1 日常
「父さん、行ってきます。」
僕は父さんにあいさつをして、枝から枝へと飛び移った。あと五本枝を飛びこえたら、キノウロ学校につく。だけど…。
「よ、グラン太。ノロノロ登校が、やっと終わるところかな?」
この森一番のいじめっ子、|オオ狼太<<おおろうた>>だ。
僕はオオ狼太が嫌いだ。僕達の家族はヤナギの樹液が好きで、あいつの家族と友達はクヌギの樹液が好きなのに、なぜか僕はいじめられる。
「そんなにノロノロ飛んでると、ニンゲンサマにつかまるぞ。グラントシロカブトのグラン太クン。」
オオ狼太があおってくる。
「そっちの方が大きいから、すぐ見つけられるんじゃないか。サタンオオカブトのオオ狼太クン。」
僕もいやみをぶつける。するとわすか二秒で、僕は枝からふき飛ばされた。あいつは大した頭を持ってるわけじゃあないのに、図体だけは大きいんだ。
一回転して着地する。慣れたものだ。
「フフフ、じゃあな!ドジっ子グラン太クン。」
ヴヴヴと音をたてて、オオ狼太はいなくなった。どうやら、学校に向かったようだ。僕も起きあがって、学校に向かおうとする。すると後ろから声がした。
「へぇ、オオ狼太君は、あんなコだったんですねぇ。」
ミヤマカラスアゲハのミヤマ先生だ。
「おどろきです。」
「びっくりです。」
オニヤンマのオニヤ先生と、ノコギリクワガタのノコギ先生も居た。
「あ、ノコギ先生。僕、授業におくれましたか?」
おそるおそる聞くと、ノコギ先生は笑って教えてくれた。
「大丈夫ですよ。おくれてはいません。
ただ君の登校時間は、いつも、とても早いでしょう。いつもおくれて来ていたオオ狼太君が最近早いのはなんでかなって思ったのだけど。」
「あぁ……僕にちょっかいをかけるためですね。」
先生達が、いっせいに僕を見た。そして、学校の方へ目をやった。
なんだ?
「そろそろ、行きましょうか。」
先生と僕は飛び立った。