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新説(1)

後に『ハチミツ皇帝』と揶揄(やゆ)され笑いの種になった袁術(えんじゅつ)であるが


近年の科学的見地から彼を農業の第一人者とする見解がある


そもそも蜜蜂(ミツバチ)という昆虫は植物の受粉に最適の虫であり


受粉が目的のために その巣箱が高値で取引される程である


現代でも米国カリフォルニア州ではアーモンドの花の受粉が目的で


蜜蜂の巣箱が一箱 一万五千円で取引されている


アーモンドの花から採れた蜜蜂は苦くて売り物にならないのに


この価格で巣箱が数十万個も売られ カリフォルニア州に運ばれる程である


また現代中国の果樹農園では事故などで蜜蜂が居なくなると


その農家の人々が刷毛(はけ)を使って人工受粉をする


それだけ蜜蜂の受粉力は農産物の収穫量に影響を与え


農産物の生産過程に無くてはならない力を持っている


他にも日本における蜜蜂に関する本や養蜂家(ようほうか)の証言からも


「蜜蜂が農作物の生産を伸ばす」という科学的検証結果があり


蜜蜂が農業生産に多大な影響を与える事は間違いない事実であった


話を袁術に戻すと………


袁術は蜂蜜が大好物であった事は三国志界の通説である


(ゆえ)に蜂蜜の養蜂が盛んであったと思われる


「仲」を始めとした袁術領土では その他の果物 野菜 穀物が


豊かに身を付けた事は想像に難くない


果物は林檎(りんご) 蜜柑(みかん) 茘枝(れいし) 梅 桃 桜んぼ


野菜は(うり) 菜種(なたね)


穀物は蕎麦(そば)などが蜜蜂の受粉に助けられていたと予測される


幼少時代の陸績(りくせき)(陸遜の叔父)が袁術からおやつとして


出された蜜柑(みかん)も その蜜蜂養蜂(みつばちようほう)で潤った豊かな果樹園から


収穫した物と想像すると面白い


治める地で重税を課していた袁術も彼の蜂蜜好きの趣味から


豊かな農産業を営んでいた事は歴史の皮肉であろうか?


ちなみに豊かな農産業を営みながら農民には重税を課していたので


民の生活が貧しかったという例では日本の薩摩藩(さつまはん)奄美大島(あまみおおしま)琉球(りゅうきゅう)


採取した黒砂糖を安く買い叩いていたので現地民は貧しかった


という事例があるので矛盾しない


またローマ帝国では蜂蜜酒をミードと呼び 婚礼の儀に飲むという風習があり


これを袁術が皇后に立てた馮氏(ふうし)との婚礼で飲んでいた


という創作も十二分に可能である事を示す


また 後に季漢の名将『西涼の麒麟児』「姜維伯約(きょういはくやく)」の一族の「姜岐子平(きょうきしへい)」が


中国で初めての養蜂家であるとされており 故にその養蜂技術を姜維が引き継ぎ


蜀に多大な利潤を(もたら)したとする脚色や


袁術の娘が孫権仲謀(そんけんちゅうぼう)の側室になった時に


袁術の養蜂技術を引き継いで


呉に多大な利潤を(もたら)したとする脚色


袁術の従兄弟(いとこ)に当たる楊修徳祖(ようしゅうとくそ)が養蜂技術を引き継ぎ


魏に多大な利潤を(もたら)すかと思われたが


技術の提供を渋ったので曹操(そうそう)の逆鱗に触れ 殺されたとする脚色も可能


さらに袁術は西暦191年以降の所謂(いわゆる)『ニ袁時代』において


公孫瓚(こうそんさん) 孫堅(そんけん)を抜群の外交能力で操る手腕を発揮しており


これらの事跡を検証すれば 袁術とは


「後漢末期の農業と外交において(たぐい)まれなる功績を知らしめた先駆者」


という評価が相応(ふさわ)しいのである

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