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探索回です。
テントに入って、準備をして海側の森に行く。
…ヴェルスさんに守ってもらっていれば中央の森でも探索できるが、さすがに頼りすぎだからやれることは頼らずやろうと心のなかで誓った。
「俺やオゾレスクさんの近くにいるんだぞ」
「「はい!」」
ユーマとシーナが元気良く返事をした。
「そう言うことなんで、お願…何ですか、それ…」
「ん?」
俺がオゾレスクさんの方を向くと、オゾレスクさんの手にヴァラドさんの黒色の傘と同じものが握られていた。
「これか?これは、先日の魔族…ヴァラドが持っておった物を真似して"創造魔法"で創ったもんじゃ。中々の出来じゃろ?」
「ええ…まあ……はい…凄いです」
確かにすごいものではあるけど…正直、そんな事に"創造魔法"っていう凄そうな魔法を使って良いのだろうか…。
「ふむ…よし」
「?」
「これで、今まで不快だった日光を完全に遮れる…'展開'」バサッ
「!?」
オゾレスクさんが傘をひらくとオゾレスクさんの周りの光が夜並みに…いや、それ以上に暗くなった。
「オゾレスクさん…それって周りが見えないんじゃ…」
「カッカッカ…ベンよ、儂を誰だと思っておる。
それくらいのことは問題ない…"暗視"」
「うを!?」
オゾレスクさんが魔法?魔術?を唱えると目が光った。
「これで、なんの問題もない。
では、行くとするぞ」
「え、はい」
その後、拠点の内部で傘をさした目の光る何かが歩いているというどうでもいい噂が流れたとか流れなかったとか…。
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森の中に入って何時間か歩いているが、食材になるものが全く見当たらない。
それこそ、食肉になる動物や素材をおとす魔物も全く居ない。
「う~む…他のプレイヤーに採られたかな?」
「そうじゃな…そこら辺に少しだけ戦った跡や採集された痕が残っておる…どうするぞ?」
「そうですね…」
確かに森を探索していたら他のプレイヤーが集団で戦っていたり、俺には到底できそうにない動きで森を縦横無尽に飛び回るプレイヤーが居たから、きっとそういったプレイヤーにとられたのかな…。
…しかし…イベントが中盤を過ぎようとしているのに、このまま俺のレベルが上がらないままだと……かなり…かなりまずい…。
「どうしましょうか…」
「そうじゃな…ここは少々プレイヤーが多いからのぉ…少し冒険者らしく中央に行ってみてはどうじゃ?」
「う~ん…中央ってレベルが高すぎて……」
お主が中央の森を避けとるのは分かっておる、じゃが…竜巣には入らずんば金を得ずという…。
何、儂やヴェルスが居るから安心して冒険せい」
「う~ん……………………………………分かりました…でも、あまり深くまでは行かずに森の手前くらいで探索しましょう」
「うむ、決まりじゃな…少々遠いから魔法を使うぞ」
「はい、お願いします。
ユーマ、シーナ、もう少し近寄ってくれ」
「うん!」
「はい!」
俺が手招きしながら言うと、2人が近づいてきた。
「では行くぞ…"長距離瞬間移動"」
オゾレスクさんが魔法を唱えると一瞬にして目の前の景色がひらけて、すぐ近くに森と山が見えた。
少し気を引き締めよう………。
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次回は少しだけ時間が遡って久々の第3者視点から入ります。
いつも色々とありがとうございます。