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不穏な気配漂う回です。
その"猫の道"の2人に色々質問して、分かったことは、自分たちは情報が聞きたかったが他の2つのクランが俺を勧誘(強制的)に来ていてそれが終わった後でも問題ないと考えたから止めなかったらしい……。
「本当にそれだけですか?」
「そうよ!」
「……分かりました…」
そう言い終わって、タイチョーさんの方を見て…。
「後はお願いしても良いですか?
そろそろ、夕ごはんの準備なので…」
「ああ、任せたまえ…他のやつが起きたら伝えよう」
「はい、お願いします…では」
檻のある場所から離れて調理場に向かう…。
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調理場に着くと、俺の身長と同じ大きな牛が2頭置かれていた。
「大きいですね…これどうしたんですか?」
「これは今日の午後にゴブリンと狩ってきたらしわよ」
「ゴブリンと?」
「ええ…詳しくは分からないけれど…」
「とりあえず、解体するしかねえな…」
「サクサクさん呼んで来ま~す」
「サクサクさん?」
「そういえばベン君は第3陣で掲示板を見てなかったわよね?」
「はい」
「サクサクさんはβプレイヤーでマイナースキルを集めている人なのよ」
「へ~」
「で、そのマイナースキルの中に"手動解体"ってのがあって、魔物や動物のドロップ量を増やすことができるのよ」
「?倒したらドロップしないんですか?」
「それは…確か、冒険者ギルドの解体場所で習わないとずっと自動解体状態が解除されないって掲示板で見たな」
「へ~」
帰ったら覚えに行くか……。
そう考えていると、青いオーバーオールを着たヒュームがやって来た。
「サクサクさん!」
「やあ、コックス久しぶり」
「そうね、サクサク…これの解体お願いできる?」
「もちろんさ!」
そう返事をするとサクサクさんと呼ばれた人がナイフを取り出して手早く解体し始め、しばらくすると2頭の牛が革と蹄と角と骨そして肉になった。
「これで終わりだよ」
「ありがとね…とりあえず報酬はどうする?」
「そうだね…じゃあ美味しい料理で!」
「はいはい、サバイバルが終わったら作るわね」
「よろしく!」
そう言ってサクサクさんは去っていった。
その後は牛の肉を人数分に切って焼いたステーキを作った。
味付けは塩と胡椒だけだが肉汁が溢れてボリュームたっぷりだった……。
食べていると、拠点班の人に呼ばれた…どうやら気絶から覚めたらしいが、他にも厄介者が来たらしい……まさか…。
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檻が見えてくると昼に話したプレイヤー達が騒いでいる。
「さっさとクルミとハルミを出せ」
「それはできない、掲示板で決めただろ?
悪事を働いた者とPKは檻に1日以上監禁と」
「クルミとハルミはそんな事はしてない!」
「そうよ!さっさと出してよ!!」
「私たちのメンバーもそうです~!」
「そうだ!九尾様の言うことを聞け!!」
「ダメだ!……おお!ベン君!」
「大変ですね…」
「ああ…とりあえず君の許しを無しに出すわけにはいけないからね」
「あ…ちょっと……」
「?どうし……あ…」
タイチョーさんが後ろを向くと騒いでいるプレイヤーがこちらを見て睨んでいる……。
……とりあえず、睨まれているだけなので檻に近づいて質問するか…。
「何故、俺を襲ったんだ?」
「は?何のことよ!」
「そうだ!俺達が襲うわけないだろ!!」
「………」
一応聞いたが……時間の無駄だな…。
「タイチョーさんもういいです、無駄なんで」
「……そうか、分かった…」
「じゃあ、出してもらおうか」
「ああ、良いぞ」
タイチョーさんも面倒だったのか、檻の鍵を使って中に入っていたプレイヤーを出した……しかし、俺への威圧は無くならない……。
俺は関わりたくないから、タイチョーさんに後の事は任せてテントに戻る……。
……拠点で襲われないよな…。
そんな事を考えながらテントに入って、いつも通り"生活魔法"を使って体を綺麗にしてから寝袋に入って眠りに着く……。
次回はリアルの朝食回です。
今回出てきたプレイヤー紹介
・サクサク(男性)
黒髪のヒューム
マイナースキルを集めている
武器はミスリル製の扇
防具は自作のオーバーオール(布製)
リアルでは色々な国の貨幣を集めている
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(ここからガンプラ→)【 ● 】<ギュピーン