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窓の外を見ると朝日が登り始めており、朝の鐘が聴こえる。
少し見難いが人もポツポツ見え、手前の中庭には庭師や騎士が居た。
「ちょっと早いですけど外出て観光でもしますか」
「そうじゃな、丁度子供らも目を覚ましたようじゃ」
ベッドをチラッと見るともぞもぞとユーマとシーナが布団から顔を出す。
まだ寝起きだからか動きがゆっくりだが、ベッドから降りようと
「おっと」
「わぁ…ありがとう」
「どういたしまして、少ししたら外出るから顔洗おうか」
「はーぃ…」
「ぉぁよぅ」
「おはよう」
シーナに挨拶を返すと同時にドアをノックする音が聞こえたのでオゾレスクさんに後を任せて出ると朝食の有無を聞きにメイドさんが来ていた。
「朝食ってこの後すぐできますかね?」
「はい、お食事をここまで運びましょうか?」
「そうですね、お願いします」
「かしこまりました、失礼します」
そう言って静かな足取りで隣の部屋のドアまで移動していった…。
さてと俺も支度を…ん?
ドアを閉めて少しだけ離れたらまたノックが……?
「はい、なんで…え」
ドアを開けたらカートの上に人数分の温かそうな朝食があり、さも当然かのように笑顔で今度は執事さんが運んできた……。
「朝食をお運びました、中にお運びしましょうか?」
「あ、お、お願いします…」
つい早過ぎて脳が追いつかなかったが、ギリギリ返事を返して正気に戻る……いや、早すぎだって
「もしかして聞く前から準備を?」
「ええ…ああ、ご安心ください、出来上がりをお持ちしておりますので冷めたものではございません」
「あ…なるほ………いや、それでも調理場まで遠いですよね?」
確かこう言う城とかの調理場って大抵は1階にあるはずだ、今いる階から考えるとまるで魔法
「?……ああ、なるほど、当城では各階層ごとに調理場直通の扉がございますので、すぐお運びできるようになっております」
魔法だったわ、いやそりゃそうだよね、魔法がある世界だからね!
ていうか何そのどこで◯ドア、いや、まあどこでもでは無いけど便利だな!
「そうだったんですね、納得しました」
「はい、それでは片付けがこちらのベルを鳴らしてもらえればすぐに取りに行きますので…それではごゆっくり」
「あ、ありがとうございます」
話している間も精密にテーブルにキッチリ食事を置いていったけど、殆どこっち見てたよね?
なんか、メイドさんもだけど執事さんも凄い…凄いな!
あ、よく見たらミーミル用のご飯もあるし、用意周到すぎる。
「…まあ、あまり考えなくていいか」
「?どうかしたのか」
「ああ、いえ何もないですよ、それより朝食が来たのでさっさと食べちゃいましょうか…ミーミルおいで」
本を取り出してミーミルを呼ぶと元気よく跳ねて来たので胸元で受け止めて撫でる。
相変わらずモフモフだな……
「そう言えば本の中ってどういう感じなんですかね?」
「む?そうじゃな、あまり戻らんがある程度身体にあった空間に入れ込まれ、呼ばれるまでそこまで時間が空いたという感覚は無かったのぉ」
「へー…ミーミルは出来るだけ部屋では自由にしておきましょうか」
「それが良いかも知れぬな、ユニーク科故に賢い上にある程度我慢はできる方であろうがその方が良いじゃろう」
そう言って席に座ると、顔を洗って少し目が冴えてきたユーマとシーナが戻ってきた。
席に座らせて俺も席に着く。
今日の朝食は少し家庭的な感じで大きいボウルにサラダが入っており、主食のパンと着けるためのバターとジャム…色合い的にイチゴ系か?
そして、野菜と肉が少し入っているスープといった至って普通だ。
サラダに掛かっているドレッシングも前に出来過ぎず、野菜にほど良いアクセントになっており、その後にスープを飲むといい感じに塩味が効いており美味しい。
そして何よりパンが今まで食べてきた中で一番柔らかいし甘い!
ジャムを着けずにこの甘さとか犯罪だわぁ…
というかこのジャムも甘いな!パンケーキかと思ったわ!
流石としか言いようのない朝食に満足しつつ、今日の予定を考えたいが朝食が美味しすぎてあっという間になくなってしまった。
流石英雄の居る城だけあって朝食からレベルが違うとは………。
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次回もゆっくりお待ちください。