精鋭
敵が亡者たちを一撃で吹っ飛ばしたように、クリスの一撃も敵軍を大きく吹き飛ばす。
本気のクリスの魔法って初めて見たけど、えぐいね。
相手がたくさんの人で放った魔法と、クリスが一人で放った魔法が同じくらいの威力になってる。
どっかーん!
って沢山の人が宙に舞っていた。
けれど、爆発が収まってみると、思ったよりも損害は少なそう。
なんか薄い膜のような物が見えるから、きっとクリスの結界みたいなのが、敵にもあるんじゃないかな。
でも、陣形が崩れたのは間違いなくて、そこにスケルトンたちが突っ込んで行くと、敵は混乱したようで、スケルトンたちが次々と打ち取って行くのが見える。
このまま全部倒せちゃうんじゃないの?
そうは思ったんだけど、そこまで上手くはいかないみたいだ。
敵は急いで交代して、乱戦から立ち直って陣形を整える。
すかさずクリスがもう一発魔法を撃とうと杖を構えるけれど、そこに数人の敵がスケルトンの間をするするとすり抜けて、クリスに飛びかかった。
スケルトンは足が遅いから、阻止できなかったみたい。
もちろんクリスはそんなに簡単に倒されないのだけれど、敵陣に魔法を撃つ余裕はなくなっちゃったみたい。
クリスはその数人と戦ったまま、スケルトンたちと敵の軍勢が押し合う。
今度は数の差でこっちが押されてるみたい。
と、そこに、馬が一頭駆けつけて来た。
あれ?
あの人、さっきスケルトン相手に無双してた人じゃない?
結構怪我してたと思ったのに、もう戦えるのかな?
異世界ってこういうとこ卑怯だよね。
ポーションとか、回復魔法とかあるから、少し休むとすぐに回復しちゃう。
厄介な相手はちゃんと止めまで刺さないとってことなんだろうね。
十対一くらいの戦い。
クリスの身体からはモクモクと、瘴気が噴き出してる。
本気を出してるってことなんだろうけど、それでも互角?
思った以上に相手、強いのかな。
前に来た冒険者くらいの相手だったら、五十人くらいいても余裕がありそうだったのに。
んー、膠着。
けどその間にスケルトンたちがどんどん倒されて行ってる。
私のテイムスキルとの繋がりが凄い勢いで減っていく。
うー、なんか押されてるっぽい。
ピカーン!
ま、眩しい!
突然光ったものだから、慌てて双眼鏡から目を放す。
うー、チカチカするよー……。
何が起こったの?
この双眼鏡、暗視が付いてるから光ると余計に眩しいんだよね。
それでも保護してくれてるらしいんだけど。
恐る恐る、双眼鏡を覗き込む。
え、っと、確か光ったのはこっちの方だよね。
クリスたちがいるところから左の方に視線をずらす。
すると、そこには二十人くらいの神官服を着た男の人がいた。
なんかみんなで唱えてる。
あ、やばい。
私はギュッと目を瞑る。
ピッカーン!
やっぱり!
私の勘、冴えてるね。
もう一度双眼鏡を覗き込むと、クリスの身体から白い煙が出ていた。
えぇえ!?
どうなってんの!?
黒い煙は瘴気だから、クリスの力であることは分かるんだけど、白い煙が出るなんて異常だよ!
あれ、大丈夫なの……?
ピッカーン!
え?
なんか別の方向が光ったんだけど!?
視線をそっちに移してみると、そこには二十人くらいの神官服姿の女の人が、固まって何かを唱えてる。
ピッカーン!
光は、クリスに向かって一直線に放たれた。
十人ほどの相手に手こずっているクリスの身体に、その光が掠った。
シュー!
白い煙だっ!
あの光が当たると白い煙が出るの!?
あれ、もしかして回復魔法みたいなやつ!?
アンデッドには弱点だって言ってたし!
クリスだって、それは変わらないんだろう。
あわわわ。
どうしよう、このままじゃやられちゃう?
そうだ、HP見てみよう。
『2722/3345』
どうなの、これ?
意外と減ってない……?
いや、でも、あのピッカン一回で100ぐらい削れてるから、このまま続いたらまずいかもしんない。
それに、まだ掠ってるだけだ。
もし直撃でもしようものなら、どれだけ減っちゃうのか。
あわわわ。
クリスがこんなに苦戦するなんて、思ってもみなかった。
拝啓、皆さま
暑い夏をどうお過ごしでしょうか
私は元気です(どう過ごしてるかは言ってない)
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