話し合い
今日3回目の更新です。
何でこうなった?先日王太子を連れ帰ってくれたラルクアン様のお昼にお弁当を作ったら、翌日から近衛騎士隊からお弁当の注文が来る様になった。
ラルクアン様には毎日お世話になっているので、断り難い。取り敢えず受けられるお弁当数を10にした。
いや、これも多いけど、5個なら。と返事したら隊内で争いが起きたとお店に来た近衛騎士に言われたので、お店を開く前に先に準備をする事で、10個だけを受ける事にした。配達の時間は無いので、近衛騎士の誰かが取りに来てくれる事になった。
王都から離れているのに、良いのだろうか?
と考えていたら、遅番の方がお昼を食べに来て近衛騎士隊迄持ち帰ってくれる事になったらしい。
魔法で届ける方法もあるけど、魔法が使える事は皆んなに知られたくは無い。
パイや飲み物を打つけていたのが、態とだとバレてしまう。そうすると、私の性格の悪さが出てしまう。
ドアが開いて人が入って来た
「いらっしゃいませ?」
ニコニコと護衛騎士を引き連れた王太子が入って来た。
えっ?来るのを辞めてくれたのでは?何故に居る?
「近衛騎士がお弁当を注文していると聞いた。今回は久しぶりに俺も食べたくなって。毒味が必要ならお弁当は打って付けだとは思わないか?」
お店に来なければ全く問題ありません。
お・み・せ・に・こ・な・け・れ・ば・ね!
対応は笑顔で、心は真っ黒な接客でございます。
王太子は顔を近づけて来て耳打ちした。
「君は過去を覚えているの?」
私は笑顔を貼り付けたまま頷いた。あんなに痛かったのに、苦しかったのに、忘れる訳ないでしょう!
王太子は、表情に糊でも塗った様に驚いたままで固まった。
それはそうでしょう。過去4回の内貴方2回ですからね。騙される前に王族なら確認しなさいよ!
言わないけどね。
小さく、ホントに?と呟いたので、
「はい。覚えていますよ。2回共。何か問題ありますか?大丈夫ですから、お城で大人しくされていらした方が良いですよ。」
はっきりと言い返した。あれ?不敬罪に当たるかな?まあ良いや。近い内逃げようかな?
王太子はお弁当を持って放心状態で帰って行った。
その日の夜にアテナが久しぶりにやって来た。ラルクアン様も丁度いらっしゃったので、昼間の王太子とのやり取りを話した。アテナは爆笑していた。
「アレクさんも店の周りウロウロするし、引っ越ししようかな。って思っているんだけど。」
ラルクアン様は出した夕飯のキッシュを刺したフォークを持ったまま私を見た。
「勿体ないわよ。折角お客様も付いて来たんでしょう?王子呼び出して話しするか。」
言うが早いか、待って。を言う間に王太子が現れた。
本人ビックリして固まってるし。手にはペンを持っているから何か書いていたんだろうね。
「この紙に直ぐに帰るって書いて。」
アテナは紙を渡すと言われるがままにスラスラ書いてアテナに渡すと一瞬で消えた。王太子が居た場所に届けたんだろう。
「貴方、エリーが覚えて居ないって思っていたの?」
ソファの肘掛けに肘を置いて頬杖ついてアテナが尋ねた。
「もしかしたらと。知らなければ無かった事にしてもう一度始めからやり直しが出来ないかと。」
「パイが毎回飛んで来ても?」
「パイが飛んで来るのは、覚えていて可愛い仕返しかと。思う事も。」
王太子はアテナの問いに言葉を選ぶ様に応えていく。
解っていたんかい!
「エリーが引っ越ししたいって。」
「ダメだよ!やっと会えたんだから!それなら一緒に森へ帰ろう。」
はい。不法侵入者一名様ご来店。
「アレク。焦らないのよ。エメラディアの話しも聞きましょう。」
はい。不法侵入もう一名様ご来店。
招かねざる客って知ってます?
「私はディアナと言います。精霊王の妹です。」
王太子は慌てて跪く。
「エメラディアは、どうしてアレクを嫌がるの?これ貴女の双子の兄よ?」
双子だろうが何だろうが関係ありませんよ。大嫌いだもの。
双子は例え産まれてから離れて暮らしていても、直ぐに打ち解ける絆があるって言う人いるけど、必ずではないからね。
「私4回やり直しをしているんです。その3回目の時にアレク様に酷い謗りを受けました。伯爵家でメイドと言う名の奴隷でしたから、お風呂にも入れず井戸の水を汲んで魔法でお湯にして身体を洗っていましたが、伯爵夫人にバレると鞭で打たれるので、ある程度なかな感じに見せる必要があり、夫人の娘は私を監視していたので、一瞬も気が抜けなくて、服も洗ったものを掃除で汚していましたら、アレク様に散々に言われたもので。」
アテナがディアナ様に何かを見せた。ディアナ様は顔を青くしたり赤くしたりと忙しそうだった。
「成る程。エメラディアは私達も敵認定になった訳ね。アレク帰りますよ。王と話し合いです。」
不法侵入者御一行様は消えた。残るは王太子のみ
「許して欲しいとは言わない。やり直す時間が欲しい。」
「何で?エリーの事を忘れて暮らしたら良いじゃない。お互いWIN–WINよ。」
王太子の目が不自然に泳ぎ出す。何を隠しているの?
「王は…聖女を……王家の花嫁にと。…出来れば…その…私…の。」
嘘でしょう。誰か嘘だと言って。好きでも無い相手としかも二度も私を殺した相手は…どう考えても、誰が考えても無理でしょう!
両手で頭を抱えた。そして速攻で返事をした。
「ごめんなさい。絶対に嫌です。もう痛いのやだ。絶対に嫌だ!いつ殺されるか解らない相手と一緒に暮らすの?ようこそ地獄へおいでませ。じゃない。狂っちゃうから。私狂っちゃうからー。」
「わーかった。わーかったから。そう言う訳だ。まぁエリーと今後は接触控えて欲しい。相談なら1時間100デラで乗ってあげるから。南の良い魔女って呼んでくれたら伺うわ。」
アテナお金取るんだ。しかも100デラって馬買えちゃうよ。アテナは手首をくるりと回して王太子を返した。
「エリー大丈夫ですか?」
右上を見上げるとラルクアン様の顔があった。ラルクアン様。ごめん。居たの忘れてた。
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