらに向かって突進の構えを取る。
(来る!)
俺はすかさず横に飛びのき、突進をかわす。
そして背後に回り、短剣で一撃。
スライムも追撃の体当たりを決める。
じわじわとHPを削り、ホーンラビットの動きが鈍ってきたのがわかる。
額に汗がにじむ。
(よし、あと一息!)
再び突進の構えを見せた瞬間、スライムを前に立たせる。
「行け、止めろ!」
ぷるん、とスライムが突進にぶつかり、その勢いをほんの一瞬だけ逸らす。
隙を逃さず、俺の短剣がホーンラビットの脇腹を捉えた。
【撃破成功】
画面に表示される通知。
そして、ホーンラビットが魔石を残して消えた。
「やった……!」
思わずスライムを抱き上げる。
ぷるぷると揺れるその柔らかさが、今までで一番頼もしく感じた。
「お前、すごいじゃねぇか」
スライムは小さく揺れながら、まるで得意げに跳ねた。
初めての成功。俺とスライムの小さな絆が、確かにひとつ強くなった瞬間だった。




