5 脱出の糸口
またその次の朝。僕は思わぬ情報を手に入れた。クレスさんと、あの原っぱで話ができたのだ。
「ニンゲン達は、くる日によって、やってくる人数が変わる。それに、おそらくたくさん勝つとたくさん試合をさせられると思う………!」
クレスさんが語る。そこに僕は、逃げれるかもしれない案を思いついた。
「ね、ねぇクレスさん、次にニンゲンが一番少なく集まる日はいつ?だれが来る?あなとチューンちゃんは?」
「…三日後だな。その日なら人数は一番少なく、チューンと私もくる。……なにをするつもりかな?」
…いける!僕はそう思った。逃げることができる。
「クレスさん、ここから逃げましょう!これからの試合、全て勝って、その日、四匹でたたかうと見せかけて逃げましょう!」
「なるほど。……ほかのカブトムシ、クワガタムシなどはどうする?」
「……この方法を逃げる直前に教えて、今回は僕らサクラ森の住民だけで逃げます。」
「では、そうしよう!」
僕らは森に帰りたい。その思いが他のカブトムシにも届いたのか、逃げる前日の時点で、僕たちはニンゲン達の中のランキングがかなり高くなっていた。僕は十五匹中三位、クレスさんが二位、チューンちゃんは四位、そしてオオ狼太が一位だ。
そしてついに、その日がやってきた。
「行こう!」