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海回、パート2回です。
砂浜に向かうために森に入ってオゾレスクさんに護衛をしてもらいながら進んでいく。
「それしても…急いで出んでも…」
「なんとなく厄介事に巻き込まれる気がしたので…」
「カッカッカ、良いではないか…人生は厄介事に巻き込まれる方が楽しいぞ」
「俺はそんなものはごめんです……まあ、強くなればそんな事もどうでもよくなるのかな…」
実際、美希や亮兄さんはゲームでも渦中の真ん中で笑っている様子が浮かぶ……あの2人は運動神経が高いからこういったゲームではいつも強いからな……。
そんなことを考えていると昨日訪れた砂浜に着いた。
昨日作った砂の像は"保護"のお陰でキレイに残っている…。
「お~いお兄ちゃ~ん」
「!シャルニーか、すまん遅れたか?」
「ぜぇんぜん…あたし達も今来たばかりよぉん」
「そうそう!にしてもすごいね!この像!」
「掲示板でもスクショ見ましたがすごかったです!」
「まあ、"日曜大工"の人達とオゾレスクさんの作品だからな」
「"日曜大工"…確かあそこのクランハウスって自分たちで作ったっていう…」
「あそこの作るものはこだわりがあるからね」
「"頂"のクランハウスも作ったて聞いたよ~」
「へ~」
そんな雑談をしていると海から声が聞こえた。
「お~い!」
「ん?おお!昨日の…そういえば名前聞いてなかったな…俺はベン!君は?」
「ん~?僕は"カディス"だよ~、それよりなにしてあそぶ~?」
「そうだな…」
「ねえねえ、お兄ちゃん何の話?」
「ん?ああ…昨日カディスと遊ぶ約束したんだ…俺の事はいいからみんなで…」
「あら~ん?仲間外れはだめよ~ダメダメ…」
「?」
「そうですよ!ベンさん」
「て言っても特にやることないけどね~」
「そう言う事、だから問題無いです」
「…了解、とりあえずカディスと遊べる事を考えるか…」
「りょうか~い」
カディスは俺より大きいし海の魔物だから陸地で鬼ごっことか、かくれんぼは論外だ…。
「そう言えば、カディスはいつも何しているんだ?」
「ん~?お魚と泳いだり~たまに陸地でのんびりしたりするんだ~」
「なるほどな…」
「でもいつもは"ダゴン"叔父さんとお話しするんだ~」
「え…」
「"ダゴン"!?」
「"叔父様"!」
1人違うところに驚いている気がするが、ダゴンって、あのクトゥルフ神話に出てくる神の名前だよな…いや?確かメソポタミアの神だったっけ?……よく分からないが、とにかくすごい所と繋がりを持っているのは確かだ…。
「それで~なにしてあそぶの~?」
「…ああ…そうだな……カディスも砂の像を作るか?」
「砂の像~?」
「ああ!案外楽しいぞ!!」
実際、高校生にもなる俺でも熱中できたし…。
「そうなの~じゃあやる~!」
「そうか!じゃあまず土台「お兄ちゃん…」ん?」
「本気で言ってるの?」
「俺が冗談を言うときは今まであったか?」
「………」
「えっ?本気ですか?」
「え!?リリーまで!?」
「正直言うと子供っぽいかと…」
「そうねぇ~まあ、あたしは良いと思うけれど」
「どうせなら、体を動かせるものがいいですね」
「そ、そんな…」
少しだけユーマとシーナの方を見たらフィールさんの言葉に頷いていた……まじか…。
「どうせなら、水上スキーしてみた~い」
「なに~それ~?」
「カディス君が思い切り泳いで私達を乗せて動くの~」
「おいおい…それじゃあ、カディスが楽し…「面白そう!」…」
お前もかカディス、砂の像作りも楽しいと思うんだがな…。
その後、カディスの頭の上に乗って、オゾレスクさんに"保護"をかけてもらって出発した。
「わ~~~~~い!!」
「ひゃ~~~~風が気持ちいい~~~!!」
「「楽しい~!」」
「ジェットコースターくらいは出てるわね」
「そうですね」
「カッカッカ、良いもんじゃ」
みんなが楽しんでいる……俺はジェットコースターみたいに早い乗り物が苦手だから乗らずに1人で砂の像を作っている……はぁ…。
がさがさッ………
みんなが楽しんでいる風景を見ていると後ろから物音がした…。
後ろを振り返ると初日でこの島に案内してくれたフードの男だった……。
その瞬間、何故か…カディスの言っていた"ダゴン叔父さん"というフレーズが脳裏によぎる…。
「カディスの遊びに付き合ってもらってありがとうございます…ベン様」
「もしかして…カディスが言っていた"ダゴン叔父さん"って…あなたですか?」
「…はい、私はダゴンでございます…」
そう言ってフードを脱ぐと魚の顔に長いひげがある姿を見せた…。
「といっても、この姿は仮のもの…化身です」
「化身…」
「私の事はどうでもよいのですが…」
「あっはい」
「カディスがあんなに楽しそうに遊んでいるのは久しぶりです」
「といっても、俺じゃなくて仲間達が遊んでいますがね…」
「それでも、ベン様のお陰です…私も時間を見つけてはカディスに構っていますが…なにぶん私の立場上話すことしかできず…どうにかしてやらなければと思っておりました…」
「そうなんですか…そういえばカディスの仲間は…」
「カディス…いえ、"オクタス"という種族はこの広い世界でも珍しい種族の1つであり、カディスのような変異個体…"亜種"はそれこそ希少で"亜種"と言うものは同種族でも少し敬遠されるのです…」
「敬遠…」
「更に魔物ですから、珍しい素材を欲しがる者共にとっては、まだ子供であるカディスを倒そうとする輩もおり…今でこそこの島で我々…神々に保護されています」
「なるほど……」
「…ですが、カディスが大人になるにつれてこの島の…我々の手の届く範囲は狭くなってしまうのです…」
「そうなんですか?」
「はい…この島は神々が管理できる島でありますが、それでも島の海域は海から島が見える範囲までです…だからこそ、少しだけでもカディスが楽しく生活を送れるように……いえ、この島の生物が平穏に生活できるように、我々のできる範囲で管理しているのです……そろそろ、カディス達が戻ってきますので、私はこれで…」
「お話ありがとうございます、ダゴン様」
「喜んでいただけて良かったです…」
そう言ってフードを被り、ダゴン様は姿を消した……。
そろそろお昼ごはんの時間だし、一旦帰るか……。
実際、今回出てきたダゴン(化身)は深きものどもと体格が同じ設定なので見間違えてもシカタナイネ…
今回出てきた新プレイヤーは無し。
読者・ブクマ・評価・感想・誤字報告・メッセージに感謝!
実はダゴンがメソポタミアの神様というのを初めて知ったので初投稿です。