6 決行
並べられたのは二つの木のぼう。のせられたのは僕達……。僕らは、開始五秒で飛び立つことにしている。
「五!」あと五秒。
試合が始まった。僕はチューンちゃんと、オオ狼太はクレスさんとたたかうふりをする。
「四!」あと四秒。
周りのニンゲン達はうるさく声を上げている。僕らがこの後逃げるなど、つゆほども思わずに。
「三!」あと三秒。
僕は、いっそう声をはり上げる。
「二!」あと二秒。
いよいよ、逃げるまで二秒となった。
「一!」あと一秒。
皆が飛び立つために、羽を開きはじめた。
「0!」
「行くぞっ!!」
皆が飛び立った。
僕たちが飛んだことにおどろいたニンゲンが追いかけてくる。
僕たちはカブトムシ。長く飛ぶには向いていない。
(逃げたはいいけど、どうすれば逃げ切れる……?)
「皆さん!クレスさん!こっちですよ。」
声が聞こえた。……オニヤ先生だ!!
「このへいの向こうから逃げれますよー!!」
「ありがとうございます、オニヤ先生。」
僕達はヴヴンと羽音をたて急降下する。そして--へいのすき間から僕らは逃げ出した!
「やっとぞっ!!」
「成功だーっ!!」
「やっと出れたわ!」
「本当に出られるとは……。」
「皆さん、木から木へ、枝から枝へ飛び移りながら、サクラ森へと帰りましょう。」
「はい。」
僕は返事をした。その後、質問する。
「先生、ニンゲン達が追ってこないのはなぜですか?」
「チョウの仲間たちがおとりになって、時間をかせいでくれているからです。」
そのとき僕は、あのときオニヤ先生が発した言葉を思い出した。『ワタシ達も森の住人は、いつでもキミ達に協力します。』
「ありがとうございました……。」
僕は心からの感謝を述べた。