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別れの時回です
外に出ると今日はどうも天気が悪く曇りだった。もしかして、初めて雨が降るかもしれない、そうなれば、生産ギルドでの仕事も捗るかもしれない…。
そんな事を考えながら、歩いていると冒険者ギルドに着いた。中にはまだ冒険者が少ないが、ギルドマスターのゴンババさんが酒場の椅子に座っており、待っていたようだ。
「ゴンババギルドマスター、来ましたよ~」
「おう、ベンに『ウルズの疾風』も来たか、なら行くぞ、北の坑道へ」
「おう、ギルマス、北の坑道に何で行くんだ?」
「なんだ、一緒に来たからベンが喋ったんじゃねえのか」
「まあ、ついてからのお楽しみという事で」
「まあいい、それじゃあ北の坑道についてからだ、行くぞ」
ゴンババさんが立ち上がって、こっちに向かって歩いてくる。どうやら今日は俺と『ウルズの疾風』にギルドマスターで行くっぽい。
とりあえず、ゴンババさんについていこう…。
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北の門には今日も採掘道具を持った作業員と護衛の冒険者で一杯だった。
……だが、ゴンババギルドマスターに『ウルズの疾風』が一緒にいるせいで、すごく浮いている俺の防具も初期装備だけであり、武器も"初心者の杖"に謎の神器の短剣だけである。
そんな事を考えていると……。
「おや?冒険者ギルドマスターではないですか?どうされました?」
「おう!ベルガ兵隊長!なに、ちょっと北の坑道にいいもんがあるかもしれんからな、来るかい?」
「そうですね……、良いものですから、見に行ってもよろしくて?」
「なに、良いだろう、それじゃあ行くか」
「あ、少しお待ちを、ヘス副兵長!ヘス副兵長はいるか!」
「なんですか兵隊長?朝から?」
「すまんが、少しだけ留守にする。頼めるか?」
「?分かりました、ですが、あまり空けないように」
「おう!では行こう、ゴンババ」
「おうよ!ベルガ!」
「…なんか、仲が良いですね?」
「そりゃあ、ベルガとゴンババって言ったら両方、Sランク(最高位ランク)でコンビを組んでいたからな」
「すごい人なんだな、2人とも」
「なにしてんだ、おいていくぞ~」
何て言うか、そんな感じがするけど、まあ、いいか。ついていこう……。
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坑道に入ってからも、別に詰まることはなく、出てきたバットを狩っていく、さすがにCクラスのチームと元Sクラスの団体相手だと、バットも瞬殺だ…過剰戦力だろ…これ……。
そんなこんなで、崩落跡地に来たが、入り口は見当たらない…もしかして……埋まってる?
「こりゃあ、ひでぇな、報告書じゃこの崩落はプレイヤーが誤って崩しちまったもんだな」
「そうですね…私もそう聞いています」
「これって、埋まってしまって、魔力が溜まってしまったんですかね?」
「ん?魔力が溜まったって、それじゃあもしかしてよぉ…」
「ああ、そうだ、ベンがこの坑道で偶然ダンジョンを見つけたんだとよ…仕方ねえ、この岩をどけるか……」
「そうですね………そうだ!オゾレスクさん、お願いします」
シュンッ「む?なんじゃ、ベン?」
「はい、オゾレスクさんって、この岩をどけれますか?たぶん、入り口が埋まってしまっていると思うので」
「なんじゃ?簡単なことじゃ」
そう言うと、オゾレスクさんが右手を差し出し、スペルを唱えた。
「"土操作"」
「おお!」
オゾレスクさんの魔法によって、岩が水のように液状化したかと思えば、一瞬の内にダンジョンの入り口らしき場所までの道が開けた。
便利な魔法だなぁ…。
「うむ、久々に使ったがうまくできたのぉ、うむ…やはりダンジョン化しておるわい、カッカッカ」
「ありがとうございます、オゾレスクさん」
「すまない、ベン君、オゾレスクって、もしかして…」
「はい?ああ、たぶんクルハさんが思っている方ですよ」
「な…、オゾレスク・マリーナさんは、亡くなったと聞いたが…」
「む?なんじゃ?儂の名前を呼んだかの?」
「はい、こちらのオゾレスクさんはなんか、魔法でワイトに変わったらしいですよ、そう言えばクルハさん、魔術ギルドの登録してましたよね?今のギルドマスター長がどこにいるか知りませんか?」
「え?ああ、ギルドマスターか…私も分からないが、たぶん魔術ギルド本部に居るんじゃないかな?」
「なるほどの、エルフ殿助かった、さてベンよ本部ならすぐに飛べるが行くか?」
「え!?さすがに急過ぎませんか?あー、でもお孫さんに会いたいんですよね?分かりました、行きましょう、…そう言うことでゴンババギルドマスター、すみませんがここでお先に失礼しますが良いですか?」
お世話になったし、とりあえず挨拶しておこう、また、会えるだろうし…。
「ん?あー、まあ、良いだろう、気をつけてな」
「なんか、よく分からんが、ベン達者でな」
「急だね~、まあ、冒険者らしいね~」
「まあ、困ったらいつでも頼ってくれたまえ、できる範囲だがね」
「ははは、ベンもいつの間にか成長したな~」
上から、ゴンババ、ルーガス、ミミル、クルハ、ククルスの順番で感想を言われた。
「うむ…、では、行くとするか、久々に魔術ギルドに帰れるわい」
「俺は初めてですがね」
「カッカッカ、中々いい場所じゃよ、では、
"長距離瞬間移動"!!」
オゾレスクさんがスペルを唱えると、目の前が暗転した…、やっぱりテレポート系は暗転するのか…。
まあ、2~3日で戻ってくる予定です。
早くイベント編を書きたいが、大体、後10話位後の予定
予定ばっかだな。
次回は新大陸、驚き、再会の3本立てです。
最近、雑になってしまっているから、気をつけて書きます。
ちなみに、ベルガさんは男性ヘスさんは女性です。
今後出てくるかな…。
ちなみに、落盤が起きたのはβ時代に起こった話で、β時代は今から50年以前のことです。
さらに、魔導ゴーレムの事故はその10年前です。