コミカライズ記念SS
本格的に夏が来て、外に出るのも億劫な僕達は、冷房の効いた部屋で二人で過ごしていた。
インドア派といえばそうかもしれないけれど、そもそも、比較すると沖縄県がまるで避暑地のようになっている今の気温がおかしい。
(一人で本を読むのも良い時間だけど、二人で静かに並んで読書をするというのも凄い贅沢だよね)
僕はそんなことを思いながら、隣にリラックスして座っている千夏の横顔を眺めていた。捲るページは本の終わりに向けて、そして、ハラハラとしている感情から、良かったという喜びへと移り変わっていく表情が、既に読了済みの本であることからも見ていて嬉しくつい目をやってしまう。
この目の前の恋人については、色んな好きなところを挙げられるけれど、やっぱり、自分が面白いなと思うものを、自然体で面白いと思ってもらえるのは、心地よいものだった。
「ふはぁ……」
「ふふ、お疲れ様。どうだった?」
読み終わって静かにページを閉じた千夏に、僕はわかっている答えを聞く。
言わなくてもわかることは多いけど、大事なことでも、大事じゃないかもしれないことでも、きっとそれは必要なことだった。
「すっっごく、面白かった!!!」
凄く、ではなく、すっっごく、のあたり、本当に好みに刺さってくれたようで、おすすめした僕としてもとても嬉しい。
僕は雑食ながらメインはSFやファンタジーを読むことが多くて、対する千夏は恋愛ものや推理ものを読むことが多かった。そのため、恋愛要素も強いSF作品などは僕が、ファンタジーや世界観もしっかりしている恋愛ものなどは千夏が、それぞれ勧め合っている。
「うんうん、そうやって反応してくれると、勧め甲斐があるなぁ」
「勿論おすすめされたから、悪い印象はなく読みはじめるんだけど、その上で合わせないでも『良い』ってなるのは、同じ感性って感じでいいよね」
そして、読み終わりの興奮冷めやらぬという感じで身を乗り出して近づいてくる千夏に、流石に集中できなくなって僕はスマホを置いた。それに、「よし、漫画に勝った」と言って千夏が笑う。
最初から勝負にはなっていないのに、そんなことを言う様子が可愛かった。まぁ元々、見入ってる千夏の横顔を見ちゃってたんだけれどそれは内緒だ。
ソファの上で二人、少しじゃれ合うようにして、しばし身を触れ合わせる。物語だと、こういう時に邪魔が入りそうなものだけど、ここは僕の家で、他に人はおらず、スマホも静かなままだった。
まぁ、だからこそ、自制心みたいなのが必要だったりもするのだけれど。
「それにしても、ハジメって割と何でも読むよねぇ。さっき画面に見えたのは、この間読んでた小説が原作の漫画でしょ?」
少し恋人らしい時間の後で、お茶でも入れようと立ち上がった僕に、千夏がそう声をかけてきて、僕は頷いた。
「そうそう、原作の空気が凄いよく描かれてて、一ファンとしては嬉しい限り」
「へぇ、じゃあうちも読もうかなぁ」
「是非是非」
会話をしながら、ことり、と千夏の前にグラスを置くと「ありがと」と返る。
音が無いわけじゃないけれど、静かで。決して退屈なわけではない、ゆっくりとした時間。
季節が変わっても、去年から変わらずそう過ごせる日々が、ただ、とても、好きだった。
ご無沙汰しております。
ということで、ふたぼく、こと、二番目な僕と一番の彼女のコミカライズのお知らせをさせていただきます。
カドコミ(ComicWalker)などで読める、アライブ+で本日 7/30からで、既に1話が掲載されています。
第二水曜日と第四水曜日が更新日だそうで、ネームを先まで読ませていただいているのですが、素晴らしく描いていただいていて、本当に嬉しいです。共有したいので是非ご覧になってください。
こちらリンクです
https://comic-walker.com/detail/KC_006879_S/episodes/KC_0068790000200011_E?episodeType=first
WEBで書いていた作品が書籍化され、コミカライズされと、非現実感もあるなと思っているのが正直なところです。お引き受けくださって、ハジメや千夏を漫画という媒体に再構成してくださった先生に感謝!
スマホなどでも無料で手軽に読めますし、知ってもらえるためにも、沢山応援していただけるととても嬉しいです。どうぞ、よろしくお願いしますm(_ _)m




