3 オオ狼太
気づくと、僕とオオ狼太はトウメイの入れものに入れられていた。
「くそっ…。」
オオ狼太がつぶやく。同感だ。
「言ったじゃないか。ニンゲンはこわいって。」
「あんなデカイやろうだなんて知らなかったんだよ!
……なんでこんなことに。」
「君がニンゲンに立ち向かおうとしたからだよ。それに、ニンゲンの大きさについては、授業で習ったじゃないか。
……もしかして、聞いてなかった?」
「………。」
オオ狼太はすぐそっぽを向いた。でも僕も、これ以上馬鹿な争いをするべきじゃあないと思っている。考えるべきなのは、どうやってここから逃げ出すかだ。
「ねェオオ狼太クン、なんでニンゲン達は僕らをつかまえたんだろう。」
「は、知ると思うか、オレが?
お前みたいな弱虫にはたよらん、オレは自分でここから逃げ……いや、出る。」
オオ狼太はプライドが高いらしい。逃げる、と言おうとしてやめている。
「オオ狼太、僕らは協力すべきだ。じゃないと、チューンちゃんやクレスさんがもどってこないハズないだろ!?」
「お前、そんなキャラだったか?」
「じゃあ、今までのイメージ、どんなのだったのさ。」
「弱虫、ちび、いばってる、オレをたいていむしする…。」
(え………僕そんなんだった?)
弱虫といばってる、ではちぐはぐじゃあないか。
「お前の、オレのイメージは?」
「いばってる、うるさい、よく僕にちょっかいかけてくる、森一番のいじめっ子……とかかな?」
「オ、オレが、いばってる………?」
いつもむしする僕にかまってほしくて、成功したらうれしいのでその後もやってしまう、とオオ狼太がつぶやく。 なんとオオ狼太はかまってちゃんだったらしい。
「それより、僕がいばっているってどういうこと?」
「センセーにほめられたって、父親に大声で報告してただろ?あれ、わざとオレ達に聞こえる声で、いばってたんじゃあ、ないのか?」
「ちがうよ。」
そんなことが原因だったのか……。オオ狼太は、思っていたよりずっと、人の話を聞いていられるようだ。お互いのイメージをリセットすれば、僕達は友達になれるかもしれない。
「な、オオ狼太。ここを出よう。」
「……出れないよりは、お前と組んだ方がいい。」
「協力して、がんばろう!」
「絶対にここから出てやる!」
僕は、新たな決意と、新たな友達を得た。