39
リアルとゲームでの朝食+α回です。
家に戻ると母さんが朝食を作っていた。
「ただいま~」
「おかえり、今日もランニング?」
「うん、とりあえずシャワー浴びてくるね」
運動服を洗濯籠に入れて、シャワーを浴びる。
・
・
・
シャワー後にリビングへ向かうと、妹の美希が朝食を待っていた。
「あれ?今日もランニングしてたんだ、私もしようかな~」
「した方がいいぞ、学校初日に運動不足じゃ、きついぞ~」
「う~ん、そろそろダンジョン探索終わりそうだし…、そうしよっかなぁ~」
「そうよ、あまりゲームに夢中なら制限するわよ」
「え~、横暴だよ~」
「じゃなきゃ、太るわよ」
「うっ…、分かりました~」
そんな話をしていると、亮兄さんが下りてきた。
「何を話してたんだい?」
「兄さんも運動しないとゲーム制限されるよ~」
「はは、僕は一応、ゲーム前に筋トレと勉強をしているから問題ないさ」
「さすが亮兄さん」
「さ、みんな座って朝ごはん食べるわよ」
亮兄さんも座って食卓を囲んだ。
ちなみに、今日の朝食は食パンに目玉焼き、コーンスープだった。
・
・
・
朝食後は兄妹で情報交換をしたが…。
「まあ、もうちょっとでダンジョンボスと戦える所まで来たかな~」
「僕の方もイベントに余裕で間に合う位には進んでるよ」
「へー、確かイベントって明日のメンテナンス後にあるんだっけ」
「そうだね~、そう言えば兄ちゃんはどこまでいってるの」
「俺?あー、俺は今ちょっとあって…」
「「ちょっとあって?」」
「今、最初の大陸から西にあるユウゾリア共和国のある大陸に居る」
「「………ええええええええええ!!??」」
「しかも、ゲーム内で2ヵ月後に大きな祭り事があるって聞いた」
「「えええええええ!!!???」」
「2人とも声が大きいよ、落ち着いて」
「いや、これは大事件だよ!なんでそんな所に居るの!」
「そうだね、しかも2ヵ月後のイベントまで知ってるなんて、どうしてだい?」
「それが…」
今までの経緯をかなり省略して話した。
「って言うことで、まあ、こっちも色々あったんだよ…」
「なんか…大変だったんだね~…」
「そうだね…おっと、そろそろゲームをするか…」
「「賛成…」」
兄妹全員で2階に戻ってそれぞれの部屋に入っていった。
とりあえず、ゲームをしよう…。
VMDに身体を預けて、目を閉じた…。
・
・
・
暗転から目が覚めるといつも真っ白空間が広がっており、エアリさんがいた。
「おかえりなさいませ、ベン様」
「早速、Modest freedomを始めますか?」
「エアリさん、お願いします」
「かしこまりました、行ってらっしゃいませ」
そう言われて、また視界が暗転した。
・
・
・
暗転から目が覚めると昨日寝たベッドの天蓋が見えた。
そう言えば、昨日はマリーナ家に泊まったんだったな…、良いベッドだなぁ…。
2度寝の誘惑を振り切り、ドアを開けるとメイドさんがいた。
「おはようございます、ベン様」
「おはようございます」
「洗面所までご案内します」
「お願いします」
メイドさんに連れられて洗面所に向かい、顔を洗った。
ミーミルも眠たい顔に水浴びをしていた。
やっぱり賢いな…ミーミルは…。
「ベン様、朝食の支度が整いましたのでご案内します」
「はい、お願いします」
先ほどリアルで食べたが、やはりゲーム内でも摂れるなら摂ろう…。
メイドさんについていく…。
食堂にはまだルベリルさんが居なかった。
どうやら、ルベリルさんは朝に弱いようだ。
少しして、ルベリルさんが食堂についた。
「遅れて申し訳ございません、ベン君もごめんなさい」
「僕は問題ないですよ」
「まあ、ルベリルが朝に弱いのは今に始まったことじゃないからね」
「では、頂きましょうか」
そんな感じで朝食が始まった…。
ちなみに、今日の朝食はロールパンにコーンスープだった。パンもそうだが、スープも美味しい…。
・
・
・
朝食後にコーヒーを出されたので砂糖とミルクを3つずつ入れて飲んでいると…。
「ベン君、今日はどうするの?」
「そうですね…ああ、そうだ、そう言えばまだあっちでやらないといけない仕事があったんだ」
「おや?そうなのかね?」
「はい、まあ、スクロール作りですが…」
「スクロール作りねぇ、確かに他の大陸じゃあ大変よねぇ…そうだわ、ベン君良いものがあるの」
「良いものですか?」
「ええ、魔術ギルド本部でまだ研究が終わってないものだけど…」
「興味ありますね…では今日も魔術ギルド本部に行きましょうか」
そんなこんなで今日も魔術ギルド本部に行くことになった…。
どうやら、スクロールに関係しているらしい…。
・
・
・
魔術ギルド本部に入って、研究所と書いてある札が掛かったドアを開けると、朝なのに何人かの研究員が居た。
「?…!ギルドマスターおはようございます」
「「「「おはようございます」」」」
「みんな、おはよう」
「ギルドマスター、そちらの方は?」
「こちらはベン君」
「どうも、プレイヤーのベンです」
「ベン君、こちらはルゼル・マルフェイクさん、ベン君の居た国のお偉いさんで今はここで副ギルドマスターをしてもらっているの」
「ルゼル・マルフェイクです、よろしくベン」
ルゼル・マルフェイクと名のった女性は、
どこかであったような気がするな…ん?
「マルフェイク?もしかしてバート・マルフェイクさんの親族ですか?」
「あら?バートの事を知ってるの?
じゃあ、もしかして、最近バートの友達になったって言うのは、貴方の事ね」
「はい、バートさんの友達…って口にすると恥ずかしいですね…」
「フフ…、バートから手紙で聞いたわ、私も数年前にあった以来、顔を会わせれてなかったけれど、バートが喜んでいて嬉しかったわ、ありがとね」
「あはは…」
「まあ、積もる話は置いといて、ルゼルどこまで進んだの?"魔力注入装置"」
「はい、それがまだ図案化出来ておらず机上の空論でして…」
「そう…ちょっと資料を見せて」
「はい、こちらです」
そう言ってルゼルさんはルベリルさんに資料を渡した。
「すみませ~ん、ルゼル副ギルドマスターこっちに来てくださ~い」
「分かったわ、それでは失礼します」
「ええ、ありがとうルゼル」
…口が挟めないな…あ!そうだ!
「ルベリルさん、オゾレクスさんにも見せてもいいですか?」
「え!?それはいいけど…いいの?ベン君」
「それでルベリルさんの役に立つなら…」
「う~ん、ならお願いするわ」
「はい、オゾレクスさん出てきてください」
シュンッ「む?なんじゃベン、こんな朝から」
「オゾレクスさん、この資料を見てください、できればアドバイスも…」
「なんじゃそんな事か、任せるがよい…どれどれ…ふむ…ルベリルよ紙を貸せ」
「分かりました、お爺様」
「ここはこうじゃな…それで…」
しばらく、オゾレクスさんに任せよう…。
・
・
・
紙が6枚目に入って少しするとオゾレクスさんの手が止まった。
どうやら、終わったみたいだ…。
「うむ…こんなもんじゃろう」
「さすがお爺様!」
「そうじゃろう、後はこれを…」
「これを?どうするんです?」
「創造魔法で構築するだけじゃ、ルベリル」
「こちらです、お爺様」
ルベリルさんに案内された場所はそこそこ広い空間だった。
「では、構築するぞ"作成"!」
オゾレクスさんが魔法を唱えると、様々な部品が空間一杯に現れ、どんどん形が見えてくる。
そうして、10分くらいで1mほどの魔道具が完成した。
「最後に魔核をここに設置して」
「では、テストとして紙を入れますね」
「うむ」
紙が投入され魔道具に入っていく、そして…。
何の事故、故障無く無事にスクロールが出てきた。
「…うむ、品質に問題はないのぉ」
「完成したわ!ありがとうお爺様!」
「カッカッカ、どんなもんじゃ」
「すごいですね、これで人数の足りていない魔術ギルドにもスクロールが回りますね」
「ええ、これで研究に熱中できるわ」
「…ははは、ほどほどにしてくださいね…」
研究者魂恐るべし…。
その後、他の研究員やギルド構成員が完成を喜び合いお祭り騒ぎだった。
ちなみに、オゾレクスさんの使った創造魔法の"作成"には、しっかりとした構想がないとただただ大量のMPだけが消費されます。
計画は大切、はっきりわかんだね。