コミカライズ1巻が出るよと全力で告知したい記念のSS
基本的に、ハジメは何でもできる人だと千夏は思っていた。
本人は謙遜、というか千夏も最近改めて気づいたのだが。元々バスケでも上を目指していたことや、本当に色んなことが出来る叔父さんを目標にしているのもあり、謙遜のつもりもなく、心から上には上がいるしと考えているようだった。
だが実際、千夏にとってのハジメは、自分の足でしっかり立っていて、とても優しく、頼りになる彼氏で。勉強もそれなりに出来て、運動もできる。料理もできるし、苦手なことがあまりないイメージだ。
そこには、確かに千夏がハジメにベタ惚れであるという客観的事実はあるが、それでも高校生として、いわゆるスパダリと呼ばれる類の人間だと思っている。
だから、変な話、千夏は彼氏の、できないところが可愛く愛しい的な感覚をあまりこれまで覚える機会がなかったのだが。
(……どうしよう、凄い嬉しいかも)
今、千夏はにこにこしながら、そんなことを思っていた。
千夏とハジメがいるのは、駅前のカラオケルームである。試験が終わり、ストレス発散がしたーいと、千夏がハジメを誘ったのだが。
(確かに、これまで一度も行ってなかったし、何だかハジメもノリ切らないような雰囲気だったけど)
「…………そうやって微笑んで見られてると、何だか凄く落ち着かないんだけど」
曲の合間、実は苦手なことがあった最愛の彼氏がこちらを見て、恥ずかしそうにしている。
今この時、千夏は『萌える』を覚えた。もしかしたら今なら優子と語れるかもしれない。
「ふふ、ハジメのことがもっと好きになったんだけどどうしようか」
「……それ自体は嬉しいんだけど、時々僕は千夏の思考回路がわからないよ」
そんな会話をして、密室なのを良いことに時々節度を保ったいちゃいちゃをしながら。
千夏はハジメとの初めてのカラオケを楽しむのだった。
時間を沢山過ごしても、新しく知れることはまだまだあるから、色んなところに行きたいなと、そんなことを思いながら。
『二番目な僕と一番の彼女』のコミカライズ第1巻が、2025年12月26日(金)に発売します。
原作読んで下さった方も、コミカライズから気になって下さった方も、どちらも楽しめるような素敵な漫画を描いていただけています。
ぜひ書店やオンラインでご予約いただけると嬉しいです✨
詳細・予約はこちら↓
https://comic-alive.jp/product/nibanmenaboku/
(コミックウォーカー、ニコニコ漫画で連載中!試し読みもおすすめです♪)




