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3日目の朝回です。
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昨日は早めに寝袋に入ったのでアラームより早く起きてしまった…。
交代の時間にはまだ早く外もまだまだ暗い。
そういえば長に通り道を教えなければ…。
クラックさんの指示で入り口に灯りや矢印で誘導してくれるようだ……道幅もかなり広くとっている。
とりあえず、エアベル様を喚ぶために外に出よう…。
「…"降臨"'エアベル'様!」
「おう!喚んだか、ベン」
「はい、長の所までお願いします」
「分かった!行くぞ!」
エアベルに捕まれ目の前が一瞬暗転…あれ?
暗転せずに長のいる"マラソンズダイナソー"の巣に着いた…。
もしかすると、何回か"長距離瞬間移動"を体験したから慣れてしまったのかな?
まあ、とりあえずエアベル様と共に長の下まで歩いて行く……。
「おはようございます、長」
「おお!ベン様おはようございます…それで例の件は…」
「はい、問題無く通り道を作りました」
「それは良かった…」
「灯りや矢印で誘導しているのでそこを通ってもらうことになりました」
「先ほど少し見たが広さも申し分なかったぞ!」
「分かりました…では報告しておきます」
そう言って長は群れの方に向かっていった……。
やることもやったし…俺も帰るか…。
「うむ…ベンよ感謝するぞ!」
「俺も平和的解決ができて良かったです」
「それでは帰るとしよう」
「はい」
エアベル様に捕まれ一瞬で拠点に戻ってきた。
その後、エアベル様と別れて1人になった…。
交代の時間にはまだ早いけど暇だから防衛区画に向かうことにした……。
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防衛区画に着くと防衛班(平野)の第1隊長の"ガイザ"さんがこちらに気づいて近づいて来る。
「おい…まだ3班の時間じゃねえだろ」
「早めに起きたから様子を見に来ました」
「そうか…そういえばお前"料理"持ってるよな?」
「はい、何か食材でも手に入れましたか?」
「ああ…すまんが何か作ってくれ」
「分かりました…あまり完成度に期待しないでくださいね」
「分かった…よろしく頼む」
貰った食材は平野に生息する"チェキン"や"グルルラ"で両方とも余裕で俺よりレベルが高い魔物だ…一応鑑定するか。
【チェキン】
チャキンの上位種族
チャキンと違って獰猛で
常に頭の鶏冠が赤々と光っている
味はさっぱりとしている
【グルルラ】
グルラの上位種族
グルラよりも素早く
常に毛が逆立っている
味はグルラより辛い
あっさりと辛い肉…しかも鶏肉と狼肉?
一応血抜きは完璧だが、正直…初心者には荷が重いな……どうしたものか……。
考えながら調理場に向かう………。
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調理場には誰もいない……。
歩いて考えた結果…神に頼んで見ることにする。
とりあえず、ヴェルスさんに料理に関する神もしくは料理を司る神が居るか聞いてみよう…。
「ヴェルスさん」
「なんでしょうかベン様」
「今から料理するんですが…なにぶん使ったことの無い食材なので……すみませんが料理に関する神って居ますか?」
「なるほど…分かりました呼んでまいります」
そう言ってヴェルスさんが目の前から消えてすぐに戻ってきた…隣には先ほど聞いた神が居たが……体長が2mある方だった。
「ベン様、こちらは料理を司る神"シェフ"様です」
「ベンです、わざわざありがとうございます…ヴェルスさんもありがとうございます」
「いや問題ないよ、なんせウノス様からスキルを教わっており、主神の恩人であるのなら何があっても優先して来ますよ」
「私もベン様のお役に立てて本望です」
「あはは…」
「それで料理のことだったね…なるほど、この食材を使うんだね」
「はい…でも俺、"グルルラ"を使ったことがなくて下処理やどういう料理を作れば良いか分からなくって……」
「そういうことか、なら一緒に作っていこう」
「はい、お願いします」
シェフ様と一緒に料理をしてみると、まずシェフ様が見本を見せて、次に俺の手をとって動かしてくれる。
最後に自分で捌くとキレイに下処理ができて…。
≪料理の熟練度が上がりました≫
下処理の途中でも上がるのか…新しいスペルは無かった。
鶏肉と狼肉をキレイに下処理して1口サイズに切り、鶏肉・狼肉・鶏肉・狼肉・鶏肉の順番で串に刺していく…ちなみに串はシェフ様が用意してくれた…。
一応、完成した料理に鑑定をかけてみる。
【チェキンとグルルラの串焼き】
料理を司る神とベンの作った料理
ピリ辛とあっさりが合わさり最強にみえる
完璧な下処理によって味は最高級であり
素材の味を最大限まで引き出しているので
幅広い年代層から愛される味となっている
完成度:EX+
効果:力+20 速+20 火耐性(中)
………なんということでしょう……。
実際、食べてみるとしっかり効果が出ている…。
味はユーマやシーナでも食べやすい辛さで美味しい!
量もかなりあって、たぶんここの拠点にいる人全員が食べられるほどある…確か途中でシェフさんが食材を追加していたような……はぁ…。
「よし!これでみんな食べられるだろう!」
「そうですね…ありがとうございますシェフ様」
「ベン君の腕も中々だったよ!とりあえず"保温"をかけておいたから、何時でも温かいからみんなで食べるように…それじゃあ」
「分かりました、本当にありがとうございました」
別れを言ったシェフ様が一瞬で消えた…。
…とりあえず持っていくか…一応、紙に『皆さんで食べてください!』と書いて、風で飛ばないように重い石を上に置いて、防衛班に持っていく………。
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「できましたよ、ガイザさん」
「おう…ありがとよ」
「とりあえず、ここの机の上に置きますね…串はここに」
「分かった…手の空いてる奴から食え…」
「「「「「「「了解」」」」」」」
そう言って、ガイザさんと副隊長の"ゴリラゴリラキリン"さんが串を手にとって口に運ぶと…。
「!!」
「うまい」
「良かったです」
「こんなうまい串焼きは初めてや!」
「ああ…俺もだ」
「お?なんだなんだ?」
「おや?ベン君早いね」
「あ、パッカーさんにヨクさんおはようございます」
「おう!」
「おはよう、それ美味しそうだね」
「うまいぞ…食ってみろ」
「こんなうまいもんは中々食えんぞ!」
促されてパッカーさんとヨクさんが串焼きを食べると……。
「「うまい!!」」
「だろ~!」
「うむ」
他の班員も交代時間になって降りてきて串焼きを食べると口々に「うまい!!!」や「朝からうめぇ!!」など感想を言ってくれる。
「にしてもすご「なんじゃこりゃあ!!!!」ん?」
「あの声は…グリルだな」
「ベン!!どこだ!!!」
「!?!??!?!!!?」
いきなり俺の名前を大声で呼ばれるから、かなりビックリした……まあ、検討はついているが…。
ドスドス…と足音が近づいて来て、グリルさんが迫ってきた…。
「ひぃ!?」
「お…おい…俺を盾にするな…」
「すみませんガイザさん…でもグリルの顔が怖いから…」
「だからって…はぁ…」
「ベン!!この料理!!どうやって作った!!」
「ひぃぃぃ!?」
「落ち着け…グリル…怯えているだろうが…」
「だ、だがよぉガイザ…この料理が…」
息を切らしたのか途切れ途切れ言葉を紡ぐ。
「この料理がどうしたんだい?」
「おお……ヨク…お前"鑑定"持ってる…だろ?"鑑定"してみてくれ……俺が言いたいことが……分かる…ふぅ…」
「?分かったが……!?」
「何が分かったんだ?ヨク」
「これは……ベン君…僕には黒塗りの部分が分からないがベンは分かるよね?」
「あぁ…え~と……」
正直…あまり神関係の事は言いたくない…面倒事に巻き込まれる気がしてなら無いからだ……実際、神殿ですでに厄介事に巻き込まれているから…。
とりあえず……。
「も…黙秘で……」
「……分かった…さ、グリルは朝ごはんの準備とかあるでしょ…さっさと戻らないとコックスに「なにこれ!!!!!ベン君!!!!!」…」
「時すでにお寿司だな!はっはっは」
「お寿司じゃなくておそしだがな!ガッハッハ」
「…2番目の防衛班はそれを食ったらさっさと寝ろ」
「「「「「「了解!」」」」」」
「とりあえず、俺はこの時間は防衛するので…」
「…分かった、コックスには俺から言っておく」
「お手数をかけます」
「なに、俺も怒鳴って悪かったな」
「もう大丈夫なので問題無いです」
「そうか、じゃあ戻るか…」
そう言ってグリルさんは調理場へ、2番目の防衛班の人達は自分達のテントに帰って行った…。
…朝から忙しかったが、もう1つ山場がある…。
無事に終わることを祈りながら、平野の方を見る……あと少しで朝日が顔を出す………。
新しい神登場!!(2回目)
今後がゲーム終了時の暗転も無くなります(カットとも言う)
今回出てきたプレイヤー紹介+α
・防衛班(平野)第1隊長"ガイザ"(男性)
アリゲイザー種レア科のクロコダーイ
肌(鱗)は黒く、目付きは鋭い
本人が元々無口なことも相まって恐れられている
戦闘系クラン"コロナ"の大隊長1人
武器は魔鉄鋼の大剣
防具は魔鉄鋼の鎧一式
かなりの酒豪で20杯飲めるがいつも止められる
・防衛班(平野)第1隊長補佐"ゴリラゴリラキリン"
ベアー種ビック科のビックベアー(男性)
毛色は赤色で体長2mはある
戦闘系クラン"コロナ"に所属
武器は己の拳 防具は己の体
本当は"ゴリラゴリラゴリラ"が良かったが
かぶりが合ったため仕方なくキリンにした
何故キリンにしたのかは誰にも分からない
・料理を司る神"シェフ"
神々の料理人(男)
体長は2mで体型は少し太っている(茶髪)
日々、色々な料理を作って新作(神作)を創る。
そのため、完成度は必ずEX+になる
(普通はEXまでしかいかない)
焼き鳥はねぎまが好きです。
スキル欄
料理↑
作者:ぬわーーっっ!!読者・ブクマ・評価・感想・誤字報告・メッセージーーっっ!!ありがとうございますーーっっ!!
???:やったか!(フラグ)