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王都観光回(中編)です。
セスに連れられて"ガンスの防具店"と書いてある看板が掛かった店に着いた。
「ここのガンス店主は王都でも一二を争う腕の持ち主です、それでは入りましょうか」
そう言って、店のドアを開けてくれた。
中に入ると何人かの冒険者が防具を見ていた。
「ガンスさんの防具は冒険者や我々のような兵士がよく使っています」
「そうなんですか、確かに良さそうな防具ばかりですね」
そんな話をしていると、店員が近づいてきた。
「いらっしゃいませ、こちらは初めてですか?」
「はい、あの~鑑定してもいいですか?」
「はい、構いませんよ、鑑定をして防具を選ぶ方も居ますから」
「では、そうしますね、鑑定っ」
【鋼鉄の胸当て】
ガンス作の胸当て
鋼鉄のため鉄より少し重いが
防具としては性能が高い
緩衝材にはウルーの羊毛も使用している
効果:守+35
「なるほど、これいくらですか?」
「はい、こちらは大銀貨3枚です」
「分かりました、他の商品を見ても良いですか?」
「はい、もちろんです、ごゆっくりお選びください、買いたいものがあれば、こちらにあるカードをお取りいただきカウンターまでお持ちください、当店では受注生産となっています」
「分かりました、ありがとうございます」
とりあえず、近接戦闘をよくするので行動を阻害しない防具を探す。
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セスにも手伝ってもらいながら、最初に見た胸当てと残り2つの防具を見繕った。
【鋼鉄の籠手】
ガンス作の籠手
鋼鉄のため鉄より少し重いが
防具としては性能が高い
緩衝材にはウルーの羊毛も使用している
殴っても衝撃を吸収する
効果:守+30
【魔力の付与されたマント】
グーク作のマント
魔力が付与されているため
魔に強い耐性がある
効果:精+30
「この3つをお願いします」
「かしこまりました、3点で金貨1枚と大銀貨2枚です」
「分かりました、はいこれで」
「丁度頂きました、こちらのカードを2日後に持ってきてください、ありがとうございました」
そう言われて"ガンスの防具店"を後にした。
まだ日は落ちていないが、この後どうしようか。
「ベン様、よろしければご案内しましょうか?」
「そうですね…、他に何もないのでお願いします」
「ありがとうございます、ではこちらです」
そう言われてセスが前を歩いた、ついていこう…。
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セスについていくと声が聞こえる。
先ほどルベリルさんが向かった城の近くのある、そこそこ大きな建物だ。
「こちらになります」
「ここは?」
「ここは我々兵士が訓練を積んでいる訓練所です、さあ入りましょうか」
「訓練所ですか、分かりました」
セスと一緒に訓練所に入ると訓練している兵士が近づいてきた。
「おや?セス、それにそちらの冒険者は?」
「ああ、カナク訓練長、こちらはルベリル様の客人のベン様です」
「どうも、プレイヤーのベンです」
「これはどうも、私はここの訓練長の1人のカナクと申します」
「ベン様、ここでは一般の方も訓練を受けることができますが、いかがなされますか?」
「ええ!?俺そこまで強くないですよ」
訓練をしている兵士はどの人もかなりの打ち合いをしており、基本能力値も高そうだ。
…この中で訓練なんて……。
「ベン君、ここは誰だって訓練をしている場所だ、確かに強いやつもいるがここでは怪我をしても、救護班も居るためすぐに治してくれる」
「…分かりました、それではよろしくお願いします」
「うむ、ではベン君が持っている武器を教えてくれ、その武器の訓練をしよう」
「分かりました、俺の武器は体術と短剣ですね」
そう言って俺は短剣を呼び出した。
「ほぉ…中々良い剣だね、では少し打ち合おうか」
そう言って訓練長は剣を取り出して構える。
ここでやるのか…とりあえず、やれるだけやるか…。
「せいや!」
「あまい!」
訓練長が剣を弾こうとしたとき、異変が起こった…。
剣同士がぶつかり、俺の方の体勢が崩れるかと思いきや、訓練長の剣が砕けた…。
「何!?」「ええ!?」
お互いが驚き、訓練長はすぐさま飛び退いた。
「…ベン君、その短剣はなんだね、私の"鑑定"でも全く解らないなんて…」
「それが、俺にも解らないんです、これ…ダンジョンの宝物庫の宝箱から出てきたもので…」
「なるほど…ベン君、その短剣をよく調べてみないか?自身の武器について知っておいた方が良いだろう」
「そうですね、俺もこの武器が神器…「神器だって!?」え?」
「ベン君は今すぐ神殿へ行こう!今すぐ!」
「え!?あっはい、分かりました」
「訓練長、どうなされましたか?大声をあげて」
「セス、お前も一緒に来い」
「?分かりました」
急に何が起こったが分からないが、とりあえず訓練長についていこう…。
次回、神器の謎が解ける。
ちょっと、スランプ気味