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第2章は突然に…回です。
長い間暗かったが、1分経つ前に視界が開けた。どうやら、建物の中のようだ。
「ここは…」
「うむ、どうやら、まだ儂の秘密の家はバレてないようじゃな…懐かしい…」
「オゾレスクさんの秘密の家?」
なんか、どっかで聞いたことある言葉だなぁ…。
うん?誰かの足音が聞こえる…。
あ、扉が開いた……嫌な予感が……。
「はぁ…、お爺様が亡くなってもう60年か……って!誰よあんたたち!?どうしてここが分かったの!?」
「あっちょっと待ってください、オゾレスクさん!オゾレスクさんってば!!」
「…む?なんじゃ?」
「あんた!!今、お爺様の名前を!!」
「え!?お爺様!?もしかして…ルベリル・マリーナさん!?」
「え、ええそうよ、あんたなにもんよ!」
何て言うか、思ってたより若い人だった。
もしかして…、そういう魔法?
ってそんな事より自己紹介しなきゃ、今にも攻撃してきそうだ。
「俺はベン、ヒュームのプレイヤーです、こちらにいらっしゃるのが、オゾレスク・マリーナさんです」
「おお!マリーナか、儂じゃよ、お爺ちゃんじゃよ!」
「そんな!?お爺様がワイトになっているなんてあり得ないわ!!」
「そうか!今、儂はワイトじゃった!」
「なんか無いですか!?お孫さんの事とか!」
「そうじゃのぉ…そうじゃ!"魔力武器生成"!!」
「っ!?それは!」
オゾレスクさんの手にはいつの間にか小さな短剣が握られていた。短剣の持ち手には、ドラゴンが2体絡んでおり、金色に光っていた。
「どうじゃ?この魔法は儂しか使い手がおらず、誰も真似することが出来んかったが、ルベリル…お主は儂の魔法を覚えれたじゃろう?」
「!!…本当に…お爺様なの…」
「ワイトになっておるが、儂はオゾレスク・マリーナじゃ…懐かしいのぉ…ルベリル…」
「お爺様~!!!」
「カッカッカ、ルベリルは相変わらず泣き虫じゃのぉ…」
…感動的な再会だ、ちょっとだけ静かにしておこう、骸骨姿ではあるが、骸骨の目の辺りには涙が流れているように見えた…。
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「…おお、すまない、ベン、お主を放置しておったわ」
「…お爺様、この方とは…いったい何が?」
「何、儂は今ワイトじゃからのぉ、従魔をしておる」
「はい、なんか、すみません、えーっと」
「ああ、そうだったわね、私の名前はルベリル・マリーナ、ちょっと実験に失敗してこんな姿だけど、これでも67のヒュームよ、ベン君だっけ…お爺様と会えたのもあなたのお陰よ、ありがとうね」
そう言うと、ルベリルさんは右手を差し出した。俺もそれに応えて、右手を差し出した…。
「ここでは何だから、私の…って言っても、マリーナ家の屋敷に案内するわね」
「おお?なんじゃ?そんな屋敷あったかのぉ?」
「えーっと、それも含めて屋敷で説明します、お爺様」
そう言ってルベリルさんは外に出た、オゾレスクさんもついていくし、俺も行こう…。
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しばらく森の中を進むと開けた道に豪華な馬車が停まっていた。どうやら、ルベリルさんは貴族っぽい…。
「おや?ルベリル様もう戻られたのですか?」
「ええ!それより聞いて!!お爺様が生きていたの!!」
「?」
執事っぽい人が、疑問符を頭の上に浮かべている…。まあ、そうなるわな…。
すると、馬車から年老いた女性が出てきた…。
「こら…ルベリル…嘘を言っちゃいけないわよ、
お父様は……亡くなってしまったんだから……」
「嘘じゃないわ、お母様!このワイトがお爺様なのよ!!」
「む?ルベリルの母親ということは…シーラか!年老いたが、子供のころの面影が残っておるわい、カッカッカ」
「!!その…特徴的な笑い声…お父様なんですか…」
「そうよお母様!お爺様と私しか覚えてない"創造魔法"を使えていたわ!」
「カッカッカ、シーラよ心配をかけたのぉ…」
「……いいえ、お父様……生きて…居られた……なんて……うぅ…」
シーラさん目には、涙が溢れており、オゾレスクさんが近寄って(護衛の人は空気を読んでくれた)親子で抱き締め合った……。
…ワイトになっていたが、やはり親子というものは、姿が変わってもお互いに分かり合っているようだ……。
「……お母様、お爺様…積もる話は、屋敷に戻ってからにしましょう?」
「…そうね、そう言えば、そちらの方は?」
「そうよ!こちらにいらっしゃるのがお爺様を連れてきてくださった、ベン君よ」
「どうも、ベンです、そこまですごいことした覚えはないんですが…」
「カッカッカ、謙遜はいかんぞ…正直、あのままダンジョンに閉じ込められたままじゃ、実は出れんかったからのぉ」
「そうだったんですか!?初耳ですよ!」
「そうじゃったかのぉカッカッカ」
「それより、早く乗って、乗って!」
ルベリルさんに急かされながら、馬車に乗った。お、中の椅子はクッションが敷いていて、柔らかい。馬車に揺られながら、オゾレスクさんについての話やシーラさんにも感謝された。
…まあ、これもミーミルが気づいたからだけどな、途中でミーミルを出して説明すると、ミーミルも誇らしげなポーズをしていた。かわいいなぁ、ミーミルは。
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しばらくして、大きな門が見えた。
どうやらここは、ウノの町があったラグダリア王国の大陸ではなく、コウゾリア共和国というラグダリアからみて西にある大陸の国で魔術ギルドの本部がある。
そんなこんなで、マリーナ家の屋敷に到着した。
ちなみに、なんとなくで国の名前はお花から
取りました。