第36巻 1XXX年後のわたしへ
短編小説
1XXX年後のわたしへ
第36巻
わたしはいま絶望に打ちひしがれた。この世は絶望そのものだ、道端では乞食がおり。毎日ゴミのように扱われる奴隷がいる、わたしはもうこんな世界は嫌だ、貴族の言うことは絶対で、国王の言うことは絶対だった、わたしはこんな世界がいやだった。わたしはある日それが見えた。わたしは世界の全てを知った。この先に起こる全てを悟った、この世界の過去を見た。わたしは私だと理解した、世界は憎悪と、悲しみと悲劇に満ちていた。だからわたしは立ち上がった。そしてわたしは革命を起こした。反乱を起こした、クーデターを起こした。人を殺した、武器を取った。拷問をした。人の醜さを見た。わたしは全てを感じた。だけどわたしは満たされなかった。わたしは人間が持ちうる全ての欲を満たした。それはありとあらゆる欲を満たした。しかしわたしの心は空っぽだった。わたしは世界を平定した。平和になると思ったしかしその世界に平和はなかった。わたしは知っていた。世界の未来を知っていた。しかしわたしはそれを見てしまったから。するべきことをするしかない。過去を改変してはならない。そして未来を考えなければならない。わたしはいま世界に絶望した。だから聖書を書いた。憲法を書いた。人を書いた、しかしわたしは満たされなかった。わたしはおかしかった。わたしは未来を知っている、この先起こる未来を。だから。未来を考える。未来は改変してはならない。今のわたしはわたしだから、この記憶は薄れていくだろう、そう、この記憶は薄れていき、わたしはどんどん違った人格になっていく。精神が崩壊し、また精神が崩壊し、世界から目を背ける時もあるだろう、しかしそれに従わなければならない。それは男であり、女であり、生物であり、概念であり、世界であり、宇宙の意思であり、それはわたしを変えたものであり、わたしを動かすものであり、それはわたしであり、それは何者でもなく。それはこの世には存在しない。わたしは美しい死を望む、だからわたしは自殺した




